生まれてくる子供に障がいがあったり奇形であるとわかった場合、産むかどうするかは母親次第。事前に検査でわかればまだ選択肢はありますが、わからずに赤ちゃんが生まれてしまった場合は、その責任を取らなければならないというのが筋でしょう。

しかし、中には「こんな子供、いらない」と言って責任放棄してしまう親も…。今から5年前の2011年、インドのキリスト教使節病院で一人の男の赤ちゃんが生まれました。

ところが、生まれたばかりの自分の子供を見た夫婦は、その子の顔や手足が奇形であったことから病院から連れて帰ることを頑なに拒否したのです。そして「連れて帰っても私たちはこの子を殺してしまうかも知れない」とまで発言しました。

後に「アダム」と名付けられた男児

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アダムは見た目が奇形でしたが、脳の働きはしっかりしていて心臓も肺も健康な状態でした。アダムの疾患は「バルツォカス・パパス症候群」と呼ばれるもので、眉、鼻、口、そして手足が欠損した状態で生まれました。

ラジャさんとジェシカさんはアダムを養子にして引き取った

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アメリカ人のジェシカさんとインド人のラジャさんは国際結婚カップル。結婚してまだ半年という夫婦でした。アダムが生まれた病院で働いていた二人は、アダムのことを聞き、「誰にも望まれないというのはあまりにも可哀相過ぎる」と、アダムを養子にすることを決心しました。その後、夫婦はアダムをアメリカに連れて行き、アダムは専門医の下で手術を行いました。

しかし、アメリカでの入院、手術、治療にかかる費用は半端ありません。そこで夫妻はアダムのために寄付金サイトを設置し、みんなからの寄付を募りました。みんなの好意は一週間で10万ドル(約1千万円)にも達し、アダムは複数に渡り手術を受けることができ、幸いにもその手術は成功しました。

手術により口と眉毛ができたアダム

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この手術で、アダムには口と眉ができました。しかし、アダムの顔はまだ手術が必要だといいます。鼻と耳と口という各パーツの手術も何度も何度もしなければなりません。そしてアダムが成長するに従って、義手や義足も付けられるようにしてあげたいとジェシカさんとラジャさんは話しています。

口蓋手術をして、声を発することができるように

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口蓋手術をしたことで、アダムは声が出せるようになったそう。まだ言葉を話すことはできませんでしたが、ようやく笑うことを覚えた様子。アダムが生まれた時に、病院の医師は「助かる可能性は少ない」と言っていたそう。ところが2か月生き延びた時に「1億分の1の確率」と言われていました。

その後、夫妻は2人の子供に恵まれた

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アダムを養子にしてから、2人の男の子を授かったジェシカさんとラジャさん。アダムはお兄ちゃんになりました。アダムは本当の親を知ることがなくても、愛溢れるジェシカさんとラジャさん家族に育てられ、兄弟にも囲まれて幸せな年月を過ごしてきました。

しかし、最期の日はあまりにもあっけなく…

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ところが今年の6月、アダムはこの世から去りました。4月に受けた手術の後から具合が悪くなり、肺炎を起こし病院に搬送されたものの、呼吸不全に陥り帰らぬ人となってしまったのです。

9月18日の5歳の誕生日を迎えることなく、4年というあまりにも短い人生を駆け足で去って行ったアダム。それでも、彼は精一杯生きました。ジェシカさんによると、手足がなくてもハイキングが好きで笑うことが好きで、絵本を読むことが大好きだったそう。

約5年の間に17回に渡る手術を受けたアダムは、今ようやく平和の眠りにつきました。ジェシカさんはFacebookに「アダムを失ったという痛みを言葉で表すことなどできません。でも、息子は信じられないほど穏やかに旅立って行きました」と綴っています。

「どんな姿形でも、生きる価値がある」

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ジェシカさんは、アダムを育ててどんな人間にも生きる価値があるのだということを実感したと自身のブログで綴っています。「低出生体重児であっても、ダウン症であっても、どんなに障がいを持っていても、彼らの人生を正当化する必要はどこにもないんです。アダムを見ていて感じました。ただ、生きているその存在が価値あるものなのだと。」

実の親に「いらない」と言われ、捨てられたアダム。しかし彼の5年弱の人生は、家族の愛に溢れとても幸せだったことでしょう。たった5年未満の命でも、存在する意義や価値があったのだということをジェシカさん家族は何より知っています。

アダムには、今はただ安らかに、天国で家族を見守ってあげてほしいと願わずにいられません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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