【1】Raccoon 現る

「raccoon(ラクーン)」という言葉を聞いて、「ああ、アレね」と直ぐに思いつく方は、どの位いらっしゃるでしょうか?。
そういった方は、英語が得意であるか、ゲーム「バイオハザード」をやり込んだ方のどちらかではないか?と思います。(バイオハザードの重要地点が「Raccoon city」という町なので)

この「raccoon(ラクーン)」は、現在の日本で、大きな問題になっている、困った代物です。ニュースで取り上げられる機会も徐々に増え、対策費なども上昇している模様です。

その困った存在「raccoon(ラクーン)」とは、「アライグマ」の事です。

アライグマは、小型犬程度の大きさの哺乳類です。雑食性の哺乳類で、いろいろなモノを採取・捕獲して食べます。
和名の語源は「洗い熊」。水中にいる生物を捕獲して食べる事もあるのですが、その姿が「手(前足)を洗っている様に見える」というところから「アライグマ」と名づけられました。

アライグマは、元々はアメリカ・カナダ・メキシコなどの「北米大陸」に住む生き物です。日本の在来種ではありません。
しかし、近年になって「アライグマが日本で繁殖している」とのニュースをよく見かける様になりました。

【2】なぜ日本に?

アライグマは、日本には存在しない動物でした。一応泳げますが、アメリカから日本まで泳ぐ程の能力や気合は持ち合わせていません。
それなのに、なぜ日本で繁殖しているのでしょうか?。その理由は、「人間が持ち込んだから」です。

元々は、動物園で展示する為などの理由で、海外から輸入されていたそうですが、脱走し野生化した模様です。
また、人気アニメ「あらいぐまラスカル」が1977年に放映されています。このアニメの影響からなのか、ペットにする等の目的で輸入が増加。日本にアライグマがどんどん入ってくる様になりました。

ペットにする目的の他に、毛皮を取るために持ち込まれた例もあったそうです。そういった理由から、日本国内で野生化する機会が増え、現在の状況になったと思われます。

【3】名前に「クマ」とあるので…

アライグマは、割と小型の動物であり、タヌキに似た見た目は愛嬌があります。しかし、その性質はかなり獰猛です。

子供の頃は人に懐いたりもしますが、大人になるにつれ性格が大きく変わります。飼育している方の話では、「引っかかれたり噛まれたりして、怪我をするのは日常茶飯事」とのこと。飼育している人に対しても獰猛なので、それ以外の人間に対しては言うまでも無いでしょう。

この性質が原因で、ペットとして飼い始めたのはいいが、成長するにつれ手に負えなくなり、無責任に捨ててしまう飼い主が多かったと思われます。

飼い主が捨てないまでも、アライグマは他の動物に比べて手先が器用であり、簡単なカギ程度ならば自力で破る能力があります。ジャンプ力もあり、木登りもできます。脱走能力はハイレベルでしょう。

アライグマの繁殖力や環境適応能力は高いです。日本には天敵もいません(強いて言えば、人間が天敵)。この様な理由から、野に放たれたアライグマが増えるのは、簡単だったのでしょう。

【4】被害が出ています

アライグマは、民家や倉庫の天井裏などに巣を作り、子育てをします。その結果、天井裏を汚して木材が腐り、天井が落ちてきた…という被害の話が出ています。

また、アライグマは雑食性の生き物です。従って、畑の作物は「食い放題のバイキング」に見えるでしょう。しかし、農家の方にしてみれば、迷惑を通り越えて死活問題になりかねません。年々、被害報告が増えています。

アライグマの環境適応能力は高く、北海道の様な寒いところから、火山の多い九州地方まで、あらゆるところで生息が確認されています。その中でも報告が多いのは、近畿・関東・北海道などです。

上記記事によれば、アライグマの捕獲数が、近畿2府4県で急増中とのこと。2004年度は約1100頭のアライグマが捕獲されたのですが、10年後の2014年度には約11700頭となり、10倍に増えています。農業被害は約1億4200万円に上ったとのこと。

