「三立製菓」と聞いて、どんな商品を作っているメーカーなのかが、すぐに思い出せる人は少ないだろう。だが、商品名を言うと、誰もが確かに知っている会社である。

「カンパン」「源氏パイ」「チョコバット」「かにぱん」。

昔から馴染みがあるだろう。企業イメージとしては、やや地味かもしれないが、昔から多くの人が親しみを感じているのは間違いない。

そんな会社に惚れ込み、自ら「三立製菓」の商品専門とも言える菓子店を開業した人がいる。

小堀チエさん、96歳。昭和24年に開業し、現在もご本人が営業を続けている。

その店の名は、「三立亀有」。間違いなく、“三立ファン”であることがわかる。なぜ、それほどまで「三立製菓」にこだわるのか。

事の始まりは、第二次大戦中である。

小堀さんは、戦時中に10年間、「三立製菓」に勤めていた。人を雇えるような状況ではない時代に、小堀さんの生活を支えてくれたのである。

自分のことをずっと雇ってくれていたことに、小堀さんは感謝している。退職後もその思いは強く、恩返しのつもりで、「三立製菓」の菓子を売る店を開業したのである。

そこまで従業員に感謝される会社が、いまの時代にあるだろうか。中小企業ではあっても、大手では皆無ではないか。

雇ってくれたことだけではないだろう。働きやすく、楽しい職場だったのだろう。やりがいもあり、居心地も良かったのだろう。そうでなければ、退職後もその会社の商品を売りたいとまでは思わないはずである。

会社への感謝もあり、商品への愛着が生まれるのも当然である。その感謝の気持ちが、商品販売のお手伝いなのである。そんな会社が、どこにあるだろうか。

会社は従業員を大切にしなければならない、ということを教えてくれる、素晴らしいエピソードである。

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佐藤きよあき このユーザーの他の記事を見る

1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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