『ミシュランガイド京都・大阪2016』。

その中で、今回初めて関西の“粉もん文化”を代表する、たこ焼き屋とお好み焼き屋が、「手頃な価格で良質な食事ができる店(ビブグルマン)」に選ばれている。

このニュースを地元・関西人はどう感じているのか。さまざまな反応をメディアから拾ってみると……。

「ミシュランも粉もんの良さがわかるようになったか」
「そんなんに載らんでも、旨い店は旨い。それでええ!」
「載った店は調子こいて、値上げするんちゃうか?」

特に喜ぶこともなく、冷静に捉えているようである。

関西人にとって、たこ焼き・お好み焼きはソウルフード。人それぞれに昔からの馴染みの店があり、ほとんど浮気しない。ガイド本に載ったからといって、その店に移ることもない。だとすれば、「ミシュランガイド」に載ったことは、何の影響をも及ぼさないのだろうか。

確かに関西人は影響を受けない。だが、観光で訪れた人にとっては、店を選ぶ目安となるだろう。ガイド本に載っている店は、多くの支持を集めている店なので、「ハズレ」はない。

「あの『ミシュランガイド』に載っている」ということで、興味を示す人も増える。関西の“粉もん文化”が、さらに注目を集めることは間違いない。観光客が増えているいま、観光資源のパワーアップとなり、関西経済の高揚にもつながるものである。大いに歓迎することではある。

だが、なぜ「ミシュランガイド」が、たこ焼き屋・お好み焼き屋を掲載したのかが気になる人も多いだろう。その理由を推察してみた。

「美食の権威」とも言われる「ミシュランガイド」にとって、B級グルメを取り上げることは、マイナスイメージではないのか。価値が下がるとは考えなかったのか。その答えは、「ミシュランガイド」の“役割”にある。

本来は、フランスの優れた店に星をつけ、店を応援し、美食を守ることが目的だった。だが、それだけでは本業のタイヤ販売に結びつかない。「ミシュラン」というブランドをもっと広めることに重点を置く必要があった。そこで、ガイド本をその“ツール”として位置づけた。

タイヤの売り上げを伸ばしたい地域でガイド本を出版するようになり、そのターゲットのひとつとなったのが、日本である。しかも、日本全体で1冊ではなく、「東京」「東京・横浜・鎌倉」「東京・横浜・湘南」「京都・大阪」「京都・大阪・神戸」「京都・大阪・神戸・奈良」「北海道」「広島」「福岡・佐賀」などが出版されている。それだけ、日本のタイヤ市場に食い込みたい、ということの表れである。

関西でもっと注目されたい、もっと「ミシュラン」を認知させたい。その思いが、関西のソウルフードを掲載することにつながったのではないか。関西人に迎合してしまった、というのは言い過ぎだろうか。

とは言うものの、日本人は「ミシュランガイド」に信頼感を持っていて、権威を感じているので、本としてはまだまだ売れるだろう。だが、ミシュランタイヤを利用するかどうかは疑問である。「ミシュラン」がタイヤメーカーであることさえ、知らない人も多いのだから。

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1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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