災害や戦争や事故や病気やリストラなど、様々な苦難に遭遇した時に、
セーフティネットとして役立つのは、
実はリアルな強い絆よりネットの弱いつながりだ、
という本書の主張は、「まさにその通り!」と思った。
「自分でつくるセーフティネット」佐々木俊尚著を読んだ一番の感想。

SNSを中心としたネットでわざわざ時間と手間暇かけて、
個人情報を垂れ流すことに意味があるのだろうか?
と疑問に思っている人は多いのではないか。
いや、それ以上に、ネットで発信すると、
炎上したらどうしようとか、犯罪に巻き込まれたらどうしようとか、
びびってまともにネットを使いこなせない人も多い。

私はばんばん発信すべきと思っているが、
本書のいう「セーフティネットのために発信する」というのは、
ある意味、斬新な発想かもしれない。

何か困ったことがあった時に、
家族とか親しい友人とか会社の人とか近所の人とかは、頼りになる存在のはずだ。
でも一方で、自分と立場が近いために、
困った時は同じように困っていて、逆に頼りにならない場合もある。
逆に困った時こそうざい存在にもなりかねない。
よけいなおせっかいとか、逆に変な妬みとかいがみあいとか。

東日本大震災の被災地ではイヤというほど見せられた。
地元の住民同士でいがみあって、協力し合わない。
逆に何の利害関係もない、知り合いでもない、
遠くから来たボランティアの方が役立つみたいなことは何度もあった。

まさに本書でも主張しているのが、
「強いつながり」より「弱いつながり」を持てとのこと。
強いつながりは同調圧力を生み、逆に息苦しくなってしまう、
というのはなるほどと思える。

だからSNSで発信し、別にそれほど親しいというわけではない、
弱いつながりをいっぱい持っておくことが、
セーフティネットなき今後を生き延びるための重要な戦略ととく。
まさにその通りだと思う。

弱いつながりの方がなんというか利害関係もないし、
素直に手助けしやすいみたいなことはある。
仕事の紹介とか、困った時に情報を知らせてあげるとか、
何か物品を送ってあげるとか。

1人1人の手助けはそれほどたいしたことはなくても、
何十人、何百人と弱いつながりを持っていれば、
チリもつもれば何とやらで、結構大きな力になる。

考えてみれば、私に仕事を紹介してくれたりするのって、
弱いつながりの方が断然多い。

これってとっても不思議。
当人としては自分に近しい人が助けてくれるだろうと、
過大な期待を寄せているのに見事に裏切られるのに、
会ったことも、相手に何かメリットになるようなことを、
したこともない人が、自分にいい話を持ってきてくれる。

でも逆の立場になるとよくわかる。
親しい間柄の人が困っていてああでこうでうんたらかんたら、
とかいっていると、意外とうざったい気持ちになったりして、
「自分でどうにかしろよ」と思ったりもしちゃうんだけど、
たまたまSNSのタイムライン上で困っているのを見ると、
別にこちらが手助けすることで借りをつくってやろうとか、
そういう邪念はまったくなく、
「困ってるならこんな情報ありますよ~」と、
押しつけがましくなく、恩着せがましくなく、手助けすることができる。

だからこそSNSで発信し、いろんな人とつながっておくべき。
だからこそSNSで自分がどんな人間なのかを、
普段からちょこちょこ投稿しておくとよい。
これはなるほどなと思える話だった。

もちろんネットで情報発信すればリスクもある。
善意でやっていても、変な人に絡まれたりするかもしれない。
でもネットで情報発信して得られるメリットとデメリットを考えた上で、
どっちを優先するんですかってことに尽きると思う。

デメリットが怖いから、メリットはなくてもSNSを使わないのか。
デメリットはあるけど、確率論的から考えると少ないから、
それだったらSNSを活用してメリットを得た方がいいのか。
SNSで発信することにためらいを持っている人がいたら、
本書を読むとその必要性がわかると思う。

ただ本書の要点は言ってみれば上記のことでほぼ網羅されており、
あとはわりと古い映画の解説とかが出てきたりして、
雑学読み物としてはおもしろいと思うんだけど、
実用的な部分だけ端的に情報収集したい人には、
そうした記述の多さがジャマになるかもしれない。
SNSに一歩踏み出せない人はぜひ。

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年間8万枚の撮影、年間90万字の執筆をこなすカメライター(カメラマン&ライター)、ブロガー。「工場地帯・コンビナート」など13冊の写真集、「検証・新ボランティア元年」など6冊の一般書出版。映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」(2014年)で監督デビュー。ブログは毎日更新http://kasakoblog.exblog.jp

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