【1】大炎上のニュース

この記事を書いているのは、2016年8月20日です。リオデジャネイロ・オリンピックの話題も多いですが、五輪の話以外で、ネット上にて大騒ぎになっている話題があります。
「NHKニュースで報道された、貧困女子高生」の話です。ネット上では「NHK貧困JK」として話題になっています。(JKは、「じょしこうせい」を意味するネットスラング)

現在、日本では様々な格差が問題視されており、それに伴って貧困問題もよく取り上げられる様になりました。今回のニュースも、「貧困の為に、希望していた進路へ進めない」という子供さんについての話でした。

いろいろ大変だな…と思わせるニュースでしたが、一般視聴者から「何か矛盾している」との指摘が挙がり、ニュースの裏を取ろうとする人が続出。その結果、良く言えば「ニュースのイメージとは違った話」、悪く言えば「ヤラセ報道なのでは?という話」などが多数浮上し、ネット上で大きな騒ぎになっています。

【2】炎上までの経緯

現在のところ、放送した側が沈黙を守り続けており、本当はどうだったのか?については闇の中です。新事実が出てくれば、また違った見方になるのかも知れませんが…。

ネット上をザッと見渡し、どんな流れで騒ぎになったのかについて、筆者なりに調べてみました。(調査日時 2016年8月20日午後12時)

先ずは上記リンク先・NHK記事の内容から、報道された話をまとめてみます。

●NHKニュース内にて、子供の貧困特集が放送される。

●ひとりの女子高生に焦点を当て、苦労話を披露。

●お金が無く、希望する進路に進めない。
●冷房設備すら無いので、保冷材で暑さをしのいでいる。
●パソコンを買うお金もなく、安いキーボードのみを入手。タイピングの型稽古だけでもやって、何とか頑張っている。


●彼女自身が講演で話したり、自治体主催の会議に委員として参加する事で、問題意識を持って貰える様に頑張っている。

●厚生労働省によると、「18歳未満の子どもの貧困率」は、平成24年時点の推計で6人に1人の割合に上り、調査開始以来の最悪水準に。

●母子家庭など「一人親世帯」では半数以上が貧困状態で、先進国の中でも最悪。

●こういった子どもたちが親になった時に十分な収入を得られず、親の貧困が子どもに引き継がれる「貧困の連鎖」が問題である。

この様に、「貧困問題に正面から立ち向かい、いろいろと苦労しつつも頑張っている」というニュース内容だったのですが…。
一般視聴者から、「ニュースの内容は、何かがおかしい」との指摘が出始め、大きな騒ぎへと発展していきます。

【3】何がおかしいのか?

まず疑問視されたのは、報道内容そのものについてでした。

●貧困を語るにしては、画面に映った部屋の様子がおかしい。漫画やDVDやアニメグッズを大量に持っているし、1セット1万以上するペン…らしきものがある。

●「パソコンを買えずに、キーボードのみでタイピング型稽古をしている」とあるが、何を打ったか画面に出ない状況では、練習の意味があまり無い気がする。インクの出ないペンで絵を描くようなもの。非効率だ。

●中古のパソコンであれば、安いもので2~3万円もあれば買える。あれだけグッズがあるのに、敢えてパソコンを買わない理由が分からない。

この様に、いくつかの疑問点が話題に上り、それに触発されて調査を始めるユーザーが出現します。その結果、とあるTwitterアカウントが浮上してきます。
そのアカウントは、ニュースに出た女子高生と同じ名前のアカウントで、ニュース内で取り上げられたものと同じ絵(女子高生の自作)があり、趣味嗜好も同じ点が多かったとして「このアカウントが、ニュースに出た女子高生のアカウントだ!」との断定がなされました。

別に、そのアカウント自体が「私が女子高生本人です」と認めたわけではありません。しかし、状況証拠が揃い過ぎており、女子高生本人と思われても違和感が無い状況でした。
それに加え、この事がネットで話題になり始めた途端、当該アカウントが突然閉鎖・削除されてしまいます。結果的に火に油を注ぐ形となってしまい、騒ぎが拡大してしまった模様です。

その削除されたアカウントの内容は、「高価なコンサートチケットを買った」「アニメ映画を何度も劇場で見た」「高価なランチを食べた」等といった内容で、貧困を語る人にしてはチグハグな内容では?と、多くのユーザーは見た様子。
そもそも、投稿するにはパソコンやスマホ等が必要であり、「パソコンが無くて苦労している」という話とも食い違います。

現在でも、あのアカウントは本人だったのか、それとも無関係な人のものだったのか、その真相は分かっていません。

上記の様な流れの結果、まとめサイトが多数出現し、Twitterでも騒ぎが継続中です。見ていて、あまり気持ちの良いものではありません。

この問題は、「冷静に考える必要がある」と筆者自身は思います。ポイントはいろいろあるのでしょうが、ここでは3つに絞って考えてみましょう。

【4】問題1 貧困の概念とは?

