国際司法裁判所によって、南極海における日本の調査捕鯨が違法だと判断された。これにより、国内の鯨肉の絶対量が少なくなるのではと危惧されている。

だが、商業捕鯨の禁止ではないため、各地の捕鯨基地はほとんど影響を受けないと見られている。

とは言うものの、先の不安を懸念して、精神的には追いつめられている。南極海の次は、北西太平洋となり、ついには商業捕鯨さえ危うくなるのではないかと。取り越し苦労だろう、と言えないところが難しいのだが。

だが、日本の伝統食である鯨を「獲るな!」と、他国から言われる筋合いはない。食文化にまで口出しをして欲しくはないし、すべきではない。当然、乱獲は避けなければならないので、制限をかけながら慎重に獲るべきではある。

調査捕鯨に関しては、私も反対の立場である。どうひいき目に見ても、商業捕鯨である。国際司法裁判所が言うように、調査の方法は他にもある。ここは、従うしかあるまい。

商業捕鯨の正当性をもっと海外にアピールすべきである。「我々は伝統の食文化を絶やしたくはない」と。

反捕鯨団体や反対国の身勝手で片寄った動物保護の精神など、聞き入れる必要はない。日本にとって「鯨は食べるものである」ということを主張すれば良い。もっと声高に、もっと強く。

だが私は、絶えずモヤモヤした考えが頭にある。現代の日本人が、本当に鯨を食べたいと思っているのか、ということ。

調べてみると、あるアンケートに行き着いた。「鯨を食べたいか?」という内容である。これによると、10代20代では半数近くが「食べたい」と言っている。30代以上では半数以上。

だが、その理由を見ると、鯨の必要性に疑問を持たずにはいられない。

10代20代は、「食べたことがないから、食べたい」「高級品だから、一度食べてみたい」という結果である。食べたことがないので、当然「美味しいから」という答えは出てこない。鯨に関する話題が世の中に流れているので、興味を持ったに過ぎない。

30代以上は、「懐かしいから」という回答がもっとも多かった。つまり、「鯨は美味しいから」という人があまりいないのである。「美味しいから」という意見は、ごく少数である。

ならば、私自身はどうか。子どもの頃はよく食べていたし、好きだった。だが、それは“身近な肉”として、慣れ親しんだ味だからである。

当時は、高かった牛肉の代用品に過ぎなかった。牛肉が食卓に出てくれば、当然そちらの方が嬉しい。そして、牛肉が手に入りやすくなった頃から、鯨は食べなくなっていったのである。鯨とは、そんな存在である。

いまもたまに食べたくはなるが、それはやはり“懐かしい”から。“ぜひ食べたい”とはならない。世の中の人も同じような感覚なのではないか。

しかも、高級品になってしまったので、なおさら買う気にはならない。つまり、伝統ではあるものの、なるべくしてなった結末なのではないかと思う。

「美味しいから食べたい」と思う人が少なければ、海外から日本が批判されていても、他人事のように感じてしまうだろう。鯨漁師を応援しようという、盛り上がりも生まれない。

識者が「伝統の食文化は守らなければならない」と言ったところで、日本人のほとんどが食べていないので、鯨に愛着も執着もありはしない。

そんな存在である鯨文化を守ることは難しい。

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佐藤きよあき このユーザーの他の記事を見る

1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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