こんなにも、死ぬことへの恐怖を抱くような人間もいれば、自殺をしてしまう人も世界にはたくさんいる。予期せぬ事故や病気で、一瞬にして命を失うこともあれば、犯罪被害による死もあるし、生きるということが、どれだけ儚く不安定であるかがよくわかる。いつでも、死、と隣り合わせなのだ。

私のいとこの男性が3年前に43歳で亡くなった。2人の幼い子どもと奥さんを残して。
クモ膜下出血だった。この日から、私は頭痛が起きるたびに、自分もクモ膜下かな、といつも考えるようになってしまった。
私の頭痛の頻度は毎日だから、毎日毎日、クモ膜下かな、と考える。

彼は、朝から奥さんに頭痛を訴えていたらしい。いつもの頭痛だろうから、クスリを飲んで横になると言って、珍しく、会社を休んだ。頭痛はよくあったが、頭痛で彼が会社を休んだのは初めてだったため、奥さんも心配になり、パートを休むことにした。
昼ごはん後にまた頭痛薬を飲んで、彼は横になっていた。
そして夕方、一軒仕事の用事が発生してしまい、急遽お客様のところに行く、と起き上がった。奥さんが心配すると、
『かなりラクになったよ』
と言って、シャワーをし、サッパリした〜、と出てきて、裸のままトイレに入った。その時だ!
『ぎゃ〜!』
という、彼のとんでもない叫び声を聞いて、奥さんが走った。彼はそのまま倒れ、救急車で運ばれたが、そのままその晩、息を引き取った。

クモ膜下出血。

彼は、大大大企業に勤務していたため、20代後半ですでに1000万円からの年収のあるエリートだった。いとこ会で集まっても、金がある、って感じでスーツもいいものを着ていた。その後最初の奥さんと離婚して、若い女性と再婚したと聞いて、金があるってすごい、といとこたちと話していた。

お葬式はそれはそれは大きいものになるだろう、と思いながら参列した。
ところが、花は少なく小さなお葬式で参列者も少ない。
すると、彼の母である叔母が私に言った。
『みんなに言わないでね。タケシはとっくの前に大企業をクビになっていたのに、みんなに見栄を張ってまだ金持ちのフリをしていたのよ。実際は30歳では無職で働きもせず、奥さんは子どもたちを連れて実家に帰ってしまって。その頃、デブ専の風俗嬢と仲良くなって、ヒモ生活。結局40歳でその女性と再婚して、子どもは2歳と1歳。子どものために、と、ようやく、仕事を見付けて、生命保険会社のセールスを始めたばかりだったの。奥さんもいつまでも風俗嬢はやれないからね。生まれ変わりたい、俺仕事するよ、と私にも電話が来た矢先のことだもの』
叔母は泣き崩れた。

プライド。
一体、誰のためのプライドだったのだろうか。
会社を辞めたこと、働いていないこと、いとこたちにも言えなかった。いとこ会では、俺がおごるよ、と大盤振る舞いしていたくせに。

やり直したい、と奮起した矢先に、急死なんてあまりにも悲しすぎる。

ただ、救いなのは、ずっと生命保険にも入っていなかったのに、自分が勤め出したことで彼は生命保険に入った。ヒモとして10年以上も面倒を見てきてくれて、子どもまで生んでくれた奥さんに、お金が残せたことで、彼もホッとしているだろう。

不要なプライドを持たないこと。
やり直したい、と思ったら、命がいつまであるかわからないから、一刻も早く動くこと、他にもさまざまなことを、彼は考えさせてくれたように思う。

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神道、仏教、聖書、なんでもミックスして独自解釈で精神世界を読み解くのが大好きです!好奇心はアドレナリン異常なぐらい旺盛(*^o^*)
バリバリ営業職で働いてきたから、今は好奇心のままにたくさんのバイトで楽しんでいます。大企業を7回転職歴があるのも自慢です。

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