「ナイトショップ・いしづち」は、愛媛県発祥のチェーン店で、西日本各地に点在している。

各店で調理する手づくり弁当と大きなおにぎりが“売り”である。食品や日用品、雑誌なども売っているので、“コンビニ”に分類されているが、実は「コンビニ業態」が確立する以前から営業しているので、“コンビニ”とは謳っていない。

その代わり、「ナイトショップ」という名がついている。その名からも想像できるように、深夜営業をメインにしている。

現在のコンビニのように、“夜も開いている”“24時間営業で便利”という意味のナイトショップではない。若い男性がそっと訪れ、欲求を解消するための道具を買いに来る店である。そう、エロ本やエロビデオである。

昼間は普通のコンビニなのだが、夜は少し趣きを変える。夜の「いしづち」を解説してみよう。

人通りの少ない深夜の街の片隅に、静かに明かりを灯す店がある。店の奥には、エロ本やエロビデオが並ぶ棚。

静かに訪れた男性客がしばし棚を眺め、好みの商品を選ぶ。決めた商品を手に持ったまま、足早に歩きながら、菓子やカップラーメン、おにぎりなどをサッと手にして、レジへ。「○○円になります」と言われ、無言で金を差し出し、また足早に店を出る。

これが、深夜の「いしづち」で繰り返される光景である。

だが、この光景に違和感を憶える人もいるだろう。「いまどき、そんな店があるのか?」。

そう思うのは当然である。

街はずれの国道沿いにある、男たちのワンダーランド。エロ本・エロビデオばかりを売る店。今はほぼ絶滅したが、20年前、いや10年前までは確かに存在していた。

「ナイトショップ・いしづち」は、そんな店を兼ねているのである。「兼ねていた」ではなく、「兼ねている」。昼間は普通のコンビニ、夜は“エロの館”として健在なのである。

だが、ネット時代には不要な存在。わざわざ店に出向いて、恥ずかしい思いで買う必要もない。

「いしづち」も時代の流れには逆らえず、次々に閉店に追い込まれていった。

ところが、数店舗だけだが生き延びている。チェーン店本部も廃業したので、看板をそのまま、独自経営で営業を続けているのである。

本来なら、別のフランチャイズと契約したり、看板をつけ替えて個人で営業するのだが、「いしづち」たちはそうしなかった。看板への愛着なのか、仲間意識なのかはわからない。

さすがに、エロ本・エロビデオは売れないので、弁当とおにぎりをメインにした“コンビニ”として営業している。

私は何店舗かを見ているが、正直なところ「よくこれで潰れないなぁ」と思う。大手コンビニに慣れた眼で見ると、名前もふくろうのマークも、店の雰囲気も、すべてが垢抜けない。

店内も煩雑で、田舎の何でも屋を思わせる。メイン商品である弁当やおにぎりも、昔の“おかん”が作るようなものである。旨そうではあるが、お洒落という言葉とは無縁である。棚に並んでいる日用品なども、いつから置かれているのかと思うほど。品数も少ない。

エロ本・エロビデオも売れ残りなのだろうが、いまだに棚に並んでいる。

こうなると、ダサいとか古くさいという感情はなく、哀愁を感じてしまう。そして、どこか懐かしい。タイムスリップしたかのような、不思議な感覚になる。

「いしづち」は、住宅街にある。もし近所にあれば、ふらっと立ち寄ってしまうだろう。ひとり暮らしなら、弁当と飲み物を買いに行くだろう。

普段は大手コンビニを利用していても、週に何回かは「いしづち」へ行ってしまう。そんな存在なのではないか。

本当に「いまどき?」な店である。ぜひ、一度見て欲しい。消滅する前に、体験して欲しい店である。

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1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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