BS朝日「昭和偉人伝」で、杉原千畝氏が取り上げられていた。(8月24日)

第二次大戦中リトアニアの日本領事館に赴任していた外交官杉原千畝氏は、領事館前に人が集まっているのに驚く。彼らはナチスドイツの迫害を逃れて来たユダヤ系難民で、日本へのビザの発給を求めていた。杉原氏は外務省にビザ発給許可を求めるが、返答は実質NOを意味するもの。杉原氏は悩んだ末に、外務省の訓令に背いて、領事の権限でビザ発給に踏み切る。この「命のビザ」で助かった人は6千人。番組では、実際に杉原氏のビザで生き延びた2名の証言と、生前「徹子の部屋」で当時を語った、幸子夫人の話などを紹介していた。映画やドラマにもなり、「六千人の命のビザ」(杉原幸子著・大正出版)でも有名な話である。「人道的立場」から見れば何の問題もない感動秘話であるが、外務省は「必要要件を満たさない者にビザを発給した」として杉原氏を非難し、訓令に従わなかった杉原氏を免職してしまうのだ。

 ここで組織としての外務省について考えてみよう。
まずビザの要件を満たしていない難民の手続きに困り、上司に報告した担当者の行動には正しい。それを上司に報告し、そのまた上司に話が行く。組織としては真っ当な流れだ。そして、外務省は、帰国した杉原氏を退職させる、一般企業の社則にも、「業務上の指示に従わなかった場合は、懲戒免職を含む処分」とある。そうすると、組織としての外務省の処分は仕方がなかったのか?誰もが抱くであろう、この違和感は何なのか?

近年企業ではコンプライアンス(法令遵守)が盛んだ。
コンプライアンスとは、「法令遵守・特に企業活動において社会規範に反することなく、公正・公平に業務遂行することをいう」(三省堂・大辞林より)「従うこと、命令や要求に応じること、果たすべき務めを果たすこと……コンプライアンスはもっぱら『法令遵守』と訳され、企業における法律や倫理に則った企業活動を指す語として用いられる」(実用日本語表現辞典)
杉原氏が重視した「人道的」という倫理観が外務省に通じていなかったことが、この違和感の原因なのかもしれない。
(なお、鈴木宗男外務政務次官(当時)が幸子夫人に謝罪したのは1991年(平成3年)。河野洋平外務大臣(当時)による公式な名誉回復は2000年(平成12年)であった。)
 

人道的立場からユダヤ難民を救った杉原氏はなぜ外務省を辞めねばならなかったのか?

http://www.bs-asahi.co.jp/ijinden/prg_051.html

出典 http://www.bs-asahi.co.jp

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東京都出身。大学卒業後、主に経理畑を歩む。車とチョコレートを愛し、遠く江戸に心を馳せる日々。

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