FPの辻本ゆかさんは、30歳を過ぎてファイナンシャルプランナーという資格に巡り合い、乳がんにかかったことをキッカケに相談業務を始めました。「あなたは大学に行けない」と言われて育つなど、お金に苦労した経験を振り返りながら、「あきらめかけた夢や叶えたい思いのためにもお金の勉強を今から始めてみませんか」と読者に呼びかけます。

目覚めると両親がいなくなっていた

私が子どもの頃、家でお金の話をすることはありませんでした。時代もそうでしたが、何不自由なく毎日を過ごせていたからだったと思います。でも、ある出来事がきっかけで、そんな我が家の生活が一変しました。

小学校4年生の夏休み。目覚めると、いるはずのない叔母が目の前に立っていました。父が帰宅途中で事故に遭い、母は病院に行っている。しばらく帰ってこないので、あなたたち兄弟を引き取りに来た、とのこと。それから1ヶ月が過ぎ両親は帰ってきましたが、父の足には障害が残り、歩くことが不自由な状況になっていました。父は無事会社へ戻ることができましたが、待っていた仕事は単純作業で、残業の全くない部署への配置転換。年収は激減しました。

「あなたは大学に行けません」

30歳になったばかりの母は、暮らしの変化を受け止められなかったのでしょう。ことあるごとに「うちにはお金が無い」と言うようになりました。そして「あなたは大学に行けません。高校も公立しか行かせません。就職しやすい商業高校だけ受験させてあげる」と。

後になって当時のことを聞くと、母は誰にも相談をしていませんでした。誰に相談することがいいのかもわかっていなかったようです。生活が苦しいことは、できれば誰にも知られたくなかったとのこと。母を責めることはできませんでした。

30歳を超えてFPを知る

母の言うとおり、私は商業高校を出て簿記の資格が活かせる仕事につきました。その後、派遣会社に登録し証券会社を紹介され、そこでファイナンシャルプランナーという資格に巡り合ったのです。

この資格は、暮らしにかかわるお金のことを幅広く知ることができるもの。当時すでに30歳を超えていたのですが、いかに世の中のことを知らなかったのかに気付き愕然としました。

奨学金や教育訓練給付金など勉強をしたい人が使える制度があることもわかり、さっそく通信教育でFP資格を取得。同時期に証券外務員資格も取得したことがきっかけとなり、営業職の社員にチャレンジしました。転職で天職に巡り合えたのです。

お金の知識が増えたことで人生の選択肢が大幅に増えました。あきらめていたことも方法を知ることで叶えることができる。大きな発見でした。

資格を取得したころは、その知識は自分のために使うものだと思い、誰かのためにという認識はありませんでした。その考えが変化したのは今から4年前のことでした。

乳がんを発症。知識のない人の存在を知る

きっかけは、乳がんを発症したことでした。医療技術は進歩し、「がん」は「死ぬ病気」から「ずっとつきあっていく病気」に変わりつつあります。一方で、お金のことについてはあまり知られておらず、自分自身が社会保障でどこまで守られているのか、自分でどれだけのお金を準備する必要があるのかといったことが分からず、がんを告知されてから慌てる人が多いことを知りました。

高額療養費制度や傷病手当金などの社会保障制度がある事を知らず、治療をあきらめてしまう人もいるようです。「お金の切れ目が命の切れ目」とならないよう、知識が必要だと強く感じた瞬間でした。

人に言えない悩みこそ、誰かに頼るべき

残念なことに、情報は自分で取りに行かないと得られません。インターネットが普及したことで、随分簡単に得られるようになってきましたが、玉石混合で取捨選択が難しいようにも感じます。

がんになった時、精神的・体力的なダメージを受けるなかで、お金のことをどうすればいいのか随分悩みました。信頼できる人に相談できれば安心なのに、と。ならば私がその信頼できる人になればいい。それが職業としてFPを選んだ理由です。 

FPは、大学で経済学を学んだような知識に溢れた人のイメージがあるかもしれませんが、私のように一歩ずつ前に向かって進んできた者もいます。人に言えない悩みこそ、ほんとは一番に誰かに頼るべきこと。私たちも自分の知識の範囲を超えるときは税理士など他の誰かに頼ることがあります。ご自身で難しいと思うことがあれば気軽に相談してください。一緒に解決の糸口を見つけましょう。

はじめの一歩は「新聞」「先取り貯蓄」がおススメ

お金の知識を得るために、何から始めたらいいのか。私のお勧めは新聞を読むということ。経済新聞のような難しい記事は必要ありません。一般紙にはお金の基礎知識や話題のニュースなど、身近な出来事がわかりやすく掲載されています。サンキュ、日経WOMANなど女性誌からもお得な情報を知ることができるようです。

また先取り貯蓄もお勧めです。お給料から先に貯蓄をし、残ったお金で生活をするという方法はシンプルながらも、しっかり貯蓄できる方法です。私はこの方法を実践し、短大に行くことができました。

知っておトク」は、「知らないと損」の裏返しです。お金の知識を増やし、貯蓄ができる体質に改善することができれば、将来の不安が軽減できます。

始めることに遅いはありません。必要なお金のことだけでなく、あきらめかけた夢や叶えたい思いのためにもお金の勉強を今から始めてみませんか。

辻本 ゆか
夫婦ふたりの暮らしとお金アドバイザー、CFP。大手金融機関にて個人向け営業に従事。その後、乳がんを発症した経験から、備えることの大切さを伝える活動を始める。FP Cafe 登録FP。

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