「金の蔵Jr.」「鳥貴族」「えこひいき」「東方見聞録」「マルトクアウトレット」……。これらは、いま非常に人気がある居酒屋だ。

不景気で、“仕事帰りにちょっと一杯”が厳しくなっている時代に、むしろ流行っている店である。

その秘密は、安い均一料金。250円、270円、290円など。料理だけでなく、飲み物もすべてこの料金。給料も減って、残業も無くなったサラリーマンには、救世主のような存在ではないか。

安いからといって、レベルもそれなりかというと、そんなことはない。普通の居酒屋では太刀打ちできないほどの創意工夫があり、見ためはお洒落、味は値段以上である。

「どうしてこんな値段でやっていけるんだ? 何か裏がある」と、居酒屋のおやじがやっかむほどのレベルを保っている。

チェーン店だからこそのスケールメリットで実現できる値段だが、それ以上のアイデアがある。

大量仕入れで原価を落としている上、従来の居酒屋には無かった、見ための美しさ・お洒落感をプラスαしている。どれも食べてみたくなるビジュアルを持っている。

さらに大きいのは、飲み物も同じ値段だということ。従来の居酒屋は、料理を安くしていても、飲み物で利益を上げる仕組みになっていた。

しかし、均一居酒屋は、すべてを安くすることで数が出るようにし、トータルで儲かるようにしている。

しかも、注目すべきは、オーダーをタッチパネル方式にしていること。ホール人員を極力少なくしているのである。つまり、サービス業最大のコストである「人件費」が掛からないということ。

これは経営を考えた時、もっとも利益の上がる方法だと言える。

さて、完璧とも思える均一居酒屋を相手に、“おやじ”が経営する居酒屋は、どう戦うのか。勝つことは不可能なのか。

このまま均一居酒屋が増殖を続けると、潰れる店が多くなるのは確実。ありふれた居酒屋は、消えるしかない。

だが、まったく影響も受けずに、この先も常連客に愛され続ける店もたくさんある。それは、均一居酒屋の真逆を行く店である。

店員も明るく元気で、店も料理もお洒落な均一居酒屋。その逆は、『渋くて、落ち着いていて、粋が感じられる店』。すなわち、大人の居酒屋。

料理には腕があり、店は古くても手入れが行き届き、おやじとの会話が楽しめる。これこそが、生き延びる居酒屋の姿である。

安くてそこそこ美味しい均一居酒屋は、サラリーマンの味方だが、じっくり腰を落ち着け、酒を楽しむことができるのは、おやじの居酒屋である。

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1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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