名曲探訪の第三回は、前回までのスピッツから一転して神聖かまってちゃんを取り上げます。衝撃的なMVをまずはご覧ください。

神聖かまってちゃん ズッ友

出典 YouTube

男にも女にもなれやしない桜色のふたり

ナタリーでは、
「神聖かまってちゃんが描く、少年同士の美しすぎる愛の世界」と銘打たれてこのMVが紹介されている。
少年というよりは青年、悪く言えばおっさんですが。

これまで、様々な人間をテーマにしてきた神聖かまってちゃんもついにボーイズラブに手を染めたのかと。
ネタなのか本気なのか分からないMVだ。

大槻ケンヂ氏もの子の詩集(るーるるらーら)付録のインタビューで、の子のことを
「ガチか演技なのかわからない。そのボーダレスがリアル。」
と語っている。

しかし、このMVに関していえば、本気なのだと思う。
MVの監督の山戸結希さんのコメントを読んでも、本気度が分かる。

過酷な撮影に右足を痛めながらも、初演技とは思わせない唯一無二の存在感で、魂の熱演を見せて下さった天才フロントマン、の子さん。全国の女の子の心、あるいは男の子の心すら撃ち抜いてしまいそうなほど、初々しい眼差しで挑戦して下さった藤田富さん。そんな、日本を代表するふたりの美少年を迎えて、“男と女”でも、そして“男と男”や“女と女”でもない、未分化の真っ白な心のままで駆け出す、青春の一ページの物語となりました。(中略)日本独自のセクシャル/ジェンダー変遷を遂げて来た「BL」や「百合」、また「男の娘」文化などのエッセンスも散りばめながら、その先をめがけて走って行く、「男」にも「女」にもなれやしない桜色のふたりが、自分らしく生きたいと願う、全ての人の背中を押しますように。

出典 http://www.youtube.com

サッカーボールを投げつけられる藤田富さんをかばって「やめろぉ!」と言うの子君の熱演がかっこいい。
この部分だけ、曲ではない音声が入っていて、強調されていることが伺える。
「笛吹き花ちゃん」などの曲のモチーフにしてもそうだが、
の子は全ての虐げられる者にとってのヒーローなのだ。
の子自身も「夕方のピアノ」で歌われているように、
「佐藤」にいじめられていた。
そこで、「大島宇宙人」という生まれて初めてのあだ名をもらい、
そのことが「Os-宇宙人」という曲の着想につながっている。

その被害者意識が鼻につく人もいるだろうが、
虐げられることから逃れられない人もたくさんいるのだ。
この時代にボーイズラブをリアルの世界で貫き通すことにしても、
社会から虐げられる対象だろう。
男らしく、女らしくではなく、性的に未分化な状態でいることも。
このMVでは、ボーイズラブのエンディングを悲劇に終わらせず、
二人が手を取り合ってどこまでも続く線路を走っていく姿が描かれている。
MVのキャッチコピーにもあるとおり、
「愛、それは自由。」を地で行く二人。

注目すべきは、の子がこのテーマのこの歌をマニアックな音楽性の歌にせず、
ポピュラリティあふれる歌にしたということ。
LGBT(レズビアン,ゲイ,バイセクシャル,トランスジェンダー)は
閉鎖されたコミュニティの中に存在するべきなのではなく、
もっと外に出てもいいんだよという、の子の優しい意志を感じる。
MVでは、愛し合う二人は学校の教室内のシーンを経て、
セーラー服のそのままの格好で外に出ていくのだ。
学校は社会のメタファー。
これは、
社会に拒絶されようとも自分らしく生きていこうという痛烈なメッセージだ。

僕はこのMVに感動しました。
神聖かまってちゃんには独自路線でこのまま突っ走っていってほしいと思います。

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