普段、私たち日本人は、「給料が上がらないな」とか「仕事と子育ての両立が苦しいな」とか、「子育てで自分の輝く場所がないな」とか、人それぞれ悩みや不安はあるものの、仕事、学校、子育て、介護…必死に毎日をこなす中で、この国の安全について考える人は少ないでしょう。

ニュースや新聞で、海外の戦争や紛争を目にし、「この平和な日本に居て戦争など起こるはずがない」と、どこか他人事のように感じてはいないでしょうか。


皆さんは「カエルの楽園」という小説をご存知でしょうか。

「探偵ナイトスクープ」の番組構成や、映画化もされた小説「永遠の0」でお馴染みの、作家 百田尚樹さんの最新刊です。

私たちは「カエルの楽園」の住人

「カエルの楽園」には様々な登場人物やキーワードが出てきます。

○平和な争いのない国「ナパージュ」
○国外から来た旅人にも優しく親切なナパージュの住人「ツチガエル」
○ツチガエル達が心の底から信じている「三戒」
○ツチガエルに似ていると言われると怒り、ツチガエルが大嫌いだと言っているのにナパージュに住み続けている「ヌマガエル」
○「南の崖」下から少しずつ這い上がろうとしている凶暴な「ウシガエル」
○南の崖を守りウシガエルを監視する「スチームボード」
○スチームボードと共に南の崖を守り、体を鍛えている「ハンニバル3兄弟」
○スチームボードとハンニバル3兄弟こそがウシガエルを挑発していると、聴衆の心を惹きつける「デイブレイク」
○僕たちは戦争したくない、と集会を開く若いツチガエル「フラワーズ」
○今を楽しみたい、子供を産んで苦労したくない若い女の子のツチガエル「ローラ」

勘の良い人なら、これらが何を指しているのか分かりますよね。

物語を読み進めていくと、この小説が、政治や現実問題に無関心である事がいかに危険であるか警鐘を鳴らしてくれています。

自分のいのちよりも大切なもの

出産すると、それまでの価値観がガラリと変わる…なんて経験をした人も多いのではないでしょうか。

約10ヶ月お腹で大切にして育み、耐え難い苦痛を乗り越えようやく我が子と対面。
母親は本能的に子供を守ろうとします。

そんな時に、子供にまつわる事件や事故、災害や放射線物質の問題、そして戦争に巻き込まれるかもしれない不安。
子供を育てる親なら、そのような不安から子供達を守らなければならない、と誰もが思うでしょう。
ですから、政治や世界の出来事を他人事と思わず、無関心でいてはいけないのです。

不安だからこそ備える

日本は地震大国と言われています。
だからこそ、日頃から避難訓練や防災グッズなど、いざという時の為に準備していますよね。
ましてや、幼い子供を連れて避難生活…なんて事になったら、オムツは?ミルクは?離乳食は?授乳はどこですればいいの?赤ちゃんが夜泣きしたらどうしよう…不安は尽きません。
実際に震災で被害を受けたらどう動くのか、シュミレーションして家族と話し合い、防災の意識を高めておくだけで、だいぶ違うと思います。

過去には阪神大震災、東日本大震災、今年は熊本や大分で地震があり、甚大な被害が出てしまいました。犠牲になられた多くの方の命を無駄にしない為にも、日本政府も準備をしなければなりません。

今年の九州地方の震災では、救助や支援物資、情報提供など、政府の迅速な対応が評価されました。
自衛隊も日頃から訓練しているからこそ、的確に人命救助に当たれたのだと思います。

では、有事の際はどうでしょうか。

地震には備えるのに、なぜ私たち日本人は、有事、つまり戦争に「備える」という意識が低いのでしょうか。

ナパージュの住人達は「三戒」を心の底から信じています。「三戒」があるからこそ争いが起きないのだ、と。
「三戒」とは、「カエルを信じろ」「カエルと争うな」「争うための力を持つな」。

