中央にルーベンス像が立つ“フルン広場Groenplaats”とノートルダム大聖堂

フルン広場の前身はナポレオンの思いを託した“ボナパルトスクエア”

№4『アントワープと共に生きたルーベンス』Antwerpen in Belgium

アントワープの街はもしかして「ルーベンスに始まってルーベンスに終わる」そう言っても過言ではないかもしれません。それほど街には彼の作品と足跡が点在しています。そのひとつが聖カロルス・ボロメウス教会であり、ノートルダム大聖堂です。

《フルン広場の前身はナポレオンの思いを託した“ボナパルトスクエア”》

街の中心的存在のこのフルン広場は、13世紀にはノートルダム大聖堂の墓地があったところで、1784年には皇帝ヨーゼフ2世の墓地も設けられ、墓所としては街一番の格式を誇っていました。ところが1795年、戦禍により破壊されてしまうのです。墓所という場所だったことで誰を足を踏み入れることはなく、その後の数年間は荒れたままで放置されるのです。

1804年にフランス議会の議決と国民投票でフランスの皇帝の地位についたナポレオンは、破竹の勢いでヨーロッパの主要国を自分の傘下に治め、このベルギーをも(当時はオランダなども含めてたフランドル一帯がネーデルランドと呼称され一国の扱いをされていました)自分の傘下に置いていました。

彼は1813年、ネーデルランドがナポレオンの支配から脱却するまでの間、アントワープの治世にも深く関与し、ノートルダム大聖堂の美術品などを押収したりしたことで、この地を知ったのです。荒れ放題でしたが街の中心に在ったことで、ここに自分の権力の象徴としての広場の建設を決し、1805年、今の広場の前身となる“ボナパルトスクエア”を完成させたのです。

広場はナポレオンからの脱却後も幾多の戦禍や事件に遭いますが、1843年、アントワープ彫刻家ウィレムGeefsにより、街が誇るバロックの巨匠ルーベンス像が完成。広場中央に飾られ今に至ります。

《アントワープの街のルーベンスの足跡リスト》

ルーベンスに始まってルーベンスに終わるアントワープ。その所以となるこの街を彩る彼の作品をここに一例として挙げてみたいと思います。

★下記のリストに挙げたポイントは順次解説してゆきます。お楽しみ下さい♫

1.ノートルダム大聖堂の4点
。「キリスト昇架」「キリストの復活」「キリスト降架」「聖母被昇天」
2.聖ヤコブ教会の1639年の作品「聖家族(聖母を囲む聖人たち)」と墓所のデザイン
3.ルーベンスの家(彼の工房でもあった家)「自画像」「受胎告知」「ファン・ダイクの肖像」など多数
4.聖カロルス・ボロメウス教会のファサードと鐘楼、ファサードに飾られた彫刻などのデザイン
5.プランタン・モレトゥス印刷博物館「セネカの死」(1616年頃の作品)「家族の肖像画」などの数点
6.ロコックスの家(アントワープ市長の家)「聖母子」など数点
7.「王立美術館」には多数の作品が展示、保存されています。

★彼の人生の中でもっとも重要な位置を占めていたのが、このアントワープという海辺に面した街だったことが羅列したこの一覧で十分理解できると思いますし、世界中の美術館を巡っても、これほど多数のルーベンスの作品に出会うことはありません。

ノートルダム大聖堂・ルーベンスの作品「キリスト昇架」

アントワープとルーベンス。彼らは切っても切れない仲でしたし、きっと相思相愛だったのです。信じ信じられている睦まじい仲だったと思います。ですから街には彼の生きた証しが残されています。

そして、旅人がいつでもルーベンスの世界に入れるように華麗なる足跡を街のそこかしこに残しながら、最後はバロックの世界へといざなうのです…。

そして、この街にやって来た旅人の多くがルーベンスに魅入られ、再び訪れるその日のために、街の片隅に自分の足跡を残して去ってゆくのです。

《註:文中の歴史や年代などは各街の観光局サイト、取材時に入手したその他の資料、ウィキペディアなど参考にさせて頂いています》

(旅行ジャーナリスト・作家 市川昭子著)

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★旅行ジャーナリストとして長い間、公私共に海外の国々を訪れ取材し滞在。美術館巡りが好きで「ヨーロッパの美術館」など著書も出版。海外ガイドブック30冊以上(フランス、イタリア、イギリス、ベルギー、オランダ、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ハワイ、アメリカ、香港、韓国、グアム、サイパンなどなど十数カ国のガイドブック)を取材し出版。★小説【あなたが生きた街】を出版。

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