庶民の味方・焼き鳥!でも、美味しい店と美味しくない店の差が案外激しいんですよね。そこで、食に詳しいライター・編集者の松浦達也氏に、おいしい焼き鳥屋・串揚げ屋の見分け方を聞きました!

後半は外食における「コスパ」という考え方についての同氏の意見です。

松浦氏プロフィール

出典 http://spotlight-media.jp

松浦達也●事務所であろうがどこであろうが料理をパパッとやってしまうことで知られるライター・編集者。最近は「フード・アクティビスト」という肩書きも持ち、食の産地や数々の飲食店の取材も行う。

数百人で行うバーベキューでは、牛肉をまるごと一頭分焼くという噂も。「給食系男子(三合)」というユニットなどでの活動も行い、著書に『家呑み道場』や『レッツ! 粉もの部』『家メシ道場』などがある。

「お任せ」ってお得なのですか?美味しいのですか?

基本的には、焼き鳥店や串揚げ店で「お任せ」しか頼めない店は敬遠します。というのも、個人的なトラウマがあって、以前、とある串揚げ店で「お任せ」にしたら、なんと「ぼんじり」を串揚げで出してきた。ぼんじりみたいな脂の塊を衣揚げにするとは……。

しかもその店は店内すべての客に、同時に同じ串揚げを提供していたたんです。出されるものはローテーションで決まっていて「今は☓☓だけ」って、何ですか。その店がラクをするためだけの工夫

客は席に着いた時点では何からスタートするかわからず、出されるものは味の組み立てとは無縁の揚げ手の都合で決められてしまう。客の食べるスピードには個人差があるのに、食べるのが遅い人には、どんどん串が溜まっていってしまう。しかもそういう店に限ってうまくもないし、居心地も悪い。

これは極端な例ですが、何のための「お任せ」なのか。ベストな組み立てを考えてのことなのか、店側の都合によるものなのか、ふらっと入った店ではわかりませんから。

「注文は2本から」ってのはどうでしょうか?私は一人で焼き鳥屋に行くことが多いので、色々な種類を食べれなくなるので「2本から」は困るのです。

確かに一人だと1本から頼みたいですよね。ただ1本あたりの単価にもよると思います。1本60円で席数の多い店だと、全員から1本ずつの注文を受けると焼き台が混乱して、注文ミスが増えてしまうかもしれない。

それは居心地やヘタするとコスト自体にも跳ね返りかねない。「1本から注文OKにしました(ただし、ミスオーダー増えます)」とか、「1本からの注文歓迎!(ただし、1本100円に値上げします)」という話になってもおかしくない。

最後の最後、お店との付き合いは多少気に入らないところがあっても、許せるかどうか。男女間のおつき合いのようなものですから、好き嫌いには個人差が出てきてしまう。

僕は「2本から」は許容できますが、「お好み」を頼めない焼き鳥屋はイヤですね。男女間に例えると「デートで牛丼屋はイヤ」だという子は受け入れるけど、言いたいことも言えないような相手とお付き合いしたくないというような感じでしょうか。人によってお付き合いする相手に求める条件は違いますよね。

コスパがいい焼き鳥屋、悪い焼き鳥屋ってどんなものでしょうか?

コスパ悪い焼鳥屋は少ないと思いますよ。そもそも焼き鳥店はローコスト業態の店が多いから、パフォーマンスが多少低くてもコスパが悪いわけではない

銀座の高級焼き鳥店「B」など客単価が1万円以上になる店もありますが、そういう店は高くてもコストに見合うパフォーマンスがある。

客単価も提供しているものもいろいろですから、一言で「焼き鳥屋」という肩書きで判断しないほうがいいと思いますよ。会社にだってデキる平社員もいれば、ダメな部長もいるじゃないですか。

焼き鳥屋でコスパに文句を言うことってダメですか?

うーん、高級店の真似をしているだけの、まずいのに高い店に当たったら文句くらいは言ってもいいのかなあ。ただ、そういう店は何を言っても変わらないと思います。ならあれこれ言って徒労感を覚えるのはソンですよ。

とはいっても、中国から輸入した1串10円の鶏なんかを出す店もあるわけでしょ? それを1本100円とかで売っているワケです。コスパ悪くありませんか?

コストは食材原価だけじゃないですから。串の食材原価が低くても、生鮮食材の原価はもっとかかるだろうし、人件費やテナント料のほか飲食店経営には一定の経費がかかる。

食材原価が安い業態ほど、他の固定費の比率が高くなり、客にとっては割高な気がしてしまいやすいんですよ。どうしてもイヤなら、自分で材料を買ってきて自炊して家で飲めばいい。いい本もありますよ(笑)。

冗談はともかく、陰謀論やステマ論と同じで、単純な食材原価から飲食店の仕組みを裏読みしても正解かどうかはわからないし、一部を切り取ってあげつらってもきりがない。そういう姿勢だと食べること自体が楽しくなくなっちゃいます。

外食で「コスパ」とあまり言わないのがスマートなのですか?

そもそも「外食」はそれ自体が「レジャー」なのに、投資かのように捉えて、見返りを求め過ぎるから、苦しくなって疲れちゃう。メシを食って酒を飲んで、楽しい時間が過ごせれば、それでいいじゃないですか。外食は「投資」じゃなく「消費」なんです

どうしても気が合わないなら、席を立って二度と行かないか、話のネタにできるよう徹底的にネタを拾いまくるのが精神衛生上いいんじゃないでしょうか。

どうしても「コスパ」が気になるなら、「自分が外食に求める楽しみはなにか?」を整理するといいかもしれません。整理したほうがつらくないですよ。アミューズメントパークにしても、東京ディズニーリゾートと浅草花やしきに求めるものは違いますよね。

外食を「楽しく過ごす」ためには、店の味、雰囲気、サービス、コストのほか、誰と行くかなどさまざまな要素が絡んできますが、結局のところ、「店と気が合うかどうか」がすべてで、長く通う店になるか、一度や二度足を運んだだけではわからない。でも気が合わない店はわかりますよね。

結論としては、やっぱり「気が合わない店に行くと不幸になる」んですよ。僕にとって気が合わない店というのは、店主が必要以上にエラそうで、客を気遣わない店員がいて、壁の貼り出しや品書きでやたらと能書きばかり垂れている店。そしてビールがまずい(笑)。

最後に、外食を楽しむ方法を教えてください

でも、ダメな店に当たってずーっと文句を言っていたら、さらに不幸な時間が長引くだけじゃないですか。だから僕はダメな店に当たったらネタとして楽しむように努力するし、それが無理ならなるべくお店との距離を取る。

よく「一生の食事の回数=1日3回×365日×人生80年=約8万8000回」とか言いますけど、そのうち自分の好きに食事を選ぶ機会なんてせいぜい5回に1回か10回に1回。つまり40歳の人でも残り4万4000食のうち自分で選べるのは単純計算で数千~1万食程度。

しかも不慮の事故での入院や加齢による生活習慣病リスクを考えたら、好きに選べる食事の回数はさらに減る。ダメな店に行って不幸になってる場合じゃないんです

まず自分なりの「外食に求める楽しみ」を整理しておく。その上でダメな事例をネタとして楽しむよう努力して、それが無理ならなるべく距離を取る。やっぱり人間関係や男女関係の話みたいですけど、結局のところものを食べているときや酒の席って人間の素が出る場ですから、人付き合いにおける基本と同じところに帰結するんですよ。ヒック。

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