水素水
そう聞くと、何やらよさげな印象を抱く方もいれば、何やら怪しげな印象を抱く方もいるでしょう。
そこで、記者は電解水素水整水器を作っている日本トリムの工場に行って、さまざまな疑問点について取材してきました。

出典記者撮影

工場といっても首都圏にあるわけではないのです。
高知県南国市というだいぶ東京から離れた場所にあるので、記者は東京発の寝台特急サンライズ瀬戸に乗って取材に出かけました。

特急サンライズ瀬戸

東京から乗車したサンライズ瀬戸は瀬戸大橋を渡り香川県の坂出で下車。

一晩乗車して、坂出に到着したのは午前7時過ぎ。
サンライズ瀬戸は高松まで行きますが、記者は高知に行かなければならないので坂出で乗り換え。

特急しまんと3号

特急しまんと3号に乗り継いで高知県南国市の御免駅まで乗車。

坂出からは特急しまんと3号に乗ります。
JR四国の2000系気動車の最高速度は毎時120キロメートル。高知までの土讃線はカーブが多く、しかも山岳路線。
2000系はカーブで車体を5度傾けて、制限速度+30km/hで通過することができます。

出典記者撮影

徳島県と高知県の県境付近を流れる吉野川。
この一帯は大歩危・小歩危という剣山国定公園の中を走り抜けます。
車内からの風景だけでも大満足のパノラマは必見です。
余談ですが、国立公園とは国が直接管理していて、国定公園とは国が指定して都道府県が管理している景勝地です。

出典記者撮影

写真はパノラマ合成

列車を下車したのは、後免駅。「ごめん」と読みます。
そこから車で10分少々の高台にある工場が、日本トリムの整水器を製造するトリムエレクトリックマシナリーです。

出典記者撮影

事務所の玄関には歴代の整水器が一堂に並べられていました。
農業用のものもありましたが、農業については別稿で紹介します。

トリムエレクトリックマシナリーの下元広憲社長が迎えてくれて、会社の概要を教えてくれました。
日本トリムの製造部門として設立された同社には、製造関連の社員のほかに日本トリムの開発部門も置かれています。
これについて下元社長は、「開発のアイデアや新製品の実験を生産工場ですぐに具現化して開発のスピードを上げて、製品に生かせるように開発部門はここに置いています」と説明してくれました。

また、日本郵政の社員が4名常駐しているとのことで、これについては「製品はもちろんですが、特にカートリッジは待っているお客様のために迅速に確実にお届けする必要があります。そのためにJPさんにもご協力いただいています」とのことだった。
さらに、カートリッジを届けるだけではなく、回収した使用済みのものを樹脂再生、再生紙、固形燃料等に再利用して環境にも配慮した取り組みを行っています。

出典記者撮影

水道水の中にpH指示薬を入れた状態。pHは7.0あたりで中性を示している。

さて、肝心の整水器での電解水素水の作り方ですが、原理はいたって簡単。
水を電気分解すると、陽極(プラス)に酸素が発生し、陰極(マイナス)に水素が発生します。小学校の理科の実験でやりましたね。
発生したそれぞれの気体が水に溶け込んで、電解水素水を作るというものです。

このように、日本トリムの整水器では水を電気分解して電解水素水を作っていますが、水素水として市販されているものは、たいていバブリング(水に水素の泡をブクブクさせて溶け込ます方法)で作られています。

出典記者撮影

結果は、確かにアルカリ性と酸性に分かれた。

水を電気分解すれば、水素イオン(H+)が陰極から電子をもらって気体の水素(H2)になります。
一方、酸素イオン(O+)は陽極から電子を奪われて気体の酸素(O2)になるという仕組みです。

水の電気分解実験

出典 YouTube

左側は陽極で酸素が、右側は陰極で水素が発生する。

実験の結果は、確かに酸性とアルカリ性に分かれたので、水素は含まれているらしいことは分かりました。しかし、水素が本当に溶け込んでいるのかどうかまでは、はわかりません。
なぜかというと、泡が立ってできた水素(や酸素)は、もはや水には溶け込んでおらず、気体として空気中に出て行ってしまったからです。

この点については、泡として出ていく気体は確かにあるのですが、溶け込んでいる気体は目に見えないうち溶けているという説明がありました。実際の機器の中では小さな部屋に密閉して電気分解を行っているので極力気体として逃げないような工夫がされているそうです。
これは、製造工程を見せてもらいましたので後で紹介します。
また、本当に目に見えないうちに水素が溶け込んでいるのかどうかについては、測定器により数値で見せてもらうことにしました。

出典記者撮影

製品の中に入っている電極版には、電気分解を繰り返すうちに水の中のいわゆるミネラル分がついてしまいます。
カルシウムやカリウム、ナトリウムなどが陰極に付着します。
陽極には硫黄、塩化物などが付き、分解性能が落ちてしまいます。

