台風10号が岩手県に上陸。高齢者施設、利用者全員犠牲に。

8月30日に観測史上初めて、岩手県に台風が上陸し、東北地方や北海道で大変な被害が出てしまいました。
特に岩手県岩泉町のグループホームの入居者9人全員が犠牲になったニュースは連日報道されています。
いったいなぜ、このような被害がでてしまったのでしょうか?

災害の経緯

8月30日。大型の台風10号は強い勢力のまま、岩手県に上陸しました。
30日午前9時、大雨で川があふれたり、土砂災害が起きたりする恐れがあるなどとして、町内全域に避難準備情報を出していました。
その後午後2時頃、同町別の一部地域には避難勧告が出ましたが、今回被害が起きた地域には避難勧告までは出ませんでした。
当時この施設には夜勤の女性職員が一人で勤務していました。

グループホームの職員配置基準は?

被害を知った人の中には、夜間に9人の入居者を1人の職員が介護していることに疑問を持った方も多くいると思います。
今回被害が出てしまったグループホームは、正式には、認知症対応型共同生活介護施設と言います。
グループホームの人員配置基準は「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」と言うもので定められており、この施設は入居者が9人ですので、日中は職員は3人以上、夜間については1人以上で良いと言うことになります。
1人以上と言うことは、2人いても、3人いてもいいのですが、夜勤は別に手当てがつくことが多く、人数分人件費が余計にかかってしまいますし、入居者は眠っている時間帯なので、そこまで人数は必要がないというのが現状だと思います。
(ちなみにグループホームの利用定員数は5人以上9人以下です。)

なぜ事前に避難しなかったのか?避難準備情報とは?

午前9時に町内全域に避難準備情報が出されています。
これは障害者や高齢者など、移動をするのに支援が必要な人たちは避難を始めてください。ということです。
しかし施設側は避難準備情報の意味を知らなかったために避難を開始することはありませんでした。

夜間帯の災害時の避難の難しさ。 求められる基準の見直し。

先述した通り、夜間の職員配置は1人です。私が以前勤めていた施設もそうでした。恐らく多くのグループホームがそうであると思います。
この夜間帯な何らかの災害が起きたとして、果たして職員1人で、最大9人もの高齢者を避難させることは可能でしょうか?
相手は健康な高齢者ではありません。認知症を患っており、中には寝たきりであったり、一人で歩くことができない方もいるでしょう。
「逃げて!」と言っても理解できない人もいるかもしれません。
今回は水害でしたが地震の時、火災の時、1人で9人もの高齢者をあなたは避難させることが出来ると思いますか?
私は正直無理だと思います。
実際以前勤めていた施設で火災を想定した避難訓練を行いましたが、職員全員が、夜間帯に関しては利用者全員を避難させることは困難だと感じていました。だから暗黙のうちに火災は絶対に起こしてはならない!と、火気の扱いには相当気を使っていました。
災害、特に自然災害は避けようがありません。地震のように予想もできないことが多いからです。
普段から夜間でも十分な人員配置ができればいいのですが、そうするためには職員全員の賃金を下げざるを得ません。
そうでなくても低賃金が叫ばれる介護業界です。そんなことをすればますます人手は足りなくなるでしょう。まさに悪循環です。
気象はますます熱帯化し、異常気象による災害が後をたちません。
大規模な地震も今後また、いつ、どこで起こるかも分かりません。
日本は地震大国ではなく、災害大国になりつつあると感じています。
今回の災害により、グループホームの人員配置基準が改めて注目されることになりました。
普段の運営ができていればそれでいいと言うような基準ではなく、災害時もしっかりと対応できるような人員配置に見直すべきです。
国には早急な対応が求められます。

最後になりましたが、今回の台風で被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

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