幼稚園年長組の夏休みから始まる、ランドセルの売り込み合戦。夏休みに祖父母からプレゼントしてもらうことを前提にした、新しい販売戦略である。

孫のためなら高額な出費もいとわない祖父母を狙い、年々高級なランドセルが登場している。

色は黒と赤しかなく、何のデザイン性もなかったランドセルが、素材や色も多彩になり、「お洒落」「可愛い」「カッコいい」ものが、たくさん出ている。

職人が手縫いするものやオーダーメイドまで出現している。

特に女子児童を意識し、まさに“ファッションアイテム”とも言える、キラキラと眩しいランドセルが増えている。

6歳児と言えども、女心・乙女心が芽生えているので、誰よりも可愛い、友だちよりもお洒落なランドセルを欲しがるのは当然である。

ランドセル業界としては、“してやったり”と笑みを浮かべていることだろう。

金を持っている祖父母が、孫のために金をどんどん使うことは、日本経済にとってもプラスではある。喜んで金を使う人がいて、買ってもらって喜ぶ子どもがいる。いいこと尽くめのように思える。

だが、その陰で辛い思いをしている子どもたちがいることを知って欲しい。

「子どもの貧困」という言葉は知っているだろう。

親の事情により家庭が貧しく、最低限の生活を強いられ、必要なもの以外は何ひとつ買ってもらえない子どもたちである。

子どもの貧困率は、やや古いデータだが、2013年で16.3%。6人に1人が貧困なのである。

そんな家庭では、ごく普通のランドセルさえ、高額で買えないこともある。なのに、まわりではお洒落で可愛いランドセルを買ってもらって、喜んでいる友だちがいる。

「社会とはそういうものだ」で済ませることはできない。

中高生にもなれば、現実を受け止めることもできるだろうが、たった6歳の子どもには、あまりにも過酷な試練ではないか。

小学校は義務教育である。みんなが平等に学校へ通うことができる。

ならば、条件も平等であるべきではないか。金持ちの子どもも貧乏な家庭の子どもも、同じスタートラインに立つ。

「たかが持ち物の違いなど、教育には関係ない」と言う人もいるかもしれないが、子どもは社会の格差を肌で感じとり、少なからず傷ついている。

小学1年生に、そんな重荷を背負わせるのは、あまりにも悲しい。

できれば、昔ながらの「黒と赤」もしくは「鞄は自由」という流れになることを願う。

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1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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