空虚感と孤独感の先にいたものは、死への恐怖、だった。

私は幼少の頃から、夜になっては泣きながら『死ぬのが怖い』と母に訴えていた。母は一緒の布団に入って、手をつないでいつもこう言った。
『大丈夫、必ずお母さんとお父さんが先に死ぬからね〜』と。
幼い子どもには、なんの励ましにもならない言葉だった。子どもにとって両親だけが頼りなのに、その両親が先に死ぬから、と言われても不安は増すばかりだった。

母に言っても解決しないなら、父に話してみた。父は、『そんなこと気にするだけ無駄だよ』と答えた。まるで真剣に受け止めてくれてないのがよくわかった。
子どもの訴えを、大人はきちんと聞いてくれない、とよく感じたものだった。

私も大人になり、結婚し、子どもを生んだ。

近所に義姉が住んでいて、その娘、私にとって義理の姪が、学校帰りにまっすぐうちに遊びに来ていた時期があった。義姉が働いていたのと、こちらはじいちゃんばあちゃんもいるから、学童保育代わりだ。
姪は私に懐いていて、じいちゃんばあちゃんよりも、私にベッタリだった。

ある日のこと。
小学3年生の姪が深刻な顔で私に話しかけてきた。
『聞いてくれる?昨日の夜中にね、美保(←姪の名前)が寝ていたら、急にフワフワと体が浮き上がっちゃったの』
私は、うんうん、とまじめに話しを聞いた。
『それで天井にぶつかって、ぐいぐいまだ上がろうとするから、美保、天井に押し付けられて痛くて怖くて、大声でお母さんを呼んだの。そしたら急に、天井からベッドに落とされて、怖くて泣いてたら、お母さんとお父さんが美保の部屋に来てくれた』
それは怖かったね、と私が言うと、
『でもお母さんとお父さんに、天井に押し付けられたと話しても、バカなこと言ってるんじゃないの!早く寝なさい、と怒られたんだよ。美保の話し、信じてくれないの』

私も親がまじめに取り組んでくれなかったのが、悲しかったから、姪の気持ちが痛いほどわかった。
『大丈夫、私は美保ちゃんの話し、信じてるよ』と言うと、
『よかった〜』と姪は嬉しそうにしていた。

それから数時間後、義姉が姪を迎えに来た。私は義姉を呼んで、二人で話した。
『おねえさん、美保ちゃん、昨晩体が浮き上がって天井に押し付けられたのに、お父さんもお母さんも信じてくれなかった、と言って落ち込んでましたよ』
と伝えると、
『ああ、その話し?美保の話しは本当よ。本当だからこそ、夢を見たんだよ、寝ぼけてんじゃないの、とわざと怒ったのよ。じゃないと、自分のお部屋で1人で寝られなくなるでしょ?私が美保の部屋に入った時、天井に美保の顔と手が押し付けられた跡が、くっきり残っていたし、天井からベッドに落とされたと見えて、ドーン、とすごい音だったのよ。だからね、真剣に対応してあげないことも、時には親として必要なこともあるの』

義姉に言われて、考えさせられた。
私の両親も、わざとはぐらかして、恐怖に捉えないようにしてくれていたのか。
それはわからない。

ただ、真剣に耳を傾けることは、悪いことではない、と私は思う。
だから、私は自分の娘には、いつでも真摯にまじめに取り組んできた。娘はとても素直な明るい娘に育った。

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バリバリ営業職で働いてきたから、今は好奇心のままにたくさんのバイトで楽しんでいます。大企業を7回転職歴があるのも自慢です。

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