ホテルで朝食会

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私は朝早起きしてホテルで朝食会というものを開催致しております。

「成功者は早起きだから」
「成功者に学ぼう」

...そんな殊勝な、いわゆる「意識高い系」の人の集まりではありません。

むしろその逆。

ホテルの朝食ってテンション上がりますよね。

「早起きできない」
「なので、早起きするきっかけを作りたい」

だからそんな「きっかけ」を作り、どうしても早起きできない人を集めて「朝食会」を開催する。

そんな極めて緩い集まりです。そういう意味では近年多く存在する朝活、と呼ばれるイベントの中でも「異色中の異色」といえるのかもしれません。

開催を始めてから約10年。おかげ様で開催数は100回を超え、500人を超える方々とお会いする機会を頂くことが出来ました。

一つだけ参加者の方々にお願いしていること

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そんな朝食会において、一つだけ参加者の方々にお願いしていることがあります。それは何かといいますと、

「名刺・自己紹介なし」

即ち、

「相手がどんな人か全くわからない」

むろん、中には本を出版されている方、セミナーを多く開催されており、会った瞬間に「あっ、この人!」という方もいらっしゃいます。

しかし多くの方は「普通の人」です。

「早起きしたい」
「ホテルの朝食って楽しみ」
「非日常的な雰囲気を楽しみたい」

そんな気持ちでやってくる。

「有名な人と知り合いになりたい」
「ビジネスのための人脈を作りたい」

そんな理由で参加する方は基本的に、いません。

実はそんな「極めて緩い内容」になったのは理由があります。

きっかけは異業種交流会

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その当時、「早起きをしたい」と思い、様々な交流会に参加しておりました。

そしてその話をしていたところ、ホテルの話は予想外に反響がよく、その名刺交換をした人達で「二次会的に」交流会をする機会が何度か発生しておりました。

「これはひょっとして使えるのではないか?」

そんな気持ちがあり、積極的に異業種交流会に参加し、自分がこれから開催しようとする交流会(ホテルでの朝食会)についてアピールを行っていたところでした。


ある異業種交流会で名刺交換をしたときです。名刺効果をした相手は自己啓発セミナーの教材のセールスマンでした。

「あなたの話に興味がある」
「今度、いつ会えますか?」

当初、何の気にもなしに、仕事の隙間の時間、都内で会う約束をし、その人と会ってみることになりました。

そしてその人と再びお互いに「自己紹介」。

あなたの夢は何ですか?

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すると彼が言った事、

「あなたの夢は何ですか?」

別に夢というわけでもないのですが、一般的な話、

「そうですね、一生懸命仕事頑張って、仕事も収入も増えて行ったらいいですね...」

まあ、一般的な受け答えですよね。

そこから、何となく違和感を禁じ得なかったのですが...

「どのくらい稼ぎたいですか?」
「どんな自分になりたいと思いますか?」
「具体的にどんな成功をイメージしてますか?」

...いきなりこんなことを言われて完全に困惑状態です。

しかし、ここで何となく相手の機嫌を悪くするのもよくないのでは?と思い、とりあえず、

「数倍アップ、なんてことになったら凄いですよね」
「成功モデルを人に伝えられるようになりたいですね」
「お客さんがお客様を紹介してくれるような感じでしょうか?」

とにかくその場で思いつくような回答です。

こちらとしては、基本的に「サービス」のつもりでした、ところがこれが「よくなかった」のです。

どうやら私は「カモ」と思われたらしい

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これは後述致しますが、相手にしてみれば、

「(セールストークが上手く行く)パターンに入った」

どうやらそう、誤解させてしまったみたいなんですね。

腹から見て、このように思ったから、いらっしゃるかもしれません。

セールスマン「聞き上手だなぁ。上手く相手の会話を引き出している」
客(つまり私)「一方的に話してばっかじゃん。ちゃんと相手の話を聞けよ」

そう思われたかもしれませんね。でも、こちらにしてみれば、

「何で別に興味もない相手の話を聞かなきゃいけないんですか?」

別に自己啓発、それも数日前に初めて会った人に対して、そんなものすごく興味を持てって方がおかしいですよね?

そんな感覚なんです。完全に「お互いに意識のズレ」もしくは「ボタンの掛け違い」です。

ところがコレ、セールスマンが一方的に自分に都合よく解釈して話が進められてしまう...

