斎藤一の画像が無断使用された本を見つけた

今月6日、通信歴史講座のDVD収録のため、ロケをしてたのですが、帰りに八重洲ブックセンターに立ち寄りまして、歴史本コーナーを見ると新選組の新しい書籍が刊行されておりました。驚いたことに7月に公表した斎藤一の画像が使用されておりました。

この書籍の発売は9月23日になっており、ちょうどこの日、所蔵者と一緒に寄託先である福島県立博物館へ行った日になります。ですので、所蔵者立会のもと、掲載申請の件数を知ることが出来たのですが、当然のことながら、この書籍の著者、ないし出版社からは許諾の申請は出されておりません。

それどころか、一般的に掲載申請したくとも、福島県立博物館が受付を開始できたのは9月12日からですので、当然のことながら、この書籍の入稿に間に合う訳もありません。最近は出版社側も所有権(肖像権ではない)の問題から、無断掲載は少なくなったのですが、残念な出来事でした。

筆者が一番驚いた点は違うところだった

とりあえず、無断掲載の件は県立博物館に報告はしましたが、別に筆者から糾弾するつもりはありません。糾弾するには関係者であることが必須だからです。筆者は県博への寄託の仲介はしておりますが、所有権に関する権利を有してはおりません。おそらく頻発すれば県博より出版社へ連絡が行くであろうと思われます。

実はこの書籍について、驚いた点はほかにありました。なんと、相馬主殿(通名;相馬主計)の墓を東京都荒川区にある円通寺の相馬翁輔の碑と混同してたからです。

相馬翁輔とは

コチラの書籍にある通り、彰義隊士です。

また、下記のHPに筆者は史料提供しており、相馬主殿とは別人だとわかります。

実際に相馬翁輔の馬の碑も同寺に存在します。

相馬翁輔の「良馬之碑」

出典筆者撮影

碑の文面

出典筆者撮影

このように、今回紹介した書籍の筆者が一度でも円通寺に訪れていたなら、相馬翁輔を相馬主殿と間違えることはなかったでしょう。最近はネットだけの情報で、いかにも本当のように歴史通を気取る方もおりますが、このように、訪れて碑を確認すれば一目瞭然なこともある訳です。

ちなみに誤解されそうなので附言しますが、実は相馬翁輔の菩提寺は円通寺ではありません。いまは中野区に移った松源寺になります。昭和になって家が絶えてしまったため、同寺に墓碑が現存しておりませんが、東京都町田市にある自由民権資料館青木家文書でその存在が確認できます。

さらに附言すると意外なことが

自由民権資料館の青木家文書の青木家ですが、現在の江ノ電や京急大師線を創業した家柄で、この青木一族の娘が相馬翁輔の妻だったりします。義父、青木勘次郎は天然理心流二代目近藤三助が逗留中に客死した家で、近くに顕彰碑が存在します。もちろん三代目近藤周助の支援者のひとりでもあります。

意外なところで新選組近藤勇の源流と繋がったのは面白いですが、残念ながら相馬翁輔とはリンクしておりません。

おわりに

無断掲載の書籍を見つけたことよりも、こうしたフィールドワークをしないで作られている書籍が蔓延していることに憂慮しております。

このとき一緒に立ち読みした最新刊の坂本龍馬の史跡紹介本でも、絶対に現地踏査してないと確信できる内容もありました。こんな適当に作られては、読者が可哀想ではないでしょうか?

さ来年にNHK大河ドラマ『西郷どん』が決まりましたが、こうした本やムックがきっと蔓延するのでしょうね。

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あさくらゆう このユーザーの他の記事を見る

在野の歴史研究家です。主に幕末維新史を中心に活動しております。昨年は『斎藤一~新選組論考集』の執筆、編集を行い、子孫の縁を経て、斎藤一の写真を公開する等、メディア活動を行っております。

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