最愛の我が子の死、もしも自分の愛する子供が死んでしまったら……誰だってそんな最悪の事態を想像すらしたくはありません。

しかしアメリカ合衆国カリフォルニア州に住むヘザーさんは突然の悲劇により最愛の息子ルーカスくんを失ってしまいます。

ヘザーさんにとって初めての子供だったこともありルーカスくんを溺愛していました。しかしそんな彼女に信じられない報告が入ります、なんとルーカスくんは信頼していた恋人の暴力により重傷を負わされてしまったのです。

病院に運ばれて間もなくルーカスくんはわずか7ヶ月という短い人生に幕を閉じます。

最愛の息子の理不尽な死、しかも犯人は信じていたはずの恋人。

25歳のヘザーさんには到底受け入れることの出来ない深い深い悲しみが襲います。もし筆者が彼女の立場だったら起きたことを受け入れるまで長い時間がかかると思います、しかしヘザーさんは深い悲しみの中である決断をします。

それはルーカスくんの臓器提供

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当時2013年のアメリカでは121,000人以上の患者がドナーの臓器提供を必要としているのに対し、実際に臓器移植が行われるのは年間30,000件ほどだったそうです。

これは毎年6,000人以上は臓器提供のドナーが見つかる前に命を落としている状況でした。

ヘザーさんは深い悲しみの中でルーカスくんの臓器を3人の子供に提供することを決断します。これほどの状況の中で他人を思いやれる気持ちを持てるのがどれほどのことか、想像を絶する勇気がなければ到底できないことです。

「この世界のどこかに、私が経験した子供を失うという深い悲しみを経験しなければならない家族がいるんだ。ルーカスの死はそんな家族を救えるチャンスかもしれない。」のちにヘザーさんはこう語っています。

「私はもう自分の子供を救うことはできなないけど、誰かの子供だったら救うことが出来るかもしれない。」彼女が臓器提供という決断に至ったのは自分と同じ思いをする人を少しでもなくしたいという強い思いがありました。

臓器移植を待つ心臓病の女の子

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いくつもの管に繋がれていなければ生きていけない彼女の名前はジョーダンちゃん。

彼女の母親のエスターさんは生後3ヶ月の時に医師から、先天性の心臓疾患であることを告げられました。生きるため、幼いジョーダンちゃんは何度も何度も手術を受けますが15ヶ月の時に心臓移植だけが生きる唯一の道であること、そうしなければ長くは生きられないことを告げられます。

今日1日の娘の命を願いながら待つエスターさんの元に知らせが届いたのはそれから3ヶ月後のことでした。

運良く臓器提供のドナーが見つかるのが数年後と言われる中でこれだけの短期間でドナーが見つかったのはまさに奇跡でした。ジョーダンちゃんが18ヶ月の時、ルーカスくんの心臓が移植されました。

後にエスターさんは「ヘザーさんの勇気ある決断によって私たちは救われました、自分が深い悲しみのどん底にいるのに、他人を思いやれるなんて…とても言葉では言いあらわせないほど感謝しています。」と述べています。

ヘザーさんの勇気ある決断とルーカスくんの心臓によってジョーダンちゃんは驚くほどの回復を見せます。

そして無事に4歳の誕生日を迎えることが出来ました。母親のエスターさんは健康に成長していく娘を喜ばしく思う反面、臓器提供ドナーの母親が悲しみに暮れているのではないかと長い間心配していました。

ルーカスくんの死から3年後、感動の対面を果たす

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2人の母親はルーカスくんの死から3年後の2016年1月29日に初めて対面を果たしました。

顔を合わせる前から目に涙を浮かべる両者、写真右側のヘザーさんの腕には息子ルーカスくんのタトゥーが彫られています。息子を失ってから3年、一瞬たりとも思わなかった日はなかったのでしょう。

顔を合せた瞬間2人は号泣して抱き合います。2人の口からは自然と感謝の言葉が溢れ出しました。

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「これはあなたの赤ちゃんの心臓よ」

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元気になったジョーダンちゃんの胸に聴診器を当てながら涙を流すヘザーさん。死んだと思っていた息子はジョーダンちゃんの一部となり今も生きていました。

エスターさんも涙ながらに「これはあなたの赤ちゃんに心臓よ」と、声をかけます。

いつでもルーカスくんの心臓の音を聞けるようにと、ジョーダンちゃんの心臓音を録音したテディ―ベアのプレゼントもありました。

このことがニュースで取り上げられるとSNSを通して全米に広がり大きな話題となりました、ヘザーさんの勇気ある決断に多くの称賛が寄せられました。

毎日22人が臓器提供を待ちながら亡くなっている

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Donate Lifeによるとアメリカでは現在も120,000人もの人が臓器提供を待っています。残念なことに必要な臓器が見つからずに毎日平均22人もの人が亡くなっているのが現状です。

日本の臓器移植の実状

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日本は海外と比べると臓器移植に対する法の整備や手術の技術が非常に遅れています。さらに2010年に法律が改正されるまでの長い間、15歳未満の臓器移植が禁止されていたこともあり小児への臓器移植の分野はさらに遅れていると言えます。実際に2015年までの5年間の小児への臓器移植例はわずか7例のみです。

約1万3500名が、移植による健康回復に望みを持ち、日本臓器移植ネットワークに登録して待機している。

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移植件数は年々増加傾向にあるが、それでも年間わずか50件ほど

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日本では約1万3500万人もの人が臓器移植を待っているのに対して年間の移植件数が50件ほどという圧倒的に需要と供給に差があるのが実状です。

その背景には法の整備の遅れにより長い間臓器移植に様々な制約があったことが原因として考えられます。臓器移植の件数が増えなければ医療技術も進みませんし、ドナーと移植を待つ人(レシピエント)の間を取り持つ機関も万全な体制が整いません。つまり現在でも臓器移植に必要なあらゆることが追い付いていないのです。

さらに日本移植学会理事の島津元秀教授は日本に臓器移植が根付かない理由を以下のように述べています。

臓器移植に対する教育が必要です。欧米では問題点を抱えながらも法律を整備し、ルール作りを進めてきましたが、日本は停滞していました。そのため臓器移植に対しての意識や理解がまだまだ根付いていません。
みなさん、ご家族や子どもさんが臓器移植の必要があるとなれば、臓器移植についての関心が生まれます。しかし、そうでない場合、臓器移植は他人事に過ぎないのが現実ではないでしょうか。
人の臓器を提供してもらって生きることに対して反対する声もあります。多様な意見があるのは自由で、大切なことと思いますが、移植でしか治療できない方や移植を待ち望んでいる患者さん、そして、死後に臓器を提供してもいいという方の意思も尊重すべきではないでしょうか。移植を望まない人の意思も、移植を望む人の意思も共に尊重され、それぞれの権利が保障され、多様な価値観が共存できる社会であるべきだと思います。

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今現在、健康に何の問題もなく生きています。しかしある日突然臓器移植が必要になる可能性は誰にでもあります。その時になって今の日本の臓器移植の実状に落胆するのではもう遅いのです。

今は直接関係のないことかもしれませんが我々の世代が関心を持ち、協力することで、今この時に臓器移植を待つ人や未来の自分、そして子供たちの世代のために必ずなるはずです。

臓器移植はとても大きな仕組みが必要です、日本よりも進んでいるはずのアメリカでさえまだまだ不十分であるならなおさら時間がかかります。


我々個人ができることに限りはありますが、自分自身が臓器移植に対する知識を持つこと・子供にその重要性を伝えること・ドナー登録をすることなどはできることは沢山あります。

1人でも悲しい思いをしないために、しっかりと考えていきたいと思います。

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