何度もかかってくる電話

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後日、再びそのセールルマンから、しきりに「今度いつ予定が空いてますか?」と、電話がかかってきました。

もう話を聞く気もなかったので、とりあえず「今は忙しいので」とその場は電話を切りました。

すると翌日..再び「今度いつ予定が空いてますか?」と、電話がかかってきました。

こちらの態度は同じです。

「今は忙しいので」

要するに、

「もういいから。電話しないでくれよ」

しかしセールスマンはとにかく引き下がらない。

その後、

「いつ空いてますか?」

その繰り返しです。

いい加減にしろ、と電話を切ることも可能だったのかもしれません。

しかし異業種交流会で名刺交換をしたのがそもそものきっかけです。もしそのような感じで「喧嘩別れ」したらどうなるでしょうか?

そうなると当事者の問題ではない。交流会の主催者にも迷惑がかかるのではないか?そう思うとあまり事を荒立てたくもなかったんですね。

それに、

「まだ勧誘と決まったわけでもないんじゃないか?」

こちらとしても、あまり一方的な思い込みで、喧嘩腰で臨むのもよくない、そう思って、とりあえず会うだけ会ってみようということにしました。

朝礼が終わったら事務所で会いませんか?(えっ?)

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すると彼の反応は、

「じゃあ朝10時、事務所ででどうですか?ちょうど朝礼が終わるので」

...朝礼って何だよ!しかも事務所って

「朝礼が終わるなんてそっちの都合じゃないか!」

そう喉から出かかっていたのですが、そこは我慢して。

正直言って「事務所はマズイ」のです。

補足として説明させておきますと、いわゆる「クーリング・オフ」というものがあります。

これは消費者が商品を事務所以外の場所(例 喫茶店等)で申し込んだ場合、一定期間内、一定の要件の下で解約が可能なのですが、事務所で契約してしまった場合。基本的に解約が出来なくなります(契約の意志ありとみなされる)

つまり彼のいう「場所」に行った場合、解約できない可能性があるんですよね。

むろん高額商品が解約できない、それも嫌なのもあるのですが、

「ミイラ取りがミイラになる」

一応、士業者だったので、そういう状況に陥るのだけは勘弁でした。

しかし後学のためにそういった場所に行ってみたいという気持ちもありました。

後学のためにとりあえず行ってみるか...

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「嫌なら(契約せずに)帰ってくればいい」

とりあえず「契約しない」という結論で、まずはその事務所に行ってみる事に。

そして当日、指定された事務所に伺う。

あっ、コレ契約させる気だな...

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事務所に通され中に入る。そして案内された机に座り、対面側にあるのは...

・分厚いバインダー(おそらく「契約内容」が書かれている)。

そして印鑑。

明らかに、

「契約させる気マンマン」

です。そもそも、まだコチラは現金も印鑑も持参していないというのに...

そして開口一番、

「貴方の夢は何ですか?」

本人は「聞く側」と思っているようですが...

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明らかに話しているのは彼、しかしあくまでも本人は「聞く側」だと思っている。

一見すると本人の意見を聞くようなこの質問。実はもう既に結論は決まっています。

「あなたの話を聞いていると、現状に不満があるようですね」
「ええ、まあ」
「では、それをどうやって解決すべきだと思いますか」
「いや、それは...」
「あるんですよ。実は目標達成の方法は簡単でしてね...」
「いや、でも」
「...(以下、延々と問答が続く)」
「この自己啓発プログラムを契約すれば成功します。さあ、今すぐお申込みを」

要するに相手の話を聞いているフリをして、強引に自分の結論に持って行っているだけなんです。

ちょっと。いえ、ものすごくセコイですよね。

密室でのやり取りはまさに「取り調べ」

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「あなたは成功していない」
「で、そのことに不満を持っている」
「だからそれを解決する方法はこの自己啓発プログラムしかないんだ」

密室でこれ、やられた時の圧迫感たるや凄まじいです。

私の場合、別にそれに興味はなかったし、そもそも胡散臭いと思ってましたので、

「いや、まあとにかく今の仕事を」
「今の仕事は満足してるんですよ」

とにかく「のらり、くらり」

すると彼、何か納得しないのか、予想外の反応なのか、

「ではもっと成功する方法を...」

何といいますか...笑っちゃうんですよね。もう、ここまで行くと。

すると彼、何か納得しないのか、予想外の反応なのか、

「ではもっと成功する方法を...」

何といいますか...笑っちゃうんですよね。もう、ここまで行くと。

「もっと成功すべきだ」
「このままでいいわけがない」

いや、いいって言ってるでしょう...あんまり人の意見を否定しちゃいかんですよ。

しかし納得できないんですよね。彼的には。

「どうせヤセ我慢してるんだろう」
「大金持ちにならなければ満足なんかできるわけない」

要するに「刷り込み」です。

確かに「お金持ちになる」という成功モデルは存在します。しかしその成功が全てにおいて幸福をもたらすわけではないですよね。

それを追及しすぎたがめ、家族が離れて行く。そして「付き合い」と称して「しがらみ」に苛まれる...身の丈を超えた大金を手にすることって、ある意味、非常にリスクの高い行為なんです。