ツチガエル達は、本当はスチームボードやハンニバル3兄弟がウシガエルに睨みをきかせているから平和な暮らしがてきている、という事実を知らないのはおろか、スチームボードやハンニバル3兄弟がいるからウシガエルがナパージュを狙っているのだと信じて疑いません。


日本国憲法第9条も、理想で言えば素晴らしい条項なのかも知れません。
世界中の国が、武力を持たず、戦争を放棄すれば平和が訪れるからです。
しかし未だ海外では紛争が終結せず、多くの何の罪もない民間人が犠牲になっています。幼い子供たちが悲しみ苦しむ姿は、同じ幼い子を持つ親として心が痛みますし、このような事があってはならない、と怒りさえ込み上げてきます。

せめて日本は憲法第9条を守り、子供達の未来も守らなければならない…そのように多くの人は考えると思います。
「武器があるから、米軍基地があるから、日米同盟があるから、集団的自衛権が行使できるようになったから、PKO活動で後方支援をするから、テロ組織を挑発するから、だから戦争に巻き込まれる、子供や夫が徴兵制に取られるのなんてごめんだ」。
本気でそう思っているお母さんも多いのではないでしょうか。

しかし、「日本が戦争に巻き込まれるわけがない」と、何も準備しなくて本当に大丈夫なのでしょうか。

徐々に近づく「ウシガエル」

普段、仕事や育児に追われていると、「中国がどうした、領海がどうした、中東がどうした」なんて事は「自分たちの生活に直接関係ないから」と、全く気に留めない人もいるでしょう。そう、「今は」。

子育てをしていると、常に危険と隣り合わせ、子供の生命の安全に、常に気を配っていると言っても過言ではありません。
寝返りやずり這いを始めた赤ちゃんはもちろん、手が離れたと感じる年齢になっても、子供はいつ何をしでかすか分かりません。
常に最悪の想定をし、危ない物、間違えて口に入れてしまいそうなもの、触れてほしくない物は手の届かない所に置きますよね。

また、1人で出歩くような年齢になると、親の目が届かないので、自分の身は自分で守る事を教えなければなりません。

我が家は息子が3人いますが、近年では男の子だからと言っても安心出来ません。
日頃から、親子で話し合い、防犯の意識を高めておく事は、とても重要だと思います。


国防についても同じ事が言えると思います。

「戦闘機」「戦車」などの「武器・武力」を見たり聞いたりすると、「戦争」を連想する人も少なくないと思います。
これは、私たち日本人が軍事について、きちんと教育を受けていないのが原因だと考えられます。

もちろん、戦争はない方が良いのは当然です。
しかし、もし戦争を仕掛けられた場合、「誰がどのように日本国民を守るのか」、これくらいは国民が一般常識として知っておくべきなのではなのでしょうか。

きちんとした知識を身につける事によって、自衛隊や在日米軍、武器への偏見や誤解も解けると思います。
「武器がある事によって戦争に巻き込まれる」というのなら、全く何の備えも無しで国土や国民を守れるでしょうか。
ましてや日本は今「専守防衛」、つまり犯罪者か刃物を突き出して、今まさにこちらへ向かって来ようという時、こちらから先に攻撃はできないのです。

そのような状態が現在、日本の領海、領空で起きているのです。
そう、「ウシガエル」がジワジワと崖を登り始めているのです。
「ウシガエル」は、日本が先に手出しできないのを知っています。
一度「ウシガエル」の上陸を許してしまえば、瞬く間に領土を乗っ取られてしまうことでしょう。

ですから、そうなる前に「日本に手を出したらマズイぞ」と、「ウシガエル」を躊躇わせる必要があるのです。

「ソクラテス」を育てよう

先の参院選では、「圧勝」とは言えないものの、自民公明の連立政権が議席の過半数を獲得しました。
民進、共産、社民、生活の野党4党は憲法改正の発議に必要な3分の2議席を取らせないと、選挙区の一人区で統一候補を擁立し、共闘しました。
野党4党は、改憲が参院選の争点であるとして、自民党の改憲草案を引き合いに、
「改憲するといよいよ戦争になる」と演説し、メディアもそれを報じました。

