数年前私は美容師でした。
ビルの三階にある美容室で、
シャンプー台は6席、セット面は14席と、
店内は広くてインカムを使ってスタッフがやり取りをする様な
大きいお店でした。
床から天井までガラス張りの壁の前に並ぶセット面は
解放感たっぷりの素敵なお店でした。

入社して数日は掃除の時間ギリギリに出勤したのですが、
ある日早く目覚めて出勤時間の一時間前に職場に行くと、
鍵は開いていてコーヒーの香りが店内を満たしていた。
そして40代の妊婦さんの店長がスタッフルームで新聞を読んでいた。

仕事もバリバリにこなす店長で、私が出勤した時間には
ビシッと髪もセットされている。

店長より先に行かなきゃ新人なのに…と思い
次の日は出勤時間をさらに30分はやめてみた。
それでも鍵は空いていた。
そのまた次の日、更に30分早めてみた。
丁度店長は、コーヒーをセットしていたところだった。
まだいつもビシッとしている髪はストレートで整っていなかった。

どうして最近早くくるの?と聞く店長に
なぜこんなに早くくるのですか?と尋ねたら
『私が美容師になった時代はとても厳しくて、誰よりも早く出勤して全ての準備を済ませなければいけなかったの。
それがいつの間にか染み付いたのか、誰よりも早くくる様になって、店長になってもそれは変わらないのよ。そんな事を聞かれるのも、私よりも早くこようとしたのも、あなたが初めてかもしれない。』
っと店長は微笑んだ。

コーヒーをセットし終えると店長は、朝日がとても綺麗に入るセット面に座り、アイロンにスイッチをいれ、ホットカーラーを並べ、髪をセットしだした。
『私ね、この時間が一日の中で凄く好きなの。髪をセットしながらね、今日くるお客様の事や、一日の仕事の流れをイメージするの。その時間がないとね、一日バタバタしてしまう気がするから、どんなに吹雪でもこの時間が大切なの。』
そう言った店長は凄く輝いていて、技術が誰よりもずば抜けている理由を初めて知った気がした。

店長が出産するまでの間の変わりの店長は
夜遅くまで飲み歩き、遅刻してくることもあり、
自分の失敗を他人に擦り付ける人だった。

同じ人として、上に立つ人間の心や言葉がどれだけ
下にいる者に大切で、立ち振舞いの大切にも気づかされた。
自分が人の上に立つ時に自分も誰にも負けない芯をもつ事や
どんなに上に立っても忘れてはいけない事を知った。
そして、ゆとりをもつ時間の大切さも知った。

自分が年齢を重ねても、
本当に素敵な立ち振舞い、言葉…
あなたも芯をもっていますか?
一日の中でゆっくり一日を考える時間をもっていますか?

素敵な人には素敵な理由がある。
そんな素敵な人にあなたもなってみませんか?

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二児のmamaで、旦那は会社を経営しております。
アンシェントメモリーオイルのお店Le cielをはじめました。

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