左利きだから刀を右に差す?

最近は斎藤一を左利きと信じ、舞台なんかで刀を右腰に差すなんてことが行われていることがあります。いまでこそ左利きは普通に左手でモノを書きますが、筆者の知る昭和ではどうだったか?という観点で私見を述べていきます。

左利きは親に直される

少なくとも、昭和の時代の子供は左利きだった場合、親に右手で書く、箸を右で持つように指導されました。昔は特異性のあることは認められなかった時代だったので、一律に修正することが望ましいとされました。

しかし、マナーは…

このように厳しい躾が行われている反面、庶民的にはマナーはあまりよくなかったと思います。今では絶対禁止されているタバコのポイ捨てなんかは当たり前の時代でした。また、埃っぽいので、道に痰を吐く方が異常に多かったのを記憶にある方もいると思います。今でこそなくなりましたが、各駅には青い痰壺が備えられておりました。もっと大昔には鉄道の客車の通路には痰吐き場があったそうです。

武士だからこそ

では、マナーが悪いから士道もどうか、という点については、武士道という点でOUTでしょう。武士というのは闘う人、軍人と同義語と解釈されますので、武士には武士の作法があります。その作法が守れない者は武士として認められておりません。日本は儒教の国として、「こうあるべし」と教えられた時代ですので、「こうあるべし」に背けば武士道に背いた外道となる訳です。

なにせ、人を斬るための刀を帯びている訳ですから、一定のルールがなければ危険極まりないのは当然ですね。もちろん常識の範囲ですので武家諸法度には書かれておりませんが、むやみに無礼討ちが出来ないのはちゃんとルールがあります。

第一師匠が認めない

刀の件に戻って、剣術ではどうか、ということですが、左利きの剣術を教えることはまずありません。右手と左手の持ち方は変わりません。剣術を学ぶ際に、自分は左利きだから、逆手に持つ、なんてことをしたら師匠は認めません。おそらく目録や免許を与えることはしないでしょう。

目録や免許を与えられてなければ、武術稽古に経歴として「免許はないけど剣術は凄いよ♪」とは書けません。

ただし…

上記までは常識的な話をしましたが、常識を踏まえたうえで、左を得意とするのはアリです。たとえば左片手突き、という技を用いた場合、左を主として使いますので、左から繰り出す技が得意、というのはあったりします。

最後に藤田家としては…

藤田五郎が左利きだった、という話は聞いていない、ということです。これだけでお分かりになると思います。創作が影響して信じ込まれる、ということは往々にしてあることです。まあ、藤田五郎の左利き伝説はあくまでも伝説、ということで。

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あさくらゆう このユーザーの他の記事を見る

在野の歴史研究家です。主に幕末維新史を中心に活動しております。昨年は『斎藤一~新選組論考集』の執筆、編集を行い、子孫の縁を経て、斎藤一の写真を公開する等、メディア活動を行っております。

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