ある日のことです。

コンビニの駐車場に車を停め、店内で買い物を済ませ外へ出た時、
私の車に向かって一人のおかたが歩いて来られるのが目に入りました。

白い杖で地面をコツコツと確認しながら歩くその姿で、目の不自由な方だと気付きました。

そして、まっすぐと私の車へ向かうあたり、全盲に近いのではないかと。

このおかた、このまま進めば私の車にぶつかる…

私はとっさに、声をかけようと、足早にその方の方へと向かいました。
…が、そのおかたに声をかけることが出来なかったのです…。

 例え、私の車にぶつかったとしても、歩行速度からして、ケガをすることはなかろう。
私の車も大きな傷がつくこともなかろう。

 周囲には、このおかたを見守る姿は確認できない。このおかたは、一人で横断歩道を歩いてここまで来られたんだ…。

この後も、おそらく一人で色々と行動をするのだろうな。
 だとしたら、停車中の車という危険度の低い障害物にぶつかって、感覚をたくさん知った方がいいのでは?転ばぬ先の杖は本当に優しさなのか…

この場面では、所有者の私がその様子を見ておるのだからケガさえしなければトラブルはないかと…。

様々な思いの末、私はその女性の少し後ろを歩き、このおかたが私の車にぶつかるまで見守るという選択をしたのです。

コツン

杖と体が私の車に当たります。

方向を変える…

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そのおかたは立ち止まり、白い杖で四方八方を確認し、今度は道路側に体を向けました。

さすがに、車道は危ない…。


私「こんにちは。どこに行かれますか?」

  「あぁ…コンビニへ」

私「それなら、コンビニの入口と方向が違いますよ。入口は後方なので一緒に入口まで行きませんか?」

店内は私の出る幕ではないかな…。
入口までを一緒に歩こうと思いました。

 「お願いします。すみません」


いやぁ、正直、怖いですね。
私は目が不自由な生活を3日ほど経験したことがありましたが、その時は家族の手引きにさえ身を任せることができず、オドオドと歩いた記憶が…。

このおかたと私との間に信頼関係なんぞあるはずもない。

手を引く強さも分からねば、スピードもわからない。

どうすれば、このおかたが恐怖心なく、目的地まで案内できるのかを考えると、体どの部分に触れて案内すればいいのかも分からなくなる。

手を取るのは、このおかたの歩行バランスへの心配が…と、色々な考えが過る。

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私「肩、触りますね」

 「はい」

私「とりあえず、後方へ歩きましょうか」

白杖の方が体の方向を変えた後、私は、そのおかたの肩甲骨あたりに触れ、一緒に歩き出しました。

…とは言っても、そんなに距離があるものではございませぬ。


目的地への方向さえ修正でき、ババ車の隣の駐車スペースの車輪止めさえ注意すれば、そのおかたは一人で向かえます。

私は先導することなく、肩に手を添えたまま一緒に歩きました。

入口に近づいたことを、このおかたに伝えようとした時…

入口の扉が黄金に輝く扉に見えました。

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店長にしては若すぎるストライプの服を着た少年が、扉を開けて待っていてくれました


私「もう、入口ですよ。店員さんがドアを開けてみえるので、店員さんと変わりますね」

白杖のかたにそう伝え、

少年に
私「店内の案内をお願いしますね」

少年「はい」


うむ。素晴らしきボーイ。


そうして、私は自分の車に戻り、コンビニをあとにしましたとさ。

ボーイの電話番号?
聞いてない。聞いてない。
本ッ当ーに、聞いてない

アナタがボーイと手を繋ぎたかったんじゃないかって?

いやいやそんなヨコシマな気持ちはありませぬ


また、そのコンビニに行くつもりじゃないの?

違う違う。そんなヨコシマな気持ちはありませぬ

いやいや。孫ほどのボーイでござまする。
っつーか、その前にアタクシ既婚者…
そんなヨコシマな気持ちはありませぬ

なんだろ、この呪文のようなヨコシマは…

そんな冗談はさておき、

店員さんの、姿は私の心に刻まれました。

いつから、駐車場の出来事を気に止めていてくれたのでしょう。
いつ、その行動を決めたのでしょう。

もちろん、レジを人に任せられる状況だった。とか、
たまたま、本列の整理をしていたら目に止まったとか、
様々な状況が重なったのかもしれません。

しかし、自分が働いている場所へ向かおうとするお客さんに、意識を向け、自分は何をするべきかの判断の元で扉を開けて待っていてくれた少年を、当たり前だとは思えませんでした。

お店の駐車場でのトラブルの一切の責任は負えかねます。

多くの店舗に書かれておる言葉だと思います。


仮に彼が、持ち場を完全に離れ、駐車場まで出向き、私が起こした行動全てを、彼がしたとしたら…

私は、少年のことを、「いい人だけれど、店内は大丈夫?」と、思ってしまったかもしれません。

店舗に入ればお客様です。
お客様がサポートを望んでいられるかの判断のもとで、お客様目線で寄り添える接客は、店舗のマニュアルとは思えません。

お店の責任者ではないけれど、
その店舗で働く、一員としての責任。
そして、人としての優しさ。

両方兼ね揃えた店員さんだったからこその姿ではないでしょうか。


あのタテジマの制服には、そんな心が描かれているのかもしれないと思った出来事でした。




では、また…
園田梅子でした。

入口のドアを開けて待つ店員の姿が…

やばっ。泣ける…。゚(T^T)゚。

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約10年ほど前、愛読者10万人を超えるタイトル「現役ばぁちゃんの知恵袋」というメールマガジンを発行。諸事情により、一度ネットの世界を遠退きました。
今、10年の時を経て再びネットの世界に戻って来た次第でございます。
自称年齢→永遠の80歳(実際はもっと若いのではないかと噂)
【○○が××にも使える!】【○○は××だった】など、生活のお得情報や、私自身が感銘を受けた記事を書いていきます☆

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