【5】恐ろしいのは、パンデミック

アライグマ関連で最も恐ろしいのは、「死ぬ病気を広めるかも知れない」という点です。具体的には「狂犬病」「アライグマ回虫症」などが挙げられます。

先ずは、狂犬病について見ていきましょう。国立感染症研究所HPより、以下に3つほど引用します。

狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入、および極めて稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって発症する人獣共通感染症である。

出典 http://www.nih.go.jp

世界保健機関(WHO)によると、全世界で毎年3万5,000〜5万人が狂犬病によって死亡している

出典 http://www.nih.go.jp

狂犬病は、未だに人を死に至らしめています。狂犬病は、イヌ以外の哺乳類でもかかります。アライグマも例外ではありません。
飼い犬には、狂犬病予防の為に注射をしなければいけませんが、飼い主のいない野生生物には義務がありません。日本国内では長らく狂犬病発生の報告は無いですが、いつ発生してもおかしくありません。

感染から発症までの潜伏期間は咬まれた部位等によってさまざまであるが、一般的には1〜2カ月である。発熱、頭痛、倦怠感、筋痛、疲労感、食欲不振、悪心・嘔吐、咽頭痛、空咳等の感冒様症状ではじまる。咬傷部位の疼痛やその周辺の知覚異常、筋の攣縮を伴う。脳炎症状は運動過多、興奮、不安狂躁から始まり、錯乱、幻覚、攻撃性、恐水発作等の筋痙攣を呈し、最終的には昏睡状態から呼吸停止で死にいたる。狂犬病は一度発症すれば、致死率はほぼ100%である。

出典 http://www.nih.go.jp

(※強調朱は筆者によるもの。以下同)

発症すれば、ほぼ確実に死にます。あの有名な「エボラ出血熱」ですら、致死率80%程度なので、狂犬病はエボラよりも危険だと言えます。ワクチンがありますが、発症する前に手を打つ必要があります。

次に、「アライグマ回虫症」について見ていきましょう。

アライグマ回虫症は、糞便の虫卵から経口的にヒトに感染します。感染しますとヒトに重い意識障害や運動障害を起こします。アメリカでは子供の死亡例も出ています。
アライグマの回虫は輸入の際の検疫対象ではありませんので、十分注意する必要があります。

出典 http://www.mizuhodai.com

埼玉県富士見市「みずほ台動物病院」さんのHPより引用。アライグマの体内にいる寄生虫が、排泄物を通して外界に出て、それが人間の体内に入ると危険…とのことです。アメリカでは、死亡例もあるとのこと。

特に小さいお子さんは、何でも口に入れてしまう傾向がありますし、砂遊びなどで土に触れる機会も多いでしょう。手洗いなどを徹底し、感染を防ぐ必要があります。

幼虫移行症に対する特効薬はありません。したがって感染しないように予防することが最も大切になります。しかし日本ではアライグマ回虫の感染予防対策はほとんど知られていません。その原因としては、日本には一部に野生化したアライグマがいますがその数はアメリカには及ばないことや、アライグマ回虫の移行症もこれまでは報告されていないことなどがあると思われます。

出典 http://www.jomf.or.jp

国立感染症研究所・人獣共通感染症室「神山恒夫」氏による論文からの引用です。
これによると、「特効薬が無い」そうです。その為、感染予防が最も大事になってきます。

ちなみに「幼虫移行症」とは、「感染した寄生虫が、成熟できずに幼虫のまま体内を移動したことにより、宿主にダメージを与えて出る症状」のこと。

この様に、アライグマは様々な被害をもたらす恐れがある動物です。用心しなければなりません。

【6】まとめ

アライグマが日本で繁殖した理由は、人間の都合です。同じ事を繰り返さない為に、猛省が必要でしょう。

しかし、どんどん繁殖していく様を傍観しているわけにもいきません。これ以上の被害を出さない為にも、行動する必要があります。

相手は危険な生物なので、専門家に相談する事が必要になってくるでしょう。料金をとって駆除を行う業者もいますが、先ずは公的機関に相談することをオススメします

専門知識を持たない一般人であっても、出来ることはあります。「むやみに餌付けしない」「よく分からないままで、飼育しない(場合によっては違法)」「エサになりそうなゴミは捨てない」「出そうなところには近づかない」等がそうです。気をつけましょう。

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