これを防止するために、製品では定期的に極性を変える仕組みになっています。
しかし、そうなると出てくる水も変わりますので、そうならないようにバルブを電動で変えて常に電解水素水や酸性水が決まったところから出てくるような仕組みになっています。

出典記者撮影

次に記者は、工場内を見せてもらうことにしました。
日本トリムの整水器は医療用機器の認定を受けているものです。
したがって医療用機器を製造している工場なので、品質管理には特にうるさいようです。

出典記者撮影

組み立てラインには、製品を梱包する段ボールが見当たりません。
すべて樹脂製の段ボールを使用して、紙くずが機器の中に入り込まないようにしています。
ライン奥のドアの向こう側が梱包作業専用の部屋になっていて、段ボールへの詰め替えはすべて専用の部屋で行うように徹底されています。

出典記者撮影

撮影している記者も、白衣と帽子を着用して工場内を歩いています。

出典記者撮影

製造した機器は、全品について注水して性能を検査していました。
製造番号をたどれば、だれがどのようにして組み立てて検査したかがわかるようになっているということで、チェック中の機器には検査用紙が挟まれていました。

出典記者撮影

交流電流系も設置されていて、モードによっても違いますが、およそ3アンペアの電流が流れていました。電気分解をするのですから電力は使いますね。

それと社長の話では、1つでも不良が出ると、その日に製造したものはすべて再検査するということです。また、カートリッジの不良警告音声が出ていたのですが、これは社外品の安全性に問題があるカートリッジは使用できないように常に機器とカートリッジとの間で通信をしていて、これを遮断することにって本当に警告が出るかどうかのテストをしているのだということでした。

出典記者撮影

電気分解の実験で見せてもらった水槽ですが、機器の中には写真のような水槽が一つ入っています。これに2枚の電極を挟んでいくのかと思っていたのですが…。

出典記者撮影

なんと、電極は5枚も使用していました。
つまり、壁-電極-電極-電極-電極-電極-壁とサンドイッチすることで、細かく部屋を区切り効率よく電気分解することができる仕組みのようでした。

この電極版は、純チタンに白金をメッキしたものです。
それを5枚も使用しているのですから、それだけでも高そうですね。
ちなみに、その白金はもちろんプラチナという貴金属のことですが、記事では明かせませんが、世界的にも信用のおけるところから仕入れていたのを確認しましたので、純度等の品質は記者が保証するといってもいいでしょう。

出典記者撮影

測定をしてくれた日本トリム開発部 雨森大治 係長

最後に、本題である本当に水素が入っているのか?というに疑問に測定器で答えていただきました。
実は、機器には水素がどれくらい含まれているのかという目安がデジタル表示されますが、記者はあまり信用していませんでした。

出典記者撮影

まずは対照実験として、カートリッジだけを通した浄水モードで測定しました。
蛇口から直接取水するのではなく、ごまかしがないようにビーカーに一度落ちた水を測定機に通して計測しました。
結果はゼロ。当然といえば当然ですね。
次の実験でゼロだったら、水素が含まれていないか、測定器の故障ということになります。

出典記者撮影

そして、電解水素水の最低モードで測定します。
機器のデジタル表示は100ppb(parts-per-billion)。
測定器の表示は0.116ppm(parts-per-million)なので、116ppbということになり、誤差はわずかに16ppbしかありませんでした。
16ppbの誤差というのは、濃度でいうと1億6千万分の1でしかないのです。

出典記者撮影

次に、水素水モードの高いモードで測定します。
機器の表示は280ppbで、測定器の表示は0.285ppm。ほとんど誤差はありません。

出典記者撮影

最後に、料理用に使用するレベル4でも測定しました。
機器の表示は550ppbで、測定器は0.567ppmでしたので、ほぼ正確といえます。

電解水素水には本当に水素が含まれているばかりか、デジタル表示もほぼ正確だということが分かりました。

この測定器は一式およそ120万円もする高価なものだそうで、だったら整水器も120万円くらいしてもいいじゃないかと思ったのですが、雨森さんは「実は、整水器の濃度表示は電圧や電流を水の流量によって演算した数値を出しているので測定しているわけではないのです。でも、正確なデータを使って計算していますので大丈夫です」と笑って答えてくれた。

誤差があるとすれば、水の純度かもしれません。
ご存知かもしれませんが、純粋な水H2Oは、電気を流しません。したがって純水の電気分解はできないのです。水道水には様々なミネラルや消毒成分である塩素が溶け込んでいますから、電気分解ができるのです。
ですから、水源が地方によって違う水道水は、多少の地域差があるということですね。

出典記者撮影

写真は同社で出された水のペットボトル(非売品)

いろいろと疑ってかかった取材でしたが、電解水素水には水素が含まれているということはわかりました。
同社では、高知県やJAと協力して、農業へ生かす取り組みも始めています。
それについても詳しく取材しましたので、別稿でお伝えします。

取材記者 古川智規(フリーランスライター)

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