日本初のハンバーガーショップでありながら、いまはその存在さえ知らない人も多い「ドムドム」。知っている人も「まだ、やっているの?」と言うくらいに、忘れ去られようとしている。

ダイエーの子会社が運営を始め、最盛期には全国で約400店舗にまで拡大していた。だが、いまや80店舗にも満たない。なぜ、ここまで落ちていったのか。

まず、転落の第一弾となったのは、業界の価格競争である。マクドナルドが、半額キャンペーンを実施した時期である。モスバーガーほどの商品力がなかった「ドムドム」は、低価格競争に乗るしかなかった。

その結果が、赤字転落。盛り返すために取った手段が、次々に繰り出す新商品ラッシュ。

「お好み焼きバーガー」「チキンクリームシチューバーガー」「ギョウザバーガー」……。

他社との差別化を図ろうとするあまり、珍商品ばかりを投入した。業界では、“迷走状態”とも揶揄されるようになってしまった。

だが、皮肉にも、この迷走が功を奏した。“珍商品”に共鳴するファンを生み出すという結果をもたらした。マニアと言っても良いだろう。

マニアをターゲットにしたビジネスは強い。マニアは、次々に登場する変わった新商品を期待するようになる。大儲けはできなくとも、確実な利益は生み出せる。

また、「ドムドム」の出店場所に、低空飛行ながらも安定して飛び続けることのできる秘密がある。親会社であるダイエー店舗に併設する店やフードコートに出店するため、集客の苦労が少ない。買い物途中や帰りに立ち寄る客がたくさん見込める。

この方法で、「ドムドム」は生き抜いてきたのである。

ところが、転落の第二弾が始まってしまった。

ダイエーの消滅。経営不振から、イオンに吸収されることになり、不採算店が続々に閉店となっていった。それに合わせ、「ドムドム」も閉店せざるを得ないように。

ダイエーの集客力に頼ってきたので、別の場所での再出発はできない状況にある。「ドムドム」には路面店もあるのだが、数は少なく、恐らくそのノウハウは蓄積されていないのではないか。ダイエーに乗っかったまま営業し続けた結果、他社のような戦略を取ることはできなくなってしまったのである。

残念ながら、ダイエーとともに消え去る運命なのかもしれない。だが、見込みがないわけではない。少なくとも、私はそう思っている。

先に書いたように、マニアがついている。“変な”ハンバーガーを生み出す勇気とセンスは、広くアピールすることができれば、“大化け”する可能性を秘めているのではないか。

PRをほとんどしていないため、“変な”ハンバーガーもあまり知られてはいない。もっとネットを活用するなどして、新商品をどんどんアピールすれば、マニアは増えていくのではないか。

また、「ドムドム」は店舗によって、独自の商品を置いている。クレープを売っている店もあれば、和菓子を売っている店もある。フランチャイジーを縛らない仕組みが、逆に店ごとの個性を生み出している。

すなわち、他のハンバーガーショップと違い、地域に合わせた独自戦略を取ることができる、ということである。これは、強みにもなり得る。

チェーン店は、国内であれば「全国どこでも同じ」が基本であるが、店ごとに違えば、それもまたマニア心をくすぐるのではないか。

「ドムドム」は、マニアに特化すれば良い。マニアを突破口にして、日本一面白いハンバーガーショップを目指せば良い。

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1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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