現在、Facebookである一枚の写真が話題になっています。

写真を見ると、学校の食堂のような風景。奥には学生らしき子供たちが横並びに座っているのに対し、手前の少年の横には向かいでピザを食べている人以外、誰もいません。この少年、ボー・パスケ君は自閉症を患っていて「一人でランチ」が当たり前のこととなっているのだそう。

この写真を投稿したのは、ボー君のお母さんのリアさん。彼女はFacebookにこのように綴っています。

「時折、自分が中学生だった頃のことを思い出すんです。先生のことは好きだったかしら、友達たくさんいたかしら、ランチをいつも誰かと食べていたかしら…時に子供は残酷です。一人の男子学生にからかわれたこともあったりして、学校に行くのが怖いと思ったこともあったわ。

今、自分の息子が中学生になって心配な気持ちもあるの。息子は自閉症だから。でも、たまにあの子が自閉症で良かったって思うこともある。酷い言い方かも知れないけど、息子は手を叩いたりして人に凝視されても気付いていないみたい。誰の誕生日パーティーにも呼んでもらえなかったり、ランチを一人で食べていてもそれが寂しいとはわからないみたい。」

出典 https://www.facebook.com

Facebookに淡々と綴られているようにも見えるリアさんの心境ですが、親として自閉症を持つ子供の複雑な気持ちが垣間見えます。「我が子に孤独を感じてほしくない。傷ついてほしくない」と思うのはきっとどの親でも同じでしょう。でも、普段の生活でみんなと距離を置かれている息子が傷つくよりも、自閉症であるためにその疎外感を感じにくいという皮肉な結果になっているのです。

リアさんがボー君に聞くのは、決まって二つのことだそう。

「今日は悲しいことあった?」
「ランチは誰と食べた?」

ランチに関しては、たまにボー君は「クラスメイト」と答えることがあるのですがほとんどは「誰とも」という返事が返ってくるのだそう。わかってはいても、毎日聞かずにはいられないというリアさんの気持ち、なんだか痛いほどわかります。

リアさんは「息子は気にしていないようだけど、やっぱり悲しく感じる」と気持ちを綴っています。「息子は、本当は誰とでも笑顔を交わしてハグができる優しい子なんです。」本当の我が子の姿を知っているだけに、気にしていないようだと知っても、やはり社会で孤独にいる息子を思うと胸が痛むのでしょう。

でも先日は違いました。リアさんの友人が送ってくれた一枚の写真は、リアさんを深く感動させたのです。それがこの写真だったのです。

ボー君の前に座っているのはアメフトのトラヴィス選手

出典 https://www.facebook.com

リアさんが「トラヴィス・ルドルフがあなたの息子とランチを食べているわよ」と友人からこの写真を送られて来た時、「それ誰?」と聞き返したそう。


トラヴィス・ルドルフは米フロリダ州で有名なアメフト選手

Licensed by gettyimages ®

この日、トラヴィス選手は彼が通っていた大学のアメフトメンバーと共に、ボー君の学校を訪れました。

「彼が、なぜ息子にこのような親切をしようとしたのかはわかりませんが」とリアさんはFacebookに綴り「でも、彼が息子と一緒にランチをしてくれたことで私はこの日、息子を心配する必要はなかったんです。彼がしてくれたことは、忘れられません。有名なアメフト選手のヒーローが、息子の真向かいに座っているのは誰の目にも明らかだったでしょう。」

リアさんはメッセージの最後を「トラビス選手、あなたは一人の母親をこんなにも幸せな気持ちにしてくれました。本当にありがとう。これからもあなたの活躍をずっと応援し続けます!」という言葉で締めました。

この文章を見て、やはり普段どれほどリアさんが、ボー君の学校での様子を心配しているかがひしひしと伝わってきます。いつも思うことですが、誰かのさりげない優しさは、相手を大きく変えることに繋がります。単なる嬉しいという感情以外にも、それは誰かの「自信」に繋がり、また人の心を開くきっかけにもなるのではないでしょうか。

優しさを、広げよう

Licensed by gettyimages ®

リアさんのこの投稿には18,000以上の「いいね」と5,000以上のシェアが。そして多くの人がトラヴィス選手の何気ない優しさに感動し「涙が出る」とコメント。

更にはトラヴィス選手がリアさんのこの投稿を知り、感動して泣けたとコメント。そしてボー君の自閉症のことを知り、良ければ自分の電話番号を渡すからいつでも連絡してきてほしいという言葉を残しています。

その後、トラヴィス選手はメディアのインタビューで「僕自身も少し前は学生でした。僕の学校にもアメフト選手がプレーに来て、とっても興奮したのを覚えています。」と話し、「もし、僕が誰かの人生や気持ちを少しでも変えることができるのなら、それはとても光栄なこと。自分に自信をもってもらうことや、将来僕みたいな選手、もしくはそれ以上になりたいと思ってもらえるのは嬉しいことです」と語りました。

こんな風に、ちょっとした誰かの優しさが広がる世界って素敵ですよね。心温まる嬉しいニュースを、毎日目にすることができるような社会になればいいなと願う筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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