ナニコレ?と言ってしまった第一印象

あえて所蔵者名は出しませんが、新選組の刊行物にまことしやかに載っている「伝・芹沢鴨着用の鎖帷子?陣羽織?」ってご存知ですか?ここ最近、なにかというと写真掲載されているアレです。確かに時代はそれなりにありそうですね。裏生地には
南無妙法蓮華経と法華経の羅列が確認できます。

でも、芹澤鴨研究をしている筆者にとってコレばかしはさすがに…思わず「ナニコレ?」と言わずにいられませんでした。その理由は何か?

芹澤鴨は神葬祭だった

「浪士文久報国記事」(新選組のふるさと歴史館叢書第二輯「第二回特別展新選組京都の日々」175P)によれば芹澤鴨は新選組によって神葬祭されていると記されております。

再々建された芹澤鴨と平山五郎の連名墓

出典筆者撮影

墓碑は初代の墓石を素材も含め、忠実に再現され、一字一句間違っておりません。もちろん戒名もないことは周知の通りです。神道なので、仏教はおかしいのか、ということもありますが、もちろん江戸時代は神仏習合が当たり前の時代なので、経文が陣羽織にあってもおかしくない、とも思えるでしょう。

芹澤家は法華経ではない

法眼寺

出典筆者撮影

芹澤家の菩提寺はご存じのとおり、茨城県行方市芹沢にある法眼寺です。最近本家分家と異説を唱える方がいるようですが、それはさておき、分家も本家も元は一緒なので、宗派は当然一緒です。そしてなにより、この法眼寺は芹澤家が開基した寺院です。そうした意味で不変と言えるでしょう。

で、宗派ですが、禅宗曹洞宗です。法華経、日蓮宗ではないのです。つまり禅宗の一族が宗旨変えすることはまずないと言えます。なにせ芹澤家が作ったお寺ですから。

伝・という名の魔法

最近増えたと思うのですが、「伝・○○」とか「伝△△」というのが雑誌に紹介されていることが往々にあります。これらは可能性はあるけれど、本物としては認められていないもの、という意味です。それが最近では拡大解釈で、なんでもが付くようになってまいりました。いままで出回っていた斎藤一の肖像画や西南戦争の写真もまことしやかに伝わってましたが、突き詰めると何が理由で伝なの?という回答がなされたものが少ないように感じます。

このように、雑誌等で紹介されたからといって、むやみに信じてはいけない、ということですね。メディアの力はある意味で悪を斬り込む刃にもなりますが、逆に自身さえも斬ってしまう両刃の剣だということを理解していただければ幸いです。

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あさくらゆう このユーザーの他の記事を見る

在野の歴史研究家です。主に幕末維新史を中心に活動しております。昨年は『斎藤一~新選組論考集』の執筆、編集を行い、子孫の縁を経て、斎藤一の写真を公開する等、メディア活動を行っております。

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