これは知人の息子さんA君のお話です。

A君の性格はご両親いわく『とても優しい子が故に、気弱すぎる』

そんな彼への『イジメ』が始まったのは小学生低学年頃からでした。

大切な息子さんがイジメにあっているのはご両親もご存知だったそうですが、親が出ていく事は簡単。
だけど、それじゃなんの解決にもならない。
息子も強くならなければならない。
それでも学校に向かう息子さんの姿を、ご両親もとても辛い思いで見守っておられたそううです。 

そんなある日に事件は起きました。
A君の大切にしていたゲーム機をイジメっ子達に壊されてしまったのです。

これはさすがに話が違います。
A君のご両親もイジメっ子(B君)の自宅に壊れたゲーム機を持って話をしに行かれた時の事でした。

『お宅の息子さんにゲーム機を壊されたのですが…』と話したご両親にB君の母親が返した言葉は

『弁償します。おいくらですか?』

お金の話をしに来たんじゃない。新しいゲーム機がほしい訳じゃない。

息子のした事を謝罪するのでもなく、息子に話を問いただすでもなく、B君の母親が真っ先に口にしたのはゲーム機についてだったのです。

A君のご両親は呆れと怒りで『いやいや、そんな事を言ってるんじゃないでしょう』と話し合いをしていると

『お腹減ったから早くご飯が食べたい』

それはイジメっ子であるB君の口から出た言葉でした。

彼は目の前で自分のした事による『イジメ』の行為のせいで大人達が話し合いをしている事も、それが自分の母親の耳に入った事も怖くもなんともなかったのです。

更に、目の前にあった机の上に足を乗せ

『お腹減ったから早くご飯を作ってくれ』

と続けたそうです。


A君のご両親はこの時に自分の息子が相手をしていたのはとんでもない相手だったのだと気付きます。

これ以上にB君の母親とも話すことも話せることもないと、ゲーム機の弁償もしてもらうことなく帰宅されました。

壊れたゲーム機。まともな話し合いすら出来ないイジメの主犯。

このままで良い訳がありません。
相手が変わる事が出来ないのなら、自分が変わるしかない。

A君のご両親はA君に『空手』を習わせる事にしました。

それは『やられたらやり返す』という考えでもなく、ただただ男として何か自信をつけてほしいという、親心からでした。

A君も空手にのめり込みます。

それでも学校に行けばイジメが続く日々。

転機は突然やってきました。

空手教室で行われた試合でA君は見事優勝をします。
しかし、その試合にイジメっ子は出場していません。

その出来事がなぜ転機になったか?

イジメの主犯であるB君でさえ一目を置いている別のクラスのいわゆる『ガキ大将』C君が出場しており、A君がC君に勝ったのです。

子供の世界です。
噂が広まるには時間はかかりませんでした。

『あいつはヤバイらしい!』(A君はめっちゃ強いらしい) 

今までの事が嘘のようにイジメが無くなったと言います。

自分に自信をつけてほしいと始めた空手が実を結ぶ事になりました。

大切な我が子が辛い思いをすると分かっていて、学校へ送り出すご両親のお気持ちも張り裂けそうにお辛かったと思います。
子供が困難に陥った時、手助けをする事は簡単です。ですが、この先の将来辛い場面に遭遇する事なんて沢山あります。
乗り越えてほしい、あなたなら乗り越えられると信じて見守ったご両親のお気持ちも報われた事でしょう。

またA君にとっても信じて見守ってくれているご両親の存在が支えになったはずです。

空手の試合で優勝出来る実力があるのに、決してやり返す事のなかったA君。
それは勇気が無かった訳でもなく、相手が怖かった訳でもありません。

自分が握りしめた拳の強さは自分が一番理解していたから。

相手を傷つける事も誰を巻き込む事もなく、『自分を変えたい』という強い思いで自らのイジメを終着させたA君。

イジメに限らず、親というのは子供が困らないようにと先回って手助けをしたり、困った時についつい先回って『答え』を与えてしまいがちですが、子供の力を信じて見守り、安心して帰ってくる場所を作ってあげれるのもまた親の役目。

「『親』という字は『木』の上に『立』って『見』守る。」と言いますが、『親』の在り方についても深く考えさせられるのではないでしょうか。

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天然な旦那を持ち、2児の姉妹の子育て真っ盛りのママです。

普通の主婦が普段感じたあんなことやこんなことを書き共感して頂けたらと思います。

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