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医師が解説する医療・健康サイト「Doctors Me」編集部です。
妊娠中は抵抗力が落ちたり、栄養状態・ホルモン状態の変化により、様々病気にかかりやすくなります。その一つが膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症です。
そこで今回は、妊娠中の尿路感染症の原因と対策について、医師に解説していただきました。

妊娠中に頻尿になりやすい理由とは?

尿は腎臓で作られます。腎臓は背中の肋骨の下の端より少し下、背骨の両側にあります。できた尿は尿管という細い筋肉の管を通り、背中側からお腹側に回り込み、骨盤の一番下にある膀胱までたどり着きます。

膀胱にたまった尿は、尿道という5㎝ほどの管を通り、排出されますが、尿管は細い管で、妊娠して大きくなった子宮に押しつぶされやすい位置を通っています。また、膀胱は子宮の真横にあり、大きい子宮に押されて容量が狭くなります。

妊娠中に頻尿になるのは、妊娠中期以降に子宮が大きくなって、流れが滞りやすく、排出されにくい環境になるためです。また、尿を出し切ったつもりでも膀胱内に尿が残ってしまう状態にもなりやすく、細菌にも感染しやすくなります。

膀胱炎、腎盂腎炎の症状は?

尿道の出口は膣の近くにありますが、妊娠中はおりものが多くなったり、膣の感染を生じやすく、尿道から細菌が入り込みやすい環境になります。これらの状態から、尿道・膀胱に細菌が感染すると膀胱炎となります。
膀胱炎の症状は、

・頻尿
・残尿感
・尿が濁り、血が混じる
・排尿時に痛みがある

などの場合もあります。

また、膀胱だけに感染がとどまっている場合は熱は出ないのが普通ですが、膀胱炎を放置すると腎盂腎炎になり、発熱します。

腎臓の出口のあたりに感染が生じると腎盂腎炎と呼ばれ、高熱と悪寒・腎臓のあるあたりの背中が痛くなり、背中を叩かれると背筋にひびくような痛みが出ます。

自分でできる対策&受診の目安は?

尿路には常に尿が流れており、この流れによって多少の細菌は自然に押し流されていきます。軽い膀胱炎なら自然治癒することがあります。おかしいなと思ったら、まずは以下のことを試してみましょう。

1.水分を十分取ることで尿量を増やし、薄い色の尿が勢いよく出るような状況を作る

2.
おりものシートなどを活用し、こまめに交換して外陰部の清潔を保つ

3.
締め付けるような下着をやめ、お腹が冷えない程度に風通しのよい服装を心がる

しかし膀胱炎の全てが自然治癒するわけではありません。1~2日努力しても症状が改善しない場合や、高熱・悪寒・背中の痛みが出てくるようなら、すぐかかりつけの産科もしくは泌尿器科を受診してください。休み中などであれば内科救急の受診でも結構です。

病院を受診すると、どんな検査をするの?

膀胱炎の疑いがある場合、病院では以下の検査を行います。

・尿検査で尿の混濁や潜血、尿中白血球があるかを確認
・発熱がある場合は採血し、血中の白血球や炎症反応の数値を確認
・超音波検査で腎臓や膀胱の状態を見たり、尿路結石がないかどうかを確認

妊娠中でもほとんどの抗生物質は赤ちゃんに影響なく使用できます。ただ、過去に中途半端に抗生剤を飲んではやめるというような使用法をしていると、抗生剤の効かない耐性菌が体の中に増えている可能性があり、治療が困難になることがあります。(抗生物質の使用に関しては、自分で判断することなく、必ず必要な医療機関を受診し、担当の医師に判断してもらうようにしましょう。)

膀胱炎や腎盂腎炎にかかったからといって、即座に赤ちゃんに影響する可能性は低いといえますが、細菌が混じった尿が外陰部に常にあるような状態になると、膣にも感染を起こし、流産・早産につながる危険もないとはいえません。
また、腎盂腎炎になると抗生物質の内服ではなく、入院での点滴が必要になる場合があります。

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医師からのアドバイス

妊娠中の尿路感染症を予防するためには、

・十分に水分補給をする
・外陰部の清潔を心がける
・尿意を感じたら我慢せずにトイレに行って膀胱を空にする
・残尿感・排尿時痛・血尿などの変化があれば早めに受診する

以上の点を心がけましょう。

(監修:Doctors Me 医師)

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