平凡な40代の主婦が、満たされない日々に変化を求め、変身する・・・

というあらすじだけど、この主人公ははじめから「平凡」ではなかったとおもう。



妻として母として「完璧な専業主婦」をやるというのはただごとではない。

まいにち埃ひとつない清潔さに保つこと。

原材料の安全性・栄養バランス・品数・変化にとんだ献立を家族それぞれの生活スタイルにあわせて提供すること。



家事をきっちりやり続けるというのはたいへんなことだ。



そのうえ、彼女は専業主婦ではない。

フランス語の翻訳という自分の能力を生かした仕事もする「兼業主婦」だ。

その仕事も家族や家事に障りがないように気を遣ってやっている。それで得た収入は自らの愉しみにつかうこともない。



なんてできた人間なのだろう。



それでいて聡明な主人公は「がんばって尽くしているワタシ」に陶酔していない。

冷静に「わたしは優等生でいることが安心なのだ」「自己中心ないき方は嫌いだから」と分析している。



ただ、そうやって自分の生き方を肯定して邁進していたはずなのに、それだけでは幸せになれないことに気づいてしまう。



(好きで尽くしていたけれど)感謝もせず理解もしてくれない夫や娘たち。

長年ほったらかしていたせいで衰えてしまった容姿。

誰からも「女」としてみられない寂しさと飢え。

翻訳家としての向上心。



「そうあるべき人間」としてふるまううちに「自分」が擦り切れて消えてしまいそうになっていた。

自分を押し殺して努力しているのに、そのことをわかってくれるひともいない。



変化を求めるときにそれまでのすべてを放り投げる話ならいくらでもあるが、本作主人公の詩織はそれまでの生き方や考え方をすべて間違っていると切り捨てはしない。

彼女はただ、普通に生きているふつうの女性が得ているものを自分もほしい、と望むだけだ。



家事はする。仕事もする。だけどなにもかもわたしだけがやるのはつらい。自分の時間がほしい。おばさんだからしかたないと諦めたくない。きれいになりたい。ひとりで外出したい。理解してほしい。楽しい会話がしたい。女としてみてほしい。ひとりの人間として認めてほしい。



もともとできる人間だった詩織が自分を抑えて生きることをやめほんとうの人生を取り戻そうと決意したから「いい女」になることができたのだろう。もともと「平凡」なてきとうなおばさんだったらもっとずっと困難な道だったに違いない。



しかし、そのように精神を変革することに詩織は40数年かかってしまった。



自分にたいして誠実に生きること、変わることを恐れないこと、一歩を踏み出すことはなんてむずかしいのだろう。

































いい女平凡なままでは満たされない!妻として母として一生懸命やっているのに、誰も認めてくれない―。結婚して以来、何よりも家庭を優先させてきた詩織だが、同窓会をきっかけに、女として生きようと決意する。高額エステ、仕事相手との不倫、初恋の男性との再会…。夢を実現させようとして、自らの中に閉じこめていた「女」を開花させていく一人の女性の挑戦と変貌をリアルに描く問題作。


出典 http://www.amazon.co.jp

いい女 藤本ひとみ

平凡な40代の主婦が、満たされない日々に変化を求め、変身する・・・
というあらすじだけど、この主人公ははじめから「平凡」ではなかったとおもう。
妻として母として「完璧な専業主婦」をやるというのはただごとではない。
まいにち埃ひとつない清潔さに保つこと。
原材料の安全性・栄養バランス・品数・変化にとんだ献立を家族それぞれの生活スタイルにあわせて提供すること。

この記事を書いたユーザー

ridia このユーザーの他の記事を見る

1977年生まれ 驚くと白目になる「おそろしい子…!」
好みのタイプは真壁くんと冴羽獠とスコーピオンミロ。
コブラはかっこいいけど関わると不幸になるので除外。バンコランは女に興味がないので除外。
漫画と小説の話には喜んで飛びつく。

得意ジャンル
  • 社会問題
  • インターネット
  • テレビ
  • エンタメ
  • コラム
  • おもしろ
  • ニュース

権利侵害申告はこちら