自分にはまだ、それを判断するだけの機会が十分に訪れているとは思えない。だからいきなりそのような「お金持ちになるマインド」を今すぐ身に付けて全てを解決、なんて全然考える気にもなれないわけです。

ところが彼にはそれが全く理解できない。

「この弱虫、ガタガタ言わずにサインしろ」
「黙って俺の言う事聞けばいいんだよ」

だんだん相手の苛立ってくる態度が手に取るようにわかってきます。

しかしここで相手のペースに乗るわけには行きません。

「契約ありきの内容であることはわかった」
「じゃあ、そうと分かったからにはとにかくどっかで話を切ろう」

そう分かっているのですが、相手もだんだんこちらの気持ちを理解し始めたらしく、その態度に更に焦りが見え始めている。

一刻も早く帰りたかったのですが、相手もなかなか引き下がらない。

目が笑ってない

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相変わらず表情は笑顔なのですが、なぜか、

「目が笑ってない...」

アレ、本当に怖いですよね。

別に殺されるわけじゃないですけど、本当にあの表情は勘弁です。

「不満があるだろう?早く言っちゃえよ」
「この場で契約しちゃえば楽になれるんだからよ」

そんな感じで、とにかく迫ってくる...

一計を案じた状態で思いついたのが、

「シラを切る」

何を言ったかと言いますと、

「え~っと、何の話してたんでしたっけ?」

彼は...キレた

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これにはさすがの相手もキレたらしく、いきなりドンッと机を叩き(その場に出されていたお茶が一瞬浮き上がって、こぼれるかと思った...)

「ハァ?それ(=自己啓発プログラムの契約)が目的に決まってんだろ?やる気ねーんなら帰れよ!」

この時「シメた!」

と思いました。このタイミングを逃すことなく、

「では、帰らせて頂きます」

言った相手も今更引き下がることができず、苦虫を噛み潰したような表情をしたことを今でも覚えています。

誤解をしていただきたくないのですが、

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ただ、これで誤解して欲しくないことがあります。それは彼が仮に悪徳業者だとして(だったかもしれませんが...)

「勝った」
「ざまあみろ」
「成敗してやった」

そのようなことを、いちいちここで自慢する気はないということです。

彼は彼なりに、

「契約を獲らなければならない」

あるいは私の事を、

「コイツは見込み客(というより、カモ)に違いない」

そう思ったのかもしれませんね。

そういう意味では、彼に同情の余地すらあります。

コンプレックスを煽ることは卑怯だ!やめろ

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しかし、

「ありゃ恫喝だよ。目が笑ってないのは勘弁して欲しい」

それと、

「コンプレックスを煽るのは止めてほしいですね。あれ本当にムカつく」

一方的に、

「お前は成功してない」

そうレッテルを貼り、

「この成功プログラムを学ばないとダメだ」

そうやって一方的に価値観を押し付ける。

一体何様のつもりなんだよ!と、ホント。

なぜ名刺も自己紹介も「なし」なのか?

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私が朝食会で「名刺・自己紹介なし」の理由。実はココにあります。

「コンプレックスを煽るのは止めてほしいですね。あれ本当にムカつく」

だから、

「相手の素性をいちいち詮索しない」
「人に話せる内容しか聞かない」

それでいいと思いませんか?

話しづらい環境で無理に話す必要はない

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真面目なあなたはひょっとして、無理に一生懸命話そうとしていないでしょうか?

「沈黙が怖いから」

そうおっしゃる方がいます。

しかし本当のところはどうでしょうか?

「相手に気まずい雰囲気を味わわせたくない」

そんな気持ちで、つい頑張り過ぎていないでしょうか?

その努力が故に、自分自身を傷つけてはいないでしょうか?

むろん、自分自身が傷つくことはよいことではありません。

しかし、それが相手まで傷つけているとしたらどうでしょうか?

それが「話しやすい環境」である限り

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人は話しづらい環境では話せない。

しかし、それは言い換えれば、

「話しやすい環境さえ整えれば話せる」

それがホテルの朝食という「非日常的な空間」で、テンションの上がる雰囲気はといいますと、

「話しやすい環境」

これを作るだけで、たったこれだけで初対面の人と話せます。

というより、それだけで十分なんです。

聞き上手だとか、そういうテクニックの類は必要ありません。

相手を傷つけたくないので

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「ただ相手を傷つけたくないから」

この朝食会、究極の趣旨はそれなのかもしれません。

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