私には、専門学校時代、親友がいた。
由美子。
とにかく気が合い、学校がない日も遊んだ。

私が他県に嫁に行き、由美子とも会えなくなったが、その後数ヶ月で、由美子が彼氏と私の嫁いだ家の近所に引越ししてきた。

この地に縁もゆかりもない由美子と彼氏は職探しからスタートした。

1年近く、また由美子との楽しい日々が続いたが、由美子と彼氏が不仲になり、由美子も彼氏も日を追うごとに精神的に不安定になっていった。

当時、携帯電話のない時代。
夜中2時ぐらいに家電に由美子からの電話がしょっちゅう来るようになった。
『今、彼のカバンからコンドームが出てきた』
『彼が帰宅しない』
『彼に無視されている』
私は、舅姑も同居していたため、
『電話は昼間にかけて』
と何度も頼んだが、由美子は夜中になると不安定度合いが悪化していくようで、むしろ電話は夜中にしか来なかった。
その頃から、由美子は車の免許がなかったため、私を足代わりに使い始めた。
『今すぐうちの近くのファミレスまで来て。来ないなら自殺する』
などの電話も増え、夫に断わって夜中に何度も由美子の言うファミレスに行き、夜中にドライブをさせられたりもした。

由美子は、いつも楽しく遊んでいた親友だったはずが、いつしか、迷惑で私のストレスの元凶になっていた。
由美子を励ますのにも疲れ果て、挙句、由美子の声を聞くだけで吐き気をもよおすようになり、距離を置こうと決めた。そして由美子からの電話で、
『悪いけど、もう私は由美子に振り回されたくない。しばらくは電話をして来ないで』
と告げた。
由美子は激しく泣き叫び、
『こんな知らない土地では頼る人もいないのに、親友を見捨てるなんて人でなし!今から自殺してやる』
と、電話は切れた。
私は由美子のところに行かなかった。

その後、夜中は電話の受話器を上げて寝て、昼間の電話は居留守を姑に頼んでおいた。

由美子から手紙が来るようになったが、開封せずにすべて破棄した。

電話も手紙も来なくなって、半年ぐらい経った頃、専門学校時代の由美子と共通の友人から電話がきた。
由美子が彼氏と別れて実家に戻ったこと。
自分の身勝手な行動で私からの信頼を失い、落ち込んでいること、を聞かされた。

私は、その時、二度と由美子とは会いたくない、会えない、と思っていた。

次から次へと、別の友人から
『由美子、反省しているから許してあげて』
と頼まれた。

でも、私は会えなかった。
許す、許さない、とかの問題じゃない。
自分自身の問題だった。

自分みたいなちっぽけな人間に、誰かを支えるなんて、到底できることではなかったのだ。親友がつらいから、と、最初は親身に相談に乗り、励まし、助けになりたいと思って頑張っていた。自殺、自殺、とほのめかす彼女を生み出したのは、実は私のせいだったのかもしれない。

相談は、こちらも人生かけて向き合えない相手なら、中途半端な関与はかえって事態を悪化しかねない。

私は大事な親友を、未熟なおごりゆえに失ってしまったのだ。

空虚感が加速したのは、その頃からかもしれない。

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神道、仏教、聖書、なんでもミックスして独自解釈で精神世界を読み解くのが大好きです!好奇心はアドレナリン異常なぐらい旺盛(*^o^*)
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