少子化のリスクが叫ばれる一方で、まだまだ保育園は足りず、女性のワークライフバランスにも問題は山積みの日本。

解決すべき課題はたくさんありますが、そんな中、様々な立場から様々なかたちで、この現状を打開しようとする試みが行われています。

願いはひとつ。子どもたちが安全に健やかに暮らせる社会になること。
それは引いては、私たち大人が安心して子どもを生み育てられる社会ということ。
その願いのもとに日本全国から夢と熱意とアイディアが集まるイベントがあるのをご存知ですか?

キッズデザイン賞とは?

キッズデザイン賞とは、「子どもが安全に暮らす」、「子どもが感性や創造性豊かに育つ」、「子どもを産み育てやすい社会をつくる」ための製品・空間・サービスにおいて特に優れたものを選び、広く社会へ伝えることを目的とした取り組みで、その歩みは今年で10周年を迎えます。

日用品から住宅、街づくり、ワークショップ、調査研究まで、子どもに関わるものであればどんなジャンルのものでも応募が可能で、厳正なる審査を通過して選ばれた受賞作品には「キッズデザインマーク」の使用が認められるのです。

子ども基準で掲げられた、3つのデザインミッション

キッズデザイン賞は、その趣旨に基づき、3つのデザインミッションを掲げています。
応募対象は、プロダクト、建築・空間、コミュニケーション、調査・研究、復興支援とまさにオールジャンルで、応募部門は以下の3つに分かれています。

・子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門
・子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門
・子どもたちを産み育てやすいデザイン部門

2016年は34作品が優秀賞を受賞!

今年10周年となるキッズデザイン賞。
今年の応募総数は503点で、過去最高となりました。その中からまず7月に受賞作品297点が発表され、そこから更に優秀な34作品が選ばれ、先日、内閣総理大臣賞をはじめとする錚々たる賞が授与されました。

内閣総理大臣賞は、里山文化を通じて創造性を育む幼稚園

出典提供画像

数多くの応募作品の中から第10回内閣総理大臣賞を受賞したのは、学校法人東京内野学園 東京ゆりかご幼稚園、渡辺治建築都市設計事務所、リズムデザイン=モヴ、三高設計による「東京ゆりかご幼稚園+里山教育」でした。

この幼稚園のある場所は、もともとは17mの高台で強風とともに雨や雪が吹きつける非常に厳しい環境だったそう。
そこから数々の工夫と努力により、高台に登る車道をつくり、水はけをよくした高台には北の強風と南の直射光を遮る木造の大屋根と壁を配し、過ごしやすい室内環境をつくりだしたというのだから、驚かずにはいられません。
また、ただ過ごしやすく環境を整えるだけでなく、里山文化が息づく環境にするため、畑と棚田、ビオトープも作られ、更には井戸までもが掘られたのです。

出典提供画像

すごいのはこれだけではありません。
教室と里山文化をつなぐ100mの「えんがわ」、敷地から繋がる47haの森に通る奈良時代からの鎌倉古道など、大自然の中の里山文化を通じて子どもたちが創造性と冒険心を育むための工夫が至るところに散りばめられています。

環境や建物の秀逸さだけでなく、その環境で子どもたちが体験する様々な出来ごとや遭遇する驚きや感動を思えば、まさに内閣総理大臣賞にふさわしい応募作品であるといえるでしょう。

安倍総理からも、内閣総理大臣賞授与に際して次のようなメッセージが届きました。

出典筆者撮影

キッズデザイン賞の意味

キッズデザイン賞を受賞すると、キッズデザインマークの使用が認められ、優秀作品に選ばれれば大きな話題となり、その広告効果と名誉には大きなメリットがあるでしょう。

でもそれ以上に、ありとあらゆる分野において、たくさんの個人や団体、企業が「どうしたら子どもの安全性や創造性、安心して子どもを生み育てられる社会に貢献できるか」を本気で考え、知恵とアイディアをしぼり、たゆまぬ努力によってカタチにすることにこそ、キッズデザイン賞の意味と価値があるのだと思います。

ひとりひとりの力ではなかなか前進できなくても、まだまだ問題が山積みでも、少しずつ子どもの健やかな未来を本気で考える人と本気で考える時間が増えていけば、社会はきっと良い方に動いていくはず。

まずはこうした活動に関心をもつことから始めましょう。
自分ひとりでできることは限られていても、子どもの未来に貢献する活動そのものや、その活動に参加する人々や企業を支持することも応援につながります。

一歩ずつ、大人たちが今より安心して子どもを生み育てられるようになり、そうして生まれた子どもたちが安全に心豊かに育っていく社会に近づいていると信じて。

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「人、もの、コト」の魅力を探り、伝えることを目的として、マーケティング会社に勤務する傍ら、フリーライターとして様々なメディアで執筆活動を行う。
長年に渡る販売業の経験で培った、人の心を動かす視覚的・感情的アプローチや切り口の提案を得意とし、各メディアに記事やコラムを多数執筆している他、執筆に限らず、イメージ写真撮影、ツール作成、イベント運営サポートなど様々な活動を行っている。

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