3年前の6月のその日、ヘザー・クラークさんを悪夢が襲いました。ベビーシッターに預かってもらっていた生後7ヶ月のルーカス君が、亡くなったのです。

生まれてすぐのころのルーカス君

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自宅でではなく、ベビーシッターの家で預かってもらっていたルーカス君。その日、どうしても泣き止まなくなってしまったのを黙らせようと、訪ねてきていたベビーシッターの彼氏に暴力をふるわれたのです。

シッターはルーカス君の呼吸が止まったのを見てすぐに911番(アメリカの緊急救急番号)し、こども病院に搬送されたのですが、その時すでにルーカス君は脳死状態でした。

その場で困難な、しかも急を要す決断をすることになったヘザーさん

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脳死宣告を受けた後でも、ただ眠っているような可愛い盛りのルーカス君を前に、ヘザーさんの苦悶は計り知れないものだったと思います。

その只中で彼女は大きな決断をします。小さな小さな赤ちゃんの、臓器提供を申し出たのでした。

「この世のどこかに私と同じような、この気持ちを分かち合える他の家族がいて、今まさに私に降りかかろうとしている事(我が子の死)が起こらないようにしてあげられるんだ、と思いました」

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そしてルーカス君の臓器は、移植を待ち焦がれている別の小さないのちへと、大切に申し贈りされて行ったのです。

そのうちの1人、今年4歳になったジョーダンちゃん

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そのうちの1人、ジョーダン・ドレイクちゃんは、生まれつきの心臓疾患で生まれてからのほとんどを病院で過ごしていました。

生まれてすぐの頃のジョーダンちゃん

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医師からは心臓移植以外にいのちを長らえる方法はないと言われていたジョーダンちゃん。その彼女に、ルーカス君の心臓が移植されたのです。

そして今、ルーカス君の心臓はジョーダンちゃんの中で生きています

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あれから3年たったその日、ルーカス君のママ・ヘザーさんと、ジョーダンちゃん、ジョーダンちゃんのママ・エスターさんは、初めて会う機会を得ました。

ジョーダンちゃんのママ・エスターさん

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「彼女が来るのを待っているだけで、もうわくわくします」

ルーカス君のママ・ヘザーさん

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「少し興奮しています。またルーカスの心音を聞かせてもらえるのですから」

2人のママは涙ぐんでお互いを抱きしめ、ありがとう、ありがとうと言い合いました。

聴診器を手にしてジョーダンちゃんに向かうヘザーさん

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「あなたの赤ちゃんよ」

「すごく力強い音がするわ」

ルーカス君の生きていた、そして今もジョーダンちゃんの中で生き続けているという証(あかし)をしっかりと確認できたヘザーさんでした。

そしてジョーダンちゃんからの贈り物は…

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じっと心音に耳を傾けるヘザーさんの足元に置かれた包み。その中からのぞいているぬいぐるみは、ビルド・ア・ベア・ワークショップでジョーダンちゃんがヘザーさんのために作ってきたものです。

日本からはもう撤退してしまいましたが、ぬいぐるみに自分の声や音楽を録音して再生させることが出来るようになっていたのを、覚えていらっしゃる方も多いかと思います。

ジョーダンちゃんが録音したのは、自分の中で息づいているルーカス君の心音でした。

このぬいぐるみを抱きしめるたびに、ヘザーさんがルーカス君の鼓動を感じられるように。

ルーカス君の臓器提供で、3人の子供のいのちが救われたそうです

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CNNがアップしたこの動画は、まだYouTubeで見ることができます。お時間があったら、どうぞご覧になってください。

出典 YouTube

このリポートにはルーカス君の父親の存在は全く出てきません。ジョーダンちゃんとの面会の際にも同席していませんし、おそらくヘザーさんはシングルマザーでルーカス君との生活のために仕事に出る、それでベビーシッターに預けていたんだと思いました。

アメリカではごく普通に見聞きする「ベビーシッター」という仕事。
「ナニー」とも呼ばれ保育士等の有資格者で子供の躾から関連する家事まで担当するプロから、高校生のアルバイトまで、そのレベルは多岐にわたります。

まだ赤ちゃんのルーカス君を預けるのには自宅に来てもらうのが一般的ですが、そうすれば交通費や食費も出さなければならず余分な出費がかかりますし、それでわざわざ先方へ預けに行ったのかな、だから彼氏が一緒にいたのかもしれないと、この話を知った時に即座に思いました。

SNSでもこんな小さいうちから他人の家に預けたヘザーさんの母親としての責任を問い、危機感のなさを疑問視する声もありました。

それでもルーカス君の死を悼み、その中で最善と思える選択をした母親、そのために助かったもう1つの小さないのち、その子が形にした純粋ないのちへの喜びのほうを大切に考えたいと思い、このお話を紹介させていただきました。

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