“ちょい飲み”が流行っている。安いおつまみで、軽く飲んで帰ることである。「吉野家」「日高屋」が先行し、ごく最近では「ケンタッキーフライドチキン」「スターバックス」が参入している。

仕事帰りのサラリーマンがターゲットだが、会社の同僚というより、近くにいる友人で集まることが多いようだ。

サラリーマンの仕事帰りと言えば、居酒屋での上司や部下への大愚痴大会がメインで、酒をがぶ飲みして、憂さ晴らしをする場所だった。

だが、“ちょい飲み”は違う。たくさん飲むより、楽しく飲む。憂さ晴らしではなく、楽しい時間を過ごす。軽いコミュニケーション手段となっている。本気飲みすることはなく、予算も千円台で済ませることが多い。

若い世代が酒をあまり飲まなくなったことも理由としてはある。本当の酒好き・酒飲みは、ほとんどいなくなってしまった。

さらに、不景気が追い打ちをかけ、本気で酒を飲むことができなくなった。その結果、居酒屋が窮地に立たされている。巨大チェーン店を展開するワタミは、この2年ほどで、百数十店舗を閉鎖するほどである。

居酒屋でも“ちょい飲み”を提案できれば良かったのだが、“本気飲み”のイメージが固定化されており、気軽な利用には繋がらなかった。

その点、「吉野家」「ケンタッキー」などのファストフード店は、“ちょい飲み”にピッタリな店である。フラッと入って、サッと帰ることができる。若い世代の志向に合ったのだろう。

だが、若干の不安は残る。上司世代と若い世代のコミュニケーション不足である。飲みに行くことが大切だとは言わないが、これまでは嫌々ながらも同行することで、相手を知ることはできていた。それが、仕事を円滑にする手助けにもなっていた。

だが、一緒に飲まなくなったら、どうやってコミュニケーションを取るのか。会社内でのひと言ふた言では、相手を知ることはできない。いまの時代、上司による無理強いもできない。こうなると、互いが歩み寄るしかないのではないか。

本気で飲みたい上司は、部下との“ちょい飲み”につき合うべきである。部下は、友人と飲みたいところだが、上司と“ちょい飲み”する。短い時間なので、嫌な思いもせず、コミュニケーションの意義を感じることもできる。

これにより、本気飲みを愛する上司も徐々に酒量が減り、身体のためにもなる。次第に見苦しい酔っぱらいも少なくなり、街が健全化する。だらしないおやじの姿も見かけないようになる。

たとえば、サラリーマンの聖地「新橋」が、静かな街となる。だが、困る人たちも出てくる。テレビ局の取材クルーたちである。

酔っぱらったサラリーマンは、絵になる。面白い話が飛び出す。サラリーマンの意見を聞くなら「新橋」なので、他を探さなくてはならない。というより、「新橋」以外はあり得ない。つまり、インタビューができなくなるのである。

シラフで真面目なサラリーマンの意見など、面白くはない。酒の入った本音が、テレビを観る人を納得させるのである。酒とサラリーマンは、切り離せない。

だが、時代は“ちょい飲み”。サラリーマン像の「変革期」が来ているのかもしれない。

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1961年兵庫県生まれ。神戸学院大学法学部中退。1981年、広告デザイン会社にコピーライターとして勤務。93年、プランナー・コピーライターとして、フリーランスに。仕事を継続したまま、96年、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手。その後、「販売の現場」を知るために、5年間スーパーに勤務。これにより、「メーカー」「販売現場」「広告・販促」のすべてを経験。この経験を生かし、2003年より、中小企業・個人商店向けメールマガジン「繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座」を発行。関連する情報販売、コンサルティングを開始。メールマガジン他、ブログ9本「Marketing Eye」「ビジネス界隈・気づきの視線」「企画する脳細胞・ビジネスの視点」「まちづくり・村おこしの教科書」「行列のできる『MENU』の創り方」「中高年のための新規開業サポート」「独立・起業の成功法則」「販促の知恵袋」「スキルアップでビジネスぶっちぎり!」を執筆中。現在、繁盛戦略コンサルタントおよび中小企業経営研究会のビジネス・カウンセラーとして活動。著書に「0円からできる売れるお店の作り方(彩図社)」がある。

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