ネット上の意見を見るに、「貧困の概念がバラバラ」「感覚がズレた状態で意見が飛び交っている」という印象を受けました。

ここでは指標のひとつとして、厚生労働省の挙げた数値を紹介したいと思います。

上記リンク先資料は、平成27年12月18日付けの貧困率に関するもの。これによると、「所得が150万円未満かどうか」で線引きしている模様です。一ヶ月単位に換算すると、月給12万5000円。確かに生活は苦しいでしょう。

ただ、ネット上の議論を見ていると、こういう数字を前面に出して語るのではなく、感覚で語られている部分も多い様に思えます。

例えば、「漫画を沢山持っているから、貧困ではない」という意見があるとしましょう。
その場合、いくらで買ったのか?を考えなければなりませんが、「定価」で考える人がいたり、「中古相場」で考える人がいたりと、判断基準が分かれています。ひょっとしたら、誰かのお古をタダで貰った…なんて可能性もあります。(あくまで可能性ですが)

事の発端となった「高級なペン」についても同様です。子供の将来の為に、親御さんが奮発して買った数少ない品物なのかも知れません。(これも、あくまで可能性ですが)

よくよく調べないといけない要素だと思いますが、情報は限られています。ユーザーが掘り出してきた情報も、完全に信頼できるものか?と言えば…果たしてどうでしょうか。疑問がゼロになるレベルではありません。そんな状況で、100%断定するのは危険でしょう。

【5】問題2 ネットユーザーの暴走

ネットの炎上騒ぎではお馴染みの光景なのですが、ネットユーザーの騒ぎっぷりが、度を越えて酷い場合があります。

「疑わしい事に対して興味を持ち、調べて意見を求める」という行為は良い事です。しかし、本人の住所を特定して拡散したり、本人が流したかどうかも分からない情報を「確定情報」として拡散したり、コラ画像(合成画像)を証拠扱いしたり…など、行き過ぎ感のある行動が見られます。

今回の騒ぎでも、そういった行動が多々あります。ヘタをすると、名誉毀損の案件になるのですが…。(例え真実でも、名誉毀損等が成立する場合はある)

【6】問題3 放送局の姿勢

このニュースを流した局側にも、不足・反省点があると思います。

検証の伴わない報道は「ただのタレ流し」であり、害悪になる場合すらあります。報道機関は、情報を検証するに足りる資金力・人員・コネクションを持っているハズです。一般人には出来ない、高い情報収集・検証能力を有しているハズだからこそ、社会的地位や年収も高いのです。

一般人に指摘を喰らう点があるとなれば、検証能力があるのか?と疑われてしまいます。また、その指摘に対する論理的説明をしない・できないとなると、そのニュースのみならず「報道機関そのものに対する疑問点」として扱われ、局の看板に大きな傷が残りかねません。

ただ、「検証第一」ばかり言っていると、取材相手のプライベートにズカズカ入り込んでしまったり、製作現場に過度の重圧をかけてしまう事に繋がるので、難しいところだと思いますが…。

特に今回の問題では、「NHKで放送された案件」だったので、騒ぎを拡大したとの指摘があります。

NHKは、スポンサー契約等を中心とした民間放送局とは違い、一般人からの受信料徴収が収入の柱になっています。その為、他局に比べて「何かあった時の風当たり」が強くなりがちです。

職員さんの平均年収も、かなり高い事で有名です。そんな局が「貧困問題」について語るとなった時、「年収の高い人が、どこまで貧困を理解しているのか疑問だ」と言われてしまうのも、無理からぬ事でしょう。

タイミングも悪かった様に思います。つい先ごろ、NHKの「クローズアップ現代」という番組で「ヤラセ報道疑惑」があり、調査・検証が行われ、番組アナウンサーが涙して謝罪・降板・番組名変更…という事態になりました。
問題があってから、さほど時間が経過していません。そんな理由で、色眼鏡で見られやすかったのも災いした…と言えるのではないでしょうか。

疑わしいニュースに対しては、確認しよう・裏を取ろうとする心理が働きます。その結果、色々な情報が出てきて拡散され、騒ぎになりました。ニュースを放送した側は全く責任が無いのか?と問われれば、「ありません」とは言えないでしょう。

【7】本当に困る人は誰?

こういった騒ぎに影響を受け、酷く困ってしまう可能性があるのは、「嘘や偽り無く、本当に援助を必要としている人」です。

今回の話は貧困に関する話ですが、「希望する進路」どころか、日々の食事から考えないといけない、そんな家庭・子供さんは存在します。「こども食堂」の話題等が、それに当たります。

今回の様な騒ぎは、貧困問題に対するイメージを変える恐れがあります。貧困問題を取り上げるニュースを、疑いの眼差しで見てしまう人もいるでしょう。局自体どころか、報道業界そのものの疑問視に繋がるかもしれません。
真面目に頑張って取材し、大切なニュースを伝えようとしている人達が、変な迷惑を被りかねない話です。

報道した側・取材を受けた側は、この様な騒ぎになるとは思っていなかったでしょう。しかし、現実に騒ぎになっています。これに対してダンマリを決め込んでいると、「ほら、都合が悪くなったから何も言わないんだ」「本当の事を暴かれたから黙っているんだ」という方向に行ってしまいます。

これを止められるのは、最初に報道した人たちだけだと思います。コメントを発表する等、沈静化に向けた行動を取って頂く様に祈ります。

【8】まとめ

こういった話に対して、筆者が思う重要事項は、以下の4つです。

●ネットに限らず、情報の真偽は自分の頭で判断すること。

●確定情報かどうかを確認してから、拡散に加わること。判断が付かない状況では、拡散するのは望ましくない。

●冷静に考え、分からない部分はハッキリ「分からない」と言うこと。

●意見に賛同・反対する時には、できるだけ明確・論理的な理由を添えること。


これは、筆者も常々心に思っている事です。ただ、人の心はとても難しいもの。そのつもりは無くても、ついうっかり決め付けてしまう事はあります。なので、発言後にもう一度論理的に考えて見直し、間違えたと思った時には謝罪・反省をしますし、次に活かそうと思います。

また万が一を考え、できるだけ丁寧な言い回しや、論理的な表現を心がける様にしています。キツイ言葉で、一方的に決め付けたりする事は、相手のイメージを必要以上に傷つけかねない行為です。もし自分の主張が間違っていた場合、相手に浴びせたキツイ言葉は、自分にブーメランとして返ってきます。用心したいところです。

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