1967年に設立されたウィーンの「葬儀博物館」が先月13日に新装オープンしました。ここでは「美しい遺体」にこだわるウィーンの特異な葬儀文化を見ることができます。

デスマスクや棺など約250点の葬具を展示

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遺体から取った石膏の像。

展示品には、デスマスクやひつぎの数々が含まれている。その中でもとりわけ奇怪なのは、生きているのに誤って埋葬された場合に鳴らすために、埋葬された遺体にひもでつながれて地上に設置された鐘と、間違いなく死んでいることを確かめるために心臓に刺したという特製のナイフだろう。

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土葬の際に棺の中で生き返ってしまうことを恐れるあまり、このような方法が考えられ、かつては自分の時にはぜひ使ってくれるよう遺言を残す人も多かったという。

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生死を確かめる鐘は「救済の鐘」「救済の目覚まし」と呼ばれていました。土葬文化で一番恐れられていたのは生きたまま埋葬されてしまうことです。たとえ手間や費用が嵩んでも本当に死んでいるか確かめてほしいという人が多かったのです。

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一般人用「確実な死」のための特製ナイフ。鈴を使う方法は高額で利用できる人も限られていたので、亡くなったら2回心臓を刺して確実に死なせるという方法も行われていました。

豪華なお葬式は富の象徴

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「ウィーンの葬儀は宗教的なもの、というよりも、現世の地位や名誉、故人の達成したものの表現という意味合いが強いのではないかと思っています。ですから、どういう葬儀をするかというのは非常に重要で、現在でも地位が高かったりお金持ちの人は随分立派な葬儀をされますよ。」

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金に糸目をつけない葬儀に法令が公布されたことも

ウィーンで行われていた贅沢すぎる葬儀が市民の負担になっているとして、皇帝フランツ・ヨーゼフ2世は「埋葬令」を公布しました。

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メルク修道院に展示されている「節約棺」の複製。留め具を外すと底が開き、遺体だけを墓穴に落とす繰り返し使えるタイプの棺です。今日でも映画などでこういう棺を目にすることがあります。

これは、皇帝ヨーゼフII世が1785年に導入したもので、「美しい屍」を愛するウィーン市民の贅沢な埋葬習慣を抑えるのが目的でした。この節約アイデアは極めて実用的でしたが、市民の反発も激烈なものでした。騒乱や抗議デモが繰り返され、皇帝は「節約棺」の撤回を余儀なくされました。

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ヨーゼフ2世は、それどころか、節約のために遺体を柩ではなく袋に入れて埋葬するよう命じた。けれど、ウィーン市民はこれに従わなかったため、この命はお蔵入りとなった。

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美しくなければ死ねない

日本では静かなことを「お通夜みたい」だとか「お葬式のよう」と表現するように、死は厳かなイメージですが、ウィーンでは贅のかぎりを尽くす葬儀が良いと考えられてきました。

デジタル時代に向けて改修された「葬儀博物館」はこの種の博物館としては世界初なのだそうです。ここまで死に対して独特の考えが根付いている場所は珍しいと思います。ウィーンをご旅行の際はぜひ足をお運びください。

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華蓮 このユーザーの他の記事を見る

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