24時間営業していて、生活に必要なものをいつでも買うことができる、コンビニエンス・ストア。

出勤途中に朝食を買うサラリーマン。昼食を買う、オフィス街の人たち。外まわりの休憩場所として。会社帰りにお酒とおつまみを。夜食を買ったり、立ち読みしたり。荷物を送ることも、公共料金の支払いも。チケットも購入できる。

あらゆる時間帯に、たくさんの人びとが利用する。まさに、“究極の便利(コンビニエンス)”を提供するお店である。

だが、便利なだけではない。“つい立ち寄ってしまう”魅力を持っている。

まず、行く度に新しい商品を見ることができる。コンビニは毎日利用する人も多いので、飽きられないように、頻繁に商品を入れ替えている。しかも、ユニークなものが多く、見ているだけでも楽しい。コンビニ限定商品もたくさん出ているので、用がなくとも、足を運んでしまう。

また、コンビニの新商品は話題になりやすいので、“話のネタ”を仕入れることができる。特に最近は、コンビニスイーツが注目され、若い女性を魅了している。

そして、「レジ横」コーナー。会計をしていると、どうしても眼に入ってくる。唐揚げや串もの、中華まん、おでん……。つい、「すみません。これも…」と、追加の注文をしてしまう。非常に誘惑されるコーナーである。

この感覚は、高速道路のサービスエリアに似ている。縁日の屋台のような魅力、とでも言うのか。しかも、それほど高くないので、誰もが買ってしまう。

このように、コンビニは楽しい。良く練られた戦略に、まんまと引っ掛かってしまう。

さて、ここからが本題。これだけ人びとに支持されるためには、さまざまな仕掛けが必要となる。出店場所や品揃え、陳列方法などが、緻密に計算されている。

だが、もっとも大きな仕掛けは、次々に登場する新商品である。

人は、新しいものが出てくると、まずは試してみたくなる。その選択が正しいかどうかは関係なく、“お試し”することが楽しいのである。その楽しさが、毎日のように体験できるのだから、コンビニには飽きる暇がない。

次々に新商品を開発することは、コンビニにとってもメーカーにとっても、大変なことである。それにも増して大変なのは、製造現場であるが。次々に商品が変わるので、製造ラインを自動化できない。

大量に売れるからといって、設備投資をしてしまうと、非常に大きなリスクを伴う。流行り廃りの激しいコンビニ界では、突然売れなくなることもあるからである。よって、人海戦術がもっとも効率の良い製造方法となる。

現在のコンビニの、特に食品関連の工場では、製造ラインの両側に人が並び、手際良く作業している。まるで、高度成長期の自動化前夜の工場のような光景である。すなわち、工場に人がたくさん存在しているのである。

自動化で人がいなくなった工場に、人が戻ってきている。これは、非常に重要なことである。仕事がない現代社会において、雇用が発生しているのである。

新商品が次々に登場しては消えていく生活環境には、あまり良いイメージはないが、新しい雇用を生み出すという事実には、喜ぶべきかもしれない。飽きやすい消費者が増えていることが、雇用を拡大するとは、なんとも不思議なものである。

コンビニがいまの地位を堅持、あるいは成長し続けると、一定の雇用は確保されるのではないか。

モノを作ることは、働くことの基礎。やはり、産業が栄えてこそ、社会は繁栄するのではないか。

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1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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