沖縄返還から45年。約半世紀がたった今もなお、沖縄には多くの米軍基地が存在しています。日本にある米軍基地の、実に74%が沖縄県に集中している状態です(面積ベースで表記/実教出版『高校政治・経済』より)。

さらに日本政府は、米軍の普天間飛行場の用地が返還された後、飛行場機能をやはり沖縄県内の辺野古周辺に移設しようとしています。米軍基地を日本国外にはおろか、沖縄県外にも移す動きはみられません。アメリカが基地を沖縄から移したくない理由があるのでしょうか。

1.太平洋の「出口」にあたる沖縄=アジア最重要軍事拠点
2.45年前も交渉は難航…アメリカは沖縄を返したくなかった
3.今後も対中国の軍事拠点としての重要性が高まる

1.太平洋の「出口」にあたる沖縄=アジア最重要軍事拠点

沖縄が「アジアに近い」ことは、アメリカが軍事拠点を置くうえで実にこの上ない魅力のひとつです。

最もアジアに近いアメリカ領のグアムは、沖縄に比べると約2000kmもアメリカ本土側に位置。周辺国へにらみを利かせる抑止力の役割として、距離感は非常に重要なのです。

さらに、沖縄が西(大陸側)からみて太平洋への「出口」に位置している、という点もポイント。アメリカ領(グアム・ハワイなど)の侵略をめざす敵がいても、沖縄が防波堤の役割をして、近づかれる前に撃退できます

このように、抑止力・防衛の両面から非常に重要な拠点である沖縄は、まさにアメリカのアジアにおける「最重要軍事拠点」といえるでしょう。

2.45年前も交渉は難航…そもそもアメリカは沖縄を返したくなかった

45年前に実施された沖縄返還。「借りた土地を返すのは当たり前」と考える人は多いでしょう。しかし、アメリカがこのような重要拠点を手放したくなかったことは想像に難くありません。

このことは、終戦から返還まで約27年という長い時間がかかったこと、そして1965年に開始した返還交渉が難航したことからもうかがえます。その結果、日本は米軍基地の存続を前提とした交渉をせざるを得ず、それが今もなお米軍基地が多く残る状況の原因となったのです。

もっとも、基地からの核撤去については合意されていました。ただ実際には、当時の日米首脳による「緊急時には核の再持ち込みを許す」という密約があったと考えられています。

この密約の存在は、2010年の外務省有識者委員会の調査で明らかになりました。当時のアメリカにおける沖縄の軍事的重要性の大きさを物語るものといえます。

3.今後も対中国の軍事拠点としての重要性が高まる

沖縄の南に広がる南シナ海には、中国と周辺諸国が領有権を争うスプラトリー(南沙)諸島やパラセル(西沙)諸島があります。近年、この島々で中国による支配強化の動きが目立っています。

島の一方的な占拠や人工島の建設だけでなく、軍関係の施設も多数建設されていることが、様々な報道で明らかになっています。南シナ海は中東と太平洋をつなぐ重要海域。南シナ海の中国支配強化は、この海を利用する日米にとっては大きな脅威です。

実際、アメリカは昨年、南シナ海にあえて軍艦を派遣する「航行の自由作戦」を実行。今後、米中の緊張が高まるようなら、南シナ海に最も近い米軍拠点である沖縄基地の重要性が高まることは間違いないでしょう。

大国の利害がからむ沖縄で実害を受けるのは…

沖縄県普天間基地の「返還」が日米から発表されたのは1996年4月。それから21年たった今もなお、返還どころか、オスプレイなど多くの軍用機が普天間に集結しています。

アメリカの思惑が絡む以上、基地問題の解決は非常に難しい問題なのは間違いありません。ただ、地元紙・琉球新報の報道では、普天間飛行場近隣の小学校で100デシベルを超える爆音が観測される、ということが伝えられています。

沖縄の人々が困難な状況に直面し続けていることを、われわれはもう少し知っておいた方がいいのかもしれません。
(辻雅之)

【参考資料】
外務省「いわゆる「密約」問題に関する調査結果」
CNN「南沙の中国人工島、軍事施設は完成間近 レーダーや格納庫も」
琉球新報「教室で爆音105デシベル 普天間第二小」

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