埼玉県久喜市にある「鷲宮神社」は、知る人ぞ知る“聖地”である。漫画・アニメファンの聖地。オタクの聖地。

漫画「らき☆すた」の舞台となったことで、一躍脚光を浴び、多くの「らき☆すた」ファンが訪れるようになった。神社としても、これ幸いと積極的にアピールするように。

それ以上に熱を上げてしまったのが、地元商工会。イベントを企画したり、関連グッズの販売まで手掛けるようになり、町は「らき☆すた」一色となった。

こうした取り組みを『聖地巡礼型まちづくり』と呼ぶ。いまや、全国に広がっている。「らき☆すた」以前では、鳥取県境港市が「ゲゲゲの鬼太郎」をテーマにした町おこしをしている。

作者・水木しげるの出身地であることから、水木ロードと名づけた通りには、妖怪像が立てられたり、ゲゲゲをテーマにしたお店がたくさんできている。

NHK朝ドラの「ゲゲゲの女房」後は、再ブレイクし、さらなる集客に大きく貢献した。

このように、漫画・アニメの舞台や作者の出身地などでは、それを活用した町おこしに積極的である。

しかし、問題もある。これまで見向きもしなかった漫画・アニメなのに、注目を集めることがわかると、すぐさま利用しようとする。

だが、すべてが成功しているわけではない。それは当然のことである。どんな漫画なのかも知らず、人気があるというだけで、“手を出している”程度なのだから。

関わる人間が本物のファンではないので、やることがすべて中途半端。本質をわからずに利用するだけでは、ファンに見破られてしまう。

オタクはディテールにこだわる。適当なことをすると、怒りを買う。ゆえに、作品を知り尽くした上でしか、成功は望めないのである。

漫画・アニメは、まちづくりに限らず、経済の起爆剤とも成り得る。

以前流行った「けいおん!」という漫画を例に取れば、音楽を始める中高生が増加し、楽器が多く売れた。登場する各キャラクターが使用している、ギター、キーボード、ドラムと同じモデルに注目が集まった。

実に単純な人種だ、と言えばそれまでだが、流行りものには影響を受けやすい。特に漫画・アニメの影響力は絶大である。

それは、日本にとどまらず、全世界に広がっている。

オタクの祭典「コミックマーケット」には、ドラゴンボール、ナルト、ワンピースなど、数々の漫画キャラのコスプレをした人が出現している。しかも、外国人も多い。海外で行われる同様のイベントでも、日本のキャラクターの人気が高い。

この動きを知った日本政府までもが、漫画・アニメを輸出しようと言い出す始末。確かに、日本が世界に誇れる産業かもしれないが、政府が乗り出すべきことではない。それくらい大きな潮流であることは間違いないが……。

漫画を原作にした映画・ドラマも増えている。アニメ専用映画館をシャッター通り商店街に作る話も出ている。

漫画・アニメを活用することは、注目を集め、ヒットする確率も高い。しかし、非常に安易である。先に書いたように、“利用”するだけでは、本物にはなれない。

はたして、この動きはどこまで続くのか?

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1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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