1976年の連載開始から40年以上が経ち、いまなお多くの読者の心を掴んで離さない美内すずえ作『ガラスの仮面』。この総発行部数5000万部を超える少女漫画の金字塔の舞台化作品が、まさにいま上演されていることをご存じですか?

主人公である演劇の天才・北島マヤを演じるのは貫地谷しほり。そして、マヤの永遠のライバルである努力の人・姫川あゆみを演じるのはマイコです。9月11日に大阪松竹座での公演を終え、9月16日からは新橋演舞場での東京公演がスタートする舞台『ガラスの仮面』は、原作ファンにも舞台ファンにも全力でオススメできる傑作になっています。本作を「観なければならない」理由をまとめます。

理由その1:驚異の原作再現度

50巻近くにも及ぶ長編大作『ガラスの仮面』(連載中)が舞台になると聞くと、誰もが「どの部分が選ばれるのだろう?」と思うことでしょう。答えは、【すべて】です。もちろん細かいエピソードの取捨選択はあれど、幻の名作『紅天女』の候補選びまでのストーリーを、驚くほどのスピード感で駆け抜けていきます。もちろん、そのためには台詞回しも重要です。『シン・ゴジラ』に勝るとも劣らない速さと密度で繰り出される言葉の洪水に、まずは圧倒されてしまうでしょう。

そして、そのスピード感の中に『ガラスの仮面』ならではの要素を見事に再現しているのが何とも見事なのです。北島マヤの何かが乗り移ったような常軌を逸した天才っぷりや、姫川亜弓の尋常ではない努力の跡、マヤの師匠である伝説の女優・月影千草の波乱の人生など、濃密なドラマがギュッと凝縮されて目の前で展開されていきます。瞬間瞬間でパっと切り替え、その都度100%の演技を見せるキャスト陣はまさに神業。まさしく『ガラスの仮面』の世界そのものです。

また同時に、『ガラスの仮面』ネタというべき極端な表現たちもしっかりと再現されています。【紫のバラの人】である速水真澄とマヤのプラトニックすぎる純愛や、ことあるごとに登場する白目(的な表現という意味ですよあくまで!)、印象的すぎるオーディションでの怪演など、『ガラスの仮面』ファンにはお馴染みの【ガラかめあるある】の連発に、思わずグッときたりクスっとしたりしてしまうこと間違いなし。あの名セリフも、この名セリフも登場しますよ!

もちろん、こだわりぬいた衣裳など、外見もしっかりと『ガラスの仮面』のキャラクターを再現しています。マヤや亜弓はもちろん、水城さん、源造、速水英介など、あらゆるキャラクターたちが出てくるたびに「おお!そのままだ!」と叫びたくなってしまうくらい、見た目も内面も完璧に再現された『ガラスの仮面』の世界。これはもう、実際に観ていただくしかありません。必見です。

舞台『ガラスの仮面~惹かれあう魂~』告知動画

出典 YouTube

原作者である美内すずえ先生のコメントと、2014年に上演された初演版のダイジェスト映像です。いかに原作者がキャスト陣を絶賛しているのかがよくわかります。

理由その2:圧巻の劇中劇『ふたりの王女』

『ガラスの仮面』の魅力のひとつが、劇中劇の素晴らしさです。古典やオリジナルなど様々な舞台でマヤや亜弓の名演が花開くシーンは、『ガラスの仮面』の醍醐味だといえます。そんな数ある劇中劇の中でも特に人気が高いのが、マヤと亜弓が対決する『ふたりの王女』です。

北欧にあるという架空の国エストニアを舞台に、不運にも長く幽閉され祖国への復讐に燃える姉オリゲルドと、国王や国民の愛情を一身に受けた妹アルディスという、ふたりの王女を巡る時代ロマン『ふたりの王女』。舞台『ガラスの仮面』では、この『ふたりの王女』の劇中劇がかなり重要なシーンとなっており、最大の見どころのひとつです。

冷たく心を閉ざしたオリゲルドを鬼気迫る迫力で演じる亜弓役のマイコ、いつでも周りを太陽のように明るく照らすアルディスを可憐に演じるマヤ役の貫地谷しほり。原作で夢中になった『ふたりの王女』の世界が、想像していたままに目の前で繰り広げられる光景は、心が震えるほど感動的です。特に、クライマックスのふたりの対決シーンは奇跡といっていいほどの素晴らしさ。すべての人にこのシーンを観てもらいたい。心からそう思います。

理由その3:初演を観た人でも楽しめる、新たな脚本

舞台『ガラスの仮面』は、2014年に青山劇場で上演されたものの再演です。しかし、【再演】ということが憚られるほどに新しい作品となっています。実際、多くの部分が構成し直されていて、新しいシーンもかなり増えています。また、いまはなき青山劇場の機構を存分に生かしていた初演のセットに対し、今回は美術セットも全く新しいものになっています。スピード感のあるストーリー進行に合わせて次々と姿を変え、ありとあらゆる場面に変化していくセットデザインは一見の価値あり。「こういった表現の仕方もあるのか」と、新たな発見の連続に目を見張ることになるでしょう。

2014年の初演版をご覧になった方も、ぜひ今回の舞台『ガラスの仮面』に足を運んでみてください。構成もガラっと変わり、キャスト陣の演技の深みもグッと増した今回の舞台『ガラスの仮面』は、間違いなく前回からパワーアップしています。

東京公演は2016年9月16日(金)~26日(月)

原作ファンはもちろん、そうでない方にも是非ご覧いただきたい舞台『ガラスの仮面』。美内すずえによる強力すぎる原作と、G2の手による魔法のような演出、そして貫地谷しほりをはじめとするキャストたちの驚異の演技力により、他にはないパワフルな舞台に仕上がっています。ぜひ、新橋演舞場で目撃してきてください!

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元イベントプロデューサーで1児の母。夫の仕事の関係で昨年より関西に移住。舞台鑑賞と映画鑑賞が生きがいです。

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