後ろ足の無い仔犬との出会い

インドのゴアに住むロンドン出身のクリス・ホームヤードさんはその日愛犬の散歩をしていました。美しいミラマービーチを歩いていると、一人の男性に「茂みの陰に弱った犬がいる」と話しかけられました。

モンスーン季の為浸水した茂みにうずくまっていたのは雑種の仔犬でした。膝まで水に浸かり、逃げようとする犬をやっと捕まえたクリスさんは自らの目を疑いました。

犬の後ろ足が、両方ともメスで切ったかのようにスパッと切り落とされていたのです。

健康な仔犬が後ろ足を失った理由

翌日、クリスさんは仔犬を獣医師の元へ連れて行きました。切り落とされた後ろ足の切り口を見た獣医師はクリスさんの予想に同意しました。

「恐らく、獣医を目指す学生か誰かが手術の練習用に犬の足を切り落としたのでしょう。そしてあの茂みで溺れ死ぬように犬を置き去りにした。生き延びたのは奇跡ですね。」

出典 http://ingoanews.com

仔犬は手当てをされた傷口以外は健康で、急速に回復しているようでした。

獣医師にもこれ以上の治療は不要と保証された仔犬をクリスさんはアニマルシェルターへ連れて行きました。

安楽死という選択を拒否

シェルターに預けられた仔犬をクリスさんは何度も訪れました。食べ物も暖かい寝床もあるシェルターでしたが、仔犬は日に日に衰弱しているように見えました。

私はできるだけ頻繁に仔犬の様子を見に行きましたが、以前よりも弱々しく、痩せているのが分かりました。小屋に近づいて彼の体をよく見たら、あらゆるサイズの五百以上の犬ダニが張り付いていたのです。

出典 http://ingoanews.com

クリスさんはすぐに仔犬を他のシェルターへ移す為連れ出しましたが、そこにいた獣医師の言葉は非情でした。

ハンディキャップを背負った仔犬を欲しがる人はそうそういない。この先この仔犬に飼い主を見つけるのはほぼ不可能である。今、ここで安楽死させてあげることこそが最良の選択である。

クリスさんの答えはNOでした。

「私は『安楽死?何の為に?』と聞きました。私が見る限り、彼は健康な犬でただ適切な手当てと愛情が必要なだけ。人間だって手足を切断しても幸せに長生きすることが可能なのに、どうして仔犬にはそれができないと?」

出典 http://www.gloucestershirelive.co.uk

こう話すのはクリスさんの妻、ロビンさんです。

新しい家族と海を渡る為に

クリスさん夫妻に家族として迎え入れられた仔犬はプリンスと名付けられ、今ではすっかり健康そのものになりました。

けれど今、この家族には新しい試練が待ち受けています。

インドでの仕事を終え母国イギリスへ帰国予定のあるクリスさん。もちろんプリンスも一緒に連れていくつもりなのですが、その費用は莫大にかかります。

更に、二本足で器用に歩くプリンスですが、もっとアクティブに動き回れるよう、クリスさんは犬用の車椅子の購入も希望、現在オンライン上にて募金を募っています。

言葉の通じない動物たちの為に人間が下せる決断とは

プリンスは人間の勝手さ故に後ろ足を失いつつも、身体は健康であった為クリスさんの元で新しい生活を始めることができました。

けれど時として安楽死こそが最良の選択であるとしか思えない状況もあるかも知れません。

ペットを愛しているからこその辛く悲しい決断。どんな答えにしろ、言葉の通じない動物の希望を知ることができない私たちが頼れるのは、ペット達への愛情と信頼関係だけではないでしょうか。

小さくても尊い命。そして、人間の言葉を喋らなくても痛みや苦しみは感じている動物たち。

怪我や病気を治してくれる医療も重要ですが、一番大切なのは、人間と同様、動物も思いやることができる愛情なのかも知れません。

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