カナダで人々は死後、故人の亡骸をどう葬るのでしょうか?
これまでカナダでは、埋葬または火葬という選択肢しかありません
でした。

でも、埋葬も火葬も嫌だ、という人はどうすれば良いのでしょうか。

現在、埋葬でも火葬でもない、第三の方法が提案されています。
その名も「バイオ・クリメーション」。
日本語にすると「生体的火葬」といった感じでしょうか。
しかし、火は使いません。

オタワ郊外にある葬儀会社のスタッフが考案した新しい方式は、遺体を
酸性の液体に浸して解かし、骨だけにしていくのだといいます。
一瞬怯んでしまいそうですが、土中に埋葬した時と同じ分解のプロセス
なので、環境に優しい、というのがその主張。
火葬にすると、燃料が必要なうえに熱や二酸化炭素が発生して大気汚染
が生じる、という考え方に基づいたもののようです。
棺を用意する必要もなく、経費も少なくて済み、限りなく環境に優しい。
最終的に残った骨はオーブンで乾かしてから粉砕するそうで、それなら
分量も少なくて済みそうですね。
コストも、これまでの火葬の約4分の1だといいます。

提案者の意見を聞いていると、ふむふむ…と思わずうなづいてしまいます。
しかし、いざ自分の家族が亡くなった時、人々の習慣や感情はどのような
反応を示すのでしょうか。
今までのところ、概ね良好な印象で受け入れられているそうです。
土地には限りがあるという理由で埋葬を避ける人々も増え、一般的な火葬
はエネルギー消費や環境汚染という面から否定する人々もいます。


過去6年の間、カナダに暮らして私が出席した葬儀が5件。そのうち4件
が火葬でした。
本人が希望したか否かは分かりませんが、棺で埋葬されたのは、一人だけ。

ある方のご家族は死後献体を希望されていたので、すぐに葬儀はできず、
また、遺体も完全な形では戻らないのを覚悟していたそうで、迷わず火葬。

経済的な理由で、また、残された家族が米国在住のため国境を越えるなど、
家族の事情はさまざまです。

しかしながら、火葬されてもかなりの量の灰が残ります。
多くの人は、その灰を故人所縁の地への散骨ならぬ散灰を希望しますが、
カナダでは州によって散灰を禁止しているところも多いのです。

諸事情を鑑みると、酸性液に浸して処理する方法は、これから益々カナダ
で受け入れられていくのかもしれません。


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名古屋市出身。転勤族の夫に帯同し、バンコク、香港、東京、カイロ、リヤド、アルジェに赴任後にカナダへ移住、現在に至る。

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