日本選手の大活躍のうちに閉会式を迎えたリオオリンピック。
最終日の男子マラソンで不思議なポーズをとりながら2位でゴールした選手がいました。
頭の上で両腕を交差させ、まるで×印のような……。エチオピアのフェイサ・リレサ選手(26)です。
いったいどんな意味があるのでしょうか?

何のポーズだろう、と思った方も多かったことと思います。
これは単なる自己アピールのパフォーマンスではなく、命がけの民族弾圧に抗議するポーズだったのです。
オロミア州などでの抗議の際にデモ隊が示すしぐさだということです。

リレサ選手の母国・エチオピア政府への「圧政への抗議」――。


まさかこんな重たいものを背負って走っているとは思いもよらなかったのは、わたしだけではなかったようです。

ポーズをとった理由

リレサ選手は、競技後の記者会見でポーズをとった理由を明かしています。

リレサ選手はエチオピアの最大民族オロモ族の出身。この日はオロモ族の団結を象徴する両腕を交差させたポーズでゴールインした。

競技後のインタビューでもこのポーズを繰り返し、オロモ族に対するエチオピア政府の弾圧に注目を集めたかったと説明。公の場でこの問題について発言したことで「私は殺されると思う」と話し、殺害や投獄の危険があるため帰国はできなくなったと語った。

出典 http://headlines.yahoo.co.jp

親族が投獄されている、と書いてある記事も見かけました。
亡命先としては、ブラジルにとどまるか、米国かケニアへ行く意向とのことです。
これに対して、エチオピア政府は、「リレサ選手の身の安全を保障する」と言っています。
がーーこの言葉を信じる人はどのくらいいるのでしょうか?

オモロ族とは?

民族弾圧――オロモ族――。馴染みのない単語だと思います。
オロモ族とは、アフリカに住んでいる民族の一つです。
リレサ選手の母国・エチオピアでは人口のおよそ40パーセントを占めているようですが、反体制的とみなされて政府から不当な扱い――弾圧を受けています。
弾圧ですので、逮捕も拘束も拷問も、一方的で理不尽な理由なのです。

この弾圧は、昨日今日始まったことではないようです。
2014年にアムネスティ・インターナショナル(世界最大の国際人権NGO)が、オモロ族に対する過酷な弾圧に関する報告書を書いています。
(参考)エチオピア:オロモ族に対する過酷な弾圧:https://www.amnesty.or.jp/news/2014/1029_4925.html

また、別の国際人権団体であるヒューマン・ライツ・ウオッチは、オロミア州では昨年11月以降政府への抗議活動で400人以上が死亡したと推定しているそうです。
(参考)エチオピア:抗議集会の弾圧で数百人規模の犠牲https://www.hrw.org/ja/news/2016/06/16/291041

にわかには信じがたいことが記されていますし、アフリカの政治・民族に詳しくないと完全に理解するのは難しいかもしれません。
ですが、惨劇が今も起こっているのです。
オリンピック開会後にも、非暴力のデモ隊に向けて治安部隊が発砲したとの報告があるそうです。
これはリレサ選手の耳にも入っていたことでしょう。

メダル剥奪の可能性も…?

銀メダルのリレサ選手ですが、国際オリンピック委員会によりメダルを剥奪される可能性が出ています。

それは、現行のオリンピック憲章に「オリンピック・エリアにおいては、いかなる種類のデモンストレーションも、いかなる種類の政治的、宗教的もしくは人種的な宣伝活動は認められない。」というものがあります。
1968年に開催されたメキシコオリンピック男子200mではアメリカ国内での人種差別に抗議するパフォーマンスを行った選手二人がナショナルチームを追放処分にされています。

現在では、オリンピック憲章に違反すれば「失格」となり、メダルは剥奪されてしまいます。
また、「スポーツと政治は別物」として、批判する声もあがっています。

もっとも、なにが「宣伝活動」に該当するかは国際オリンピック委員会が決めることになるそうです。
今回のリレサ選手の件も、国際オリンピック委員会が調査することになりました。

もちろん、リレサ選手はそのことも承知の上での、パフォーマンス。
母国には帰れないので、家族と相談して亡命するようです。
リレサ選手と、その家族が無事であることを祈ります。

世界に広がる共感の輪

リレサ選手の身が心配になりましたので続報を検索してみたら、日本時間の24日には、リレサ選手はエチオピアに帰国しない見通し、との報道がありました。
そしてリレサと家族をサポートする人が、クラウドファンディングサイトを立ち上げたそうです。

リレサ選手とその家族の動向は世界中が注目しています。
しかし、彼らだけではなくオロモ族への弾圧そのものに世界の耳目があつまり、解決できるようにする必要があるのではないかと感じました。

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