日本でも増えている自閉症ADHDなどの発達障害ですが、国や地域によってその取り組みは様々です。ここでは筆者の子供がイギリスで受けた発達障害の診断や、その後のサポートなどについてお話しします。

生後間もなくでは分かりづらい発達障害

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パパとママの愛の結晶として生まれてきた大事な赤ちゃん。どんな親でも子供の健やかな成長を願う気持ちは一緒です。医師から言われていないのに、生まれた時から自分の子供が障害を持っていると思って育てる方はいないと思います。発達障害のあるお子さんでも、生後6ヶ月までは特に普通の赤ちゃんと違ったところはありません。

筆者の息子の場合、おっぱいの感覚が短い、寝つきが悪くて常に1時間おきに起きるなど、多少神経質な赤ちゃんとは思いましたが、発達障害と思うことはありませんでした。

早いお子さんは1歳ころから、多くの場合2歳から3歳頃にかけて、ゆっくり発達障害の特性が現れ始めます。筆者の場合息子が2歳の頃、保育園の先生が名前を呼んでもあまり反応がないことで、耳の検査を勧められたのがきっかけです。

保育園を利用していない両親の場合は、定期的に子供のいる家庭を訪問するヘルスビジター発達障害の可能性を指摘してくれます。就学前の子供に定期的に訪問があることは、虐待防止虐待の早期発見にもつながっており、日本とは違ったシステムです。

イギリスでは聴力検査や必要な検診なども全て無料ですが、検査の日程が届くまである程度時間がかかります。また筆者の息子の場合、聞こえていないのか、年齢が低すぎて指示が理解できていないのか、判別が難しく、数ヶ月後に違う方法で再検査などをしたため、聴力に問題がないとわかるまで半年ほどかかりました。

子供の障害を受け止める

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今回の場合のように聴力に問題がないということは、それ以外の障害の可能性が高いということで、いよいよ両親には重い事実がのしかかってきます。辛い時期ですが、早く受け入れれば早く療育を開始できます。

療育しても障害がなくなるわけではありませんが、早くからその子にあった療育を受けることで、社会で生活しやすくなるのは確かです。子供を愛しているからこそ受け入れがたい障害という事実。でも、本当に我が子の幸せを望むのであれば、できるだけ早くから子供の障害と向き合ってあげて下さい。

イギリスでの診断と療育

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言葉の発達に問題がある場合、イギリスではまず、言語療法士による面談が行われます。

筆者の場合、息子が3歳の頃から、英語と日本語というバイリンガル環境のために起きた混乱の可能性があるとして、週に1度のペースで療育に通い、人物ごとの言語の統一(親は子供には必ず日本語で、必要がなければ子供の前で英語を使わない、保育園のスタッフは日本語を使わないなど)、簡潔に喋る、会話中の口の動きを見せる、などの助言をもらい実践しました。しかし、行動パターンから自閉症の可能性を指摘され、言語療法士の判断で小児科医による診断を受けることになりました。

日本であれば親の判断で小児科で診てもらえますが、イギリスの場合には言語療法士が必要だと判断した場合のようです。また、小児科医の検診は基本的に年に1度です。その際にカウンセラーも同席します。息子の場合最初の検診(3歳から4歳頃)では自閉症の疑いがあるが、断定できる年齢ではなかったため、6歳まで言語療法を受けながら確定診断を待つことになりました。

国から指示される検診以外に、療育に関して気になることがあればカウンセラーに連絡を取ることもでき、毎週の言語療法の際に家庭での療育の相談もできます。ただし薬を処方される場合は、検診の日程とは別に小児科医と面談をします。

保育園(幼稚園)と小学校の対応

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保育園も小学校も、言語療法士による指示をもとに、生活環境を整えてくれます。筆者の場合、息子に指示を出すときに、保育園のスタッフや先生が言葉だけでなく絵カードを見せるようにしたり、絵でわかるタイムテーブルを貼ってくれたりしました。

また、イギリスの小学校はIEP(Individual Educational Plan)というシステムを使っており、一般の生徒もそれぞれに違った1年の達成目標があります。障害のある子供の場合には、できるようになったこと、必要なサポートの有無など、より詳細なIEPが両親、校長、担任、市役所福祉課、言語療法士が同席して毎年作成されます。

これとは別に、保育園と学校に定期的に市の職員と言語療法士による訪問があり、対象になっている子供が発達しやすい環境か?、現在の問題点や必要なサポートは?、前回からどのくらい進歩があったか?などのレポートを作成し、親もそのレポートをもらい意見を言うことができます。

また、子供の障害に関しては極秘事項で、同じクラスの生徒にも両親にも障害の有無は公開されません。筆者の場合、学校選びの面談の際に学校内や同じクラスに障害のある子供がいるとは聞きましたが、実際にどの子であるのかは知らされませんでした。

まとめ

日本とイギリスの一番の違いは、すべて無料で医師からの診療と処方、専門家からのアドバイスと療育を受けられることです。学校でも子供の療育の方向性について、両親と担任だけではなく、多くの人たちがそれぞれの専門の立場から議論してくれるのは親にとって非常に心強いシステムだと思います。

そのかわりに、イギリスでは診療を受けるまでにいくつもの段階があり、それを超えるまでに非常に時間がかかります。イギリスで療育を受けてみて、日本の良い点は親の判断で迅速に小児科に連れて行くことができることだと感じました。

おわりに

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筆者の息子は現在も様々なサポートを受けながら、小学校の普通級に通っています。早期の療育のおかげで人との関わりが非常にうまくなり、6歳の時の診断でイギリスの基準では自閉症ではないと言われました。しかし、息子に障害がなくなったわけではなく、言語の理解と使用に関連した特殊な脳の機能障害で、知能に遅れはないのにもかかわらず会話は1歳から2歳のレベルです。

障害は病気ではなく、普通よりも少し際立った個性です。一人の障害を持つ子供の親として、子供が障害を持っていることを笑って話せるような、そんなゆとりのある社会に世界中が少しずつでも近づいて欲しいと思います。

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