・子供たちの安全のために

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多くの子供たちが集まり、水遊びを楽しむ場所としてプールがあります。しかし、危険な飛び込みや、滑りやすい床を走り回ったりすると事故につながる危険もあり、子供たちに正しいプールでの振る舞いを教えることが必要ですよね。

・このポスター、どこかおかしい?

出典 https://twitter.com

そんな子供たちのために、アメリカ赤十字社はプールで遊ぶ時のルールを子供たちに教えるための「プール安全ポスター」を作成し、SNSに投稿しました。また、各地にも配布をしたといいます。
しかし、そのポスターの内容がオカシイのではないかと講義が殺到したのです。皆様は上のポスターのおかしな点、気づかれましたか。

「差別表現がされていないと思えますか?」

もうお気づきの方も多いと思いますが、これは人種差別をにおわせる表現がされているポスターです。
プールでルールを守らない悪い人を「Not cool(ダメ)」とし赤い矢印で指していますが、「Not cool」に該当する人たちは黒人か黄色人種のみで白人は一人もいません。逆にルールを守っている人「cool(いい)」が2名いますがどちらも白人です。

特に、このポスターで著者がパッと見てよくわからないと思った箇所は、画面中央にいるNot coolな黒人です。彼は何か悪いことをしているようには見えません。
また、飛び込み台があるプールは飛び込みOKだとみなすのが一般的ではないでしょうか。画面左で飛び込んでいる黒人男性はNot cool。しかし、次に飛び込もうと並んでいる白人女性はCoolです。男性は並んでいなかったということなのでしょうか?それにしてもちょっとわかりにくいですし、人種差別的な要素が含まれているととらえられてもおかしくありません。

・子供たちに見せたくない

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このポスターを見た、黒人の少年少女たちはどう感じるでしょうか。自分たちばかり悪者にされていると感じ傷ついてしまう子たちが現れるかもしれません。

・炎上、謝罪の事態に

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これが一部の人々の目に止まりアメリカ赤十字社に抗議が殺到、SNSでも拡散され問題となりました。
その結果、公式のSNSアカウントのポスターの投稿は削除され、アメリカ赤十字からは公式に謝罪が表明される異例の事態となりました。

「アメリカ赤十字社は、同社作成の水安全ポスターの1枚に対する皆様からの懸念を心より受け止め、真摯に対応いたします」

アメリカ赤十字社は差別の意図があって作成したわけではないとコメントしています。

・赤十字とは

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今回のニュースで皆さんが驚かれるのは、このポスターを作ったのが「赤十字」の組織だったというところです。

赤十字は、アンリー・デュナン(スイス人:第一回ノーベル平和賞受賞者)が提唱した「人の命を尊重し、苦しみの中にいる者は、敵味方の区別なく救う」ことを目的とし、世界190の国と地域に広がる赤十字社・赤新月社のネットワークを生かして活動する組織です。

出典 http://www.jrc.or.jp

人の命を尊重し、平和活動を行う組織がこのような差別的な表現をしていただなんてなんだか悲しくなりますね。

・日本人も差別対象?

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このポスターの問題、日本人は関係ないわけではありません。
ポスターを見るとNot coolな人は黒人が多いですが、1人だけ有色人種のアジア人がいます。これは、黒人よりはマシだけれどアジア人も差別対象というふうに捉える人もいるかもしれないということなのです。
また、よく見るとひとりもアジア人がプールの中に入っていません。これはアジア人と一緒にプールに入るのはお断りという風にもとれます。

・アパルトヘイトを思い出す

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この問題を目にしたとき「アパルトヘイトを思い出す」と思われた方もいらっしゃったようです。

・アパルトヘイトとは

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白人と、非白人を分離する人種隔離政策のことをアパルトヘイトと呼びます。

アパルトヘイト(Apartheid)は、アフリカーンス語で「分離、隔離」の意味を持つ言葉で、特に南アフリカ共和国における白人と非白人(黒人、インド、パキスタン、マレーシアなどからのアジア系住民や、カラードとよばれる混血民)の諸関係を規定する人種隔離政策のことを指す。

出典 https://ja.wikipedia.org

若い世代の方はあまり聞きなれないかもしれませんが、第二次世界大戦後の1948~1994年まで南アフリカで実施されていた制作です。最近までこういった人種差別的な政策が公然と行われていたことを忘れてはいけません。

・住居は完全に分離、給与も天と地の差

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アパルトヘイトでは白人以外の人は立ち入り禁止の場所が設置され、くっきりと分離されます。もし許可なく立ち入った場合は重い罰則がかせられます。

・あまりにも不平等

白人と黒人の居住区および生活圏を法的にくっきりとわけた。差別される側の黒人は約2500万人、インド系住民約90万人に対して、白人は490万人程度である。
黒人は白人が経営する農園や工場で働き、1970年には平均して白人の工業労働者は黒人の6倍、白人鉱業労働者は黒人の21倍の給料を得るようになっていた

出典 https://ja.wikipedia.org

肌の色が違うというだけで、能力は一緒でもこのように待遇に天と地の差がありました。

・運営場所もハッキリと分離

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アパルトヘイトは、白人とそれ以外の人種が同じ場所で泳ぐと言ったことはありませんでした。
著者もアパルトヘイト中(1990年代)に南アフリカを訪れたことがあります。その光景があまりに印象的でした。ビーチは柵でくっきりと分離されており、この先は白人のみ泳いでいいビーチだという看板がたてられていました。優雅な白人専用のビーチは、黒人はもちろん中国人などのアジア人は立ち入ることが出来ません。

しかし、日本人だけは特別に白人専用のビーチに入ることを許すと話され、日本のパスポートを見せるとビーチに通してくれたのです。私は幼く、大人の事情はよくわかりませんでしたが、当時、高度経済成長を遂げた日本は欧米からも一目を置かれていたようでした。

公園、海水浴場、公衆トイレ、教会、レストラン、ホテル、劇場、映画館、エレベーター、バス、列車、学校、役所など、あらゆる公的な場所に「ヨーロッパ人専用」と「非ヨーロッパ人専用」に分離され、それぞれ掲示がかけられた。

出典 http://www.y-history.net

・その後アパルトヘイトは廃止に

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その後、この差別的な政策に対し反対する暴動が起こり、1994年に制作は廃止となりました。この頃に比べれば、世界の人種差別は徐々に緩和されているかもしれません。しかし、今回のポスターの問題を受けると、まだまだ人々の心の中にはアパルトヘイト的な差別的な考えが残っているのではないかと疑問に思います。

・子供たちへ伝えなければいけないこと

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なぜこんなにもこのポスターが今回注目されることになってしまったのか。
未来の平和な世界を作るのは子供たちです。その次の世代を担う子供たちに差別的な概念を植えこませかねない今回のポスターは、親を含めた大人たちにとっては大変な問題だったのだと伺えます。
もし子供たちが、差別的な教えを受け継いでしまったら、彼らが大人になったこの先の未来に、またアパルトヘイトや戦争が起こってしまう、ということも考えられるのです。

・肌の色や目の色でその人を判断は出来ない

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肌の色が違っても、目の色が違っても、誰が優れているとか誰がいい人だとかを判断する材料にはなりません。見た目は違ってもみんな平等であり、お互い仲良くなれるのだということを私たちは子供たちに伝えていかなければならないのです。

全ての人が幸せに暮らせる社会とはどんな社会なのか、差別と平等について改めて考えさせられる出来事でした。

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