とと姉ちゃんと恋の話で話題になった星野武蔵ー。

結局のところ、二人は結ばれず、しかしながら、ドラマに再登場したときに話題になりましたね。

ところで、星野武蔵の憧れる植物学者「牧野富太郎」について詳しく知る人はそう多くないでしょう。

彼は、日本の植物分類学の父と呼ばれる人で、彼が発見、命名した植物は、およそ1500種といわれ、日本の植物の3分の1ともいわれています。彼の研究は、その後、日本の多くの植物学者に影響を与えました。

東京大学 共著として「日本植物志図篇」をはじめ、数々の植物図鑑を作っています。
挿絵もまた彼の筆による手書きのもので、ロシアの植物研究者マキシモヴィッチも彼の絵を称賛しています。

彼が集めた植物標本は、40万点ともいわれ、現在、その植物見本は、東京大学 牧野標本館に収められています。

若い頃、研究者として苦労を重ねた富太郎でしたが、晩年になり、東京都から名誉都民に選ばれたり、朝日文化賞をもらうなど数々の功績を称えられます。

先日、私は東京にある牧野富太郎植物園に行ってきました。


植物園の中に入ると、まず目に入るのは、「スエコザサ」
この「壽衛(スエ)」こそ、彼の研究を支えた彼の妻です。

富太郎は、前述の通り、研究者としては、素晴らしい功績を残しましたが、一緒に暮らすとなると本当に苦労が絶えなかったように思えます。

彼は、生まれは、高知県。有名な造り酒屋「岸屋」の跡取りとして生まれ、幼くして両親を亡くし、祖母に育てられます。彼自身も病弱で健康増進のため、灸をすえられたといいます。

幼い頃は、兄弟もなく、近くに遊び友達もいなかったため、裏山が彼の遊び場だったといいます。のちにこの山で遊んだことが、彼が植物に興味をもった大きな影響を与えたことだといわれています。

お金も地位もあり、なんでも自分の自由にできた富太郎は、私財を投じて、植物の研究に励みます。

そして、あんなに裕福で栄えていた商家も、研究にお金を使い果たした結果、最後は人手に譲ることになります。

性格もとても頑固なところがあり、例えば、大学教授に地位もわきまえず、教授の間違いをズバズバと言うなど融通がきかなかったといいます。幼い頃から自由に育てられたことも一因なのではと考えざるをえません。

しかしながら、その人柄は一緒に植物採集にいった多くの人が魅力的だと答えています。

さて、壽衛はどのような結婚生活を送ったのでしょうか?
甘いものが大好きだった富太郎、大学で人力車に通う途中、菓子店で働いていた壽衛に一目惚れします。そして、なんとラブレターを代筆してもらい、壽衛と結ばれることとなります。富太郎28歳、壽衛17歳の時です。

しかし、結婚生活はいつもお金に苦労していたといいます。
何しろ、彼が貧乏を知らないで育ったので、金銭感覚がありません。

もちろん生活は借金だらけで、借金取りには、居留守を使うのが常だったそうです。
もし、万が一鉢合わせたら、さあ大変ー。
そこで、壽衛が考えたのが、家に借金取りが来ている時は、2階に目印として黄色い布を出しておくというもの。

これで、家に取り立てがきているときは、帰らず逃げることができます。
実際の生活も植物採集や研究のため、家を空けることが多かったといいます。

壽衛は、富太郎との間に13人もの子どもが出来、多くの子どもが病気など幼くして亡くなります。当時としては、子どもが亡くなるということが珍しくはなかった時代ー。それにしても、どんなに夫婦は辛かったことでしょう。

あまりにも借金が多く、生活に困窮した壽衛は案じた結果、小料理屋を始めます。
これが、流行って、何とか生活を取り戻すことができた壽衛にまた新たな試練がふりかかります。

小料理屋は大学に勤めるものの妻にはふさわしくない仕事なので、やめなさいというものです。
その頃、やっと大学で職を得た富太郎(それまでは、無給で研究を続けていたのです。)始めのうちは、大学に秘密にして、小料理屋をしていましたが、ついにバレてしまったのです。

考え抜いた末、小料理屋を手放すことにした壽衛ー。

その後、大学での功績が認められ、自分たちの家も持ち、やっと生活が順調に生き始めた矢先、病気にかかり、命を落としてしまいます。

この時、彼は研究のため旅行から帰ったばかりで、実はその途中で発見した植物が新種ではないかと調べている途中でした。
そのため、生前彼の研究を支えてきてくれた妻のために、新種の植物を「スエコザサ」と命名したのです。


スエコザサの碑

出典牧野富太郎植物園にて著者撮影

家守りし妻の恵みや我が学び 世の中にあらむかぎりや すゑこ笹

富太郎をここまで支え続けた壽衛。
それは、彼の人柄ゆえなのか、彼女の性格によるものなのか、はたまた時代なのか、彼女の心の内をぜひとも知りたいものです。

Yuko

参考
佐藤七郎「牧野富太郎」国土社
氷川瓏「牧野富太郎」ポプラ社

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小学生のお姉ちゃんと保育園児の息子の二人の子どもを持つ母です。
 お姉ちゃん、弟、私と本が大好きで、私は仕事帰りに図書館へ通い、沢山の本を借りています。家族で好きな本は、面白い絵本です。お姉ちゃんは、魔女系の本(ファンタジー)が好きです。
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