実は「カエルの楽園」には主人公がいます。
ダルマガエルに突然故郷を襲われ、命からがらナパージュに辿り着いたアマガエルのソクラテスです。

ソクラテスは、ナパージュの住人たちに親切にもてなしてもらい、「ようやく楽園に辿り着いた」と安心します。
しかし、楽園を散策し、様々な住人やスチームボード、ハンニバル3兄弟と接していくうちに、「果たしてデイブレイクの言っている事は本当なのだろうか」と疑問に持ち始めます。

「影響力のあるデイブレイクが言うのだから、それが本当なのだろう」と多くのツチガエル達は「疑う事は悪だ」と決め付けるのです。

ソクラテスは、自分の足で、目で耳で、それが例え「あの人は変わり者で嫌われてるから近づかない方が良い」と忠告を受けても独自に情報を集めます。
問題の入り口として「デイブレイク」を活用する事は決して悪い事ではありませんが、やはり一方の偏った情報を鵜呑みにしてしまうのは危険です。

影響力の大きなメディアが、必ずしも真実を伝えているとは限りません。

「武器を開発研究、輸出する事は、戦争、虐殺に加担する事だ」
最近、このような意見を耳にしました。
調べてみると、やはり偏った情報で、一方的な見方しかできていない主張でした。

逆に、武器を開発研究する事によって、日本にどのようなメリットがあるのか、そういった事は全く触れていないのです。

確かに、武器は人を傷付け、命を奪う力があります。
しかし、それは使う人次第で、盾にも矛にもなるのです。

包丁や車にしても、使う人が本来の使い方をしていれば便利な道具に過ぎませんが、一歩間違えれば人の命さえ奪う事も可能です。
でも、誰も「包丁を作るな」「車を作るな」とは言いませんよね。
空手やボクシングにしても、人を傷付けるために習得してるのではないですよね。
しかも、それらは「あいつ空手(ボクシング)やってるんならちょっかい出さないでおこうかな」と、相手を躊躇わせる力、抑止力が働くわけです。

武器・武力にしても、日米同盟や集団的自衛権にしても、
「日本に手を出したらヤバイな」と躊躇わせる力があるのです。

先日、小1の長男の友達のお母さんから聞いた話です。

「隣のクラスに、学年とか男の子女の子関係なく、叩いたり泣かせたりする子がいるんだけどね、

ウチの子と、○○くん(長男)には手を出さないらしいの。

逆にやり返されるからだって(笑)」

つまり、我が家の長男とお友達がヤンチャなので、あまり自慢できる事ではありませんが、イジメっ子に対して抑止力が働いたのだな…と思いました。

また、「自衛隊に集団的自衛権の行使を認めたら、戦争に巻き込まれる」
「憲法改正したら、独裁政権になる」
「武器を輸出したらテロ組織の標的になる」、
そのような考え方は、本気で日本と日本人を守ろうとしている人達に対してあまりに失礼ではないでしょうか。

例えば、「自衛隊が他国を攻めて戦争になる」などという事は、自衛隊の戦力や輸送力を調べれば、それがあり得ないという事が明白に分かるのです。

「デイブレイク」のような影響力のある人のデマや吹聴に惑わされる事なく、ソクラテスのような、「疑問を持つ、情報を集める、得た情報を精査する」能力こそ、戦争をしない・させないために、今の私たち日本人、そしてこれからの日本を担う子供たちに求められている事なのではないでしょうか。

そして、私たちの中のソクラテスこそ、子供を守る最大の防衛になるのだと思います。

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東京都出身。
高校、大学で美術(工芸)を専攻。
現在6歳、3歳、2歳の三兄弟の母。
30代前半の専業主婦。

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