名曲探訪第二回、前回から引き続きスピッツを取り上げます。

スピッツを代表するみずみずしい別れの歌

今回は「チェリー」を取り上げます。売上枚数は「ロビンソン」よりも若干少ないですが、ほぼ同じ160万枚台のメガヒット(出典→Wikipedia)、スピッツを代表する名曲です。この曲を知らないでスピッツファンを名乗っていたら、「モグリ」と呼ばれてしまうかもしれません。笑。

スピッツ チェリー

出典 YouTube

ここがスゴい!

この曲の完成前のインタビュー(『ロッキング・オン・ジャパン』96年2月号)では、「どういう曲が出てきます?」というインタビュアーの井上貴子氏の質問に対して、草野さんは「(前略)地味でもいいから、自分っぽい曲ですよね、シンプルで。(中略)曲に関しては自分の納得の行くものしか出さないから、いいものが出来るというのはもう確信としてあるんだけど(後略)」と答えています。

出来あがった曲は、1秒間の力強いドラムソロの次に、華やかなクリーントーンのギターと少しディストーションのかかったリズムギター、休符を上手く使ったグルーヴィーなベース、うねり気味のキラキラした長めの音価のシンセが印象的なイントロで始まるスピッツでしかあり得ない佳曲。

良いメロディのみならず、バンドならではのバンドサウンドのハーモニーやダイナミズムがある。Bメロがなく、すぐにサビに行く構成などメインストリームの曲のような全くの売れ線の曲という訳ではないのに、醸し出される王道感。

後に、草野さんは「新しい打ち出しとしては弱いかなあと思って」とこの曲を語っていますが(同誌96年11月号)、1996年度の年間4位となる大ヒット(出典→Wikipedia)を飛ばしました。未だに日本に住む人の多くから愛されているのは、即効性があるにも関わらず、爽やかでみずみずしい音の質感や後半で入るさりげないブラスセクションなど、すぐには消費されないサウンドの奥深さがあるからです。

この曲、別れの歌なのに、新しい始まりを期待させて明るい気持ちにさせる空気に満ちています。アルバム『インディゴ地平線』の最後に収録されていますが、最後の曲にふさわしい曲です。「二度と戻れない/くすぐり合って転げた日」という悲しい歌詞もありつつ、「少しだけ眠い/冷たい水でこじあけて」と情景描写をして、シビアな現状に対して前向きに進んでいこうという意思を感じさせます。

歌詞の意味を考えていったとき、極めつけは大サビの「どんなに歩いても/たどりつけない/心の雪でぬれた頬」という歌詞。別れた彼女の頬にたどりつけないということなのかとか、それとも彼女の地にたどりつけないことを「自分(曲の主人公)の頬が心の雪でぬれている」と表現している歌詞なのかとか、色々と解釈の余地はありそうですが、「ロビンソン」の大ヒットがあったにも関わらず、全く浮足立っていません。大ヒットしてスターの仲間入りをしても、着実に歩みを進める彼らがそこにいます。たどりつけない境地に立つその日まで、彼らの歩みは続くのでしょう。

名曲探訪、次回はスピッツ以外のアーティストを取り上げる予定です。次回はどんな曲が登場するのかお楽しみに!

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