数多くの名作を遺した岡本喜八監督

「独立愚連隊」、「日本のいちばん長い日」、「大誘拐」など、戦後から高度成長期にかけての日本をシニカルに、時にコミカルに描いて多くの名作映画を遺した故岡本喜八監督。
2005年に食道がんのため惜しまれながらも亡くなりましたが、その作品は今でも高い評価を得ています。
中でも今年話題の映画、「シンゴジラ」の庵野秀明監督が岡本喜八ファンと言うことで、同映画にも意外な出演を遂げているとか。
映画監督として高い功績を遺した岡本喜八監督ですが、その晩年には最愛のみね子夫人との、感動的すぎるエピソードが伝えられています。

最愛の妻みね子夫人へ、“もう一度プロポーズ”

映画プロデューサーでもあるみね子夫人は岡本喜八の映画製作を金銭面から、また日常生活でも支え続けた内助の功で知られています。
監督の仕事上のパートナーとしても果たした役割りはとても大きいのですが、1995年監督がアメリカロケ中に硬膜下血腫を起こして以来、介護者としても奮闘なさっていました。
晩年は脳梗塞や食道がんの発症で、徐々に体力、気力が衰えて行くなかで精力的に仕事に臨んで居た監督でしたが、病状が進むにつれて、側で介護してくれているみね子夫人のことが誰なのか認識出来なくなってしまいました。
毎日世話をしている夫から
「あなたはだれですか?」
と尋ねられたみね子夫人の心中が測られます。
ある日、飼い犬の散歩に出かけたみね子夫人の留守の間、娘の真実さんが様子を見にやって来ました。
その時監督は、真実さんに対しこう打ち明けます。
「お父さん、結婚したい人がいるんだけど、いいかな?」
少し照れたような言い方です。真実さんも意識が朦朧とすることの多い父親を理解していたでしょうから、笑って応じました。
「誰なの?」
「よく解らないんだけど、とっても素敵な人なんだ。今ね(飼い犬の)、散歩に行ってる。」
みね子夫人の事だったのです。

記憶から消えてしまって、誰なのか解らなくなってしまっても、なお恋をしてしまう、妻。
この2度目のプロポーズの感動的すぎる模様は2007年にNHKのドキュメンタリーとしても紹介されました。

記憶を失ってしまっても、人生の終末に至っても、ずっと支え続けてくれた妻への愛は失われなかったのですね。
あまりにも素敵な関係です。人と出会う事とは、お互いに支え会うこととは何なのかを、改めて深く考えてみたくなるエピソードでした。

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