【1】巷で話題の「水素水」

各地で梅雨入りが発表され、本格的に暑い季節に入ってきました。この時期に必要不可欠なものは「冷たい飲み物」です。飲みすぎは良くないとはいえ、運動後にはキンキンに冷えた飲み物を、かなりの勢いで飲みたくなります。

そんな飲料絡みの話で最近よく取り上げられるものが、巷(ちまた)で何かと話題の水「水素水(すいそすい)」。
広告をよく見かけますし、スーパーやドラッグストアで販売されています。スポーツジムでも見かける機会が多いです。

価格は、ミネラルウォーターに比べて、やや高め(2~3倍程度)。しかし、果汁などが加えられているワケでも無いので、味に違いを感じません。
それでも話題になるのは、「健康にいい」という触れ込みがあるからです。

【2】そもそも、水素水って何?

「水素水」は、その名の通り「水素が入った水」のことです。コーラやサイダーなどの炭酸飲料は「炭酸(二酸化炭素)が入った飲み物」ですが、それと同じです。

水素は、元素記号「H」で表される、最も基礎的・単純な構造を持った物質です。原子番号は1。燃える性質を持ち、気体の中で最も軽く、かつては「飛行船」に使われていました。(なお、純度の高い水素ガスは爆発事故の元になるので、以前の様な使われ方はされていません)

水素は、様々な物質を構成する材料になります。化学式で「H」が入っているものは、全て水素が絡んだ物質です。そんなものの中で、最も有名かつ身近なものは「水」でしょう。化学式は「H2O」。水素原子2つが、酸素原子ひとつにくっついた形をしています。水の中に、水素が溶け込んだものが「水素水」なんだとか。

この水素水、「身体を健康にする」との触れ込みで売れている模様ですが、その真偽について、「肯定 vs 否定」で真っ二つに分かれており、賛否両論激しい模様です。

【3】肯定派・販売サイドの主張は?

「水素水は、健康にいい」と主張するのは、主には「販売サイド」です(そりゃそうです)。「水素水」で検索をかけると、ものすごい数のヒットがあります。通販サイトに直結しているものが多いです。

そんな中で、一番気合の入った主張をしていると思われるのは、「株式会社日本トリム」です。この会社は、いわゆる「整水・浄水器」等の販売をしている会社です。その流れからか、水素水に関してもビジネスを行っている模様です。

「昨今、インターネット上等で、水素水に関する不確実な情報が流れておりますが、これらによる当社事業及び業績への影響はございません。なお、誹謗・中傷や、風説の流布等の事実でないものにつきましては、法律に則り厳正に対処いたします。」

出典 http://www.nihon-trim.co.jp

「法的に対処」とは、何とも穏やかでない話です。まあ、「誹謗・抽象・風説の流布」といった行為は、そもそも褒められた行為ではありませんが…。

逆に言えば、きちんとした根拠のある主張など「誹謗・中傷・風説の流布に当たらない行為」であれば、法的対処の案件にならない…と読めます。

【4】否定派の主張は?

「水素水は、大声で宣伝されるほど、効果のあるものではない」と主張するのは、主にジャーナリスト・新聞などのメディア・医療専門機関の研究者…などです。

記事は多数ありますが、筆者が読んだ中で「最も手厳しい」と思われるものをひとつ、以下に引用します。2016年5月16日付けの「産経ニュース」の記事です。

こうした中、明治大情報コミュニケーション学部の石川幹人教授は、水素水(活性水素水、電解還元水)に一般に言われるような美容や健康への効果があるかを評定。「疑似科学である」と結論付け、運営するサイト「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」に1月、公表した。疑似科学は「ニセ科学」とも呼ばれ、科学的表現で科学を装っているが、とても科学とは呼べないものを指す。

出典 http://www.sankei.com

「ニセ科学」とは、これまた手厳しい指摘です。しかし、明治大学の教授が仰る事ですので、説得力が違うでしょう。教授の主張は、以下に続きます。

『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』(PHP新書)の著書もある石川教授は、「今話題の水素水の多くは、電解還元水のことで、かつてアルカリイオン水と呼ばれたもの」と指摘。水素水の評定をしたことについて、「キャッチーな『水素』という言葉をつけることで、売り上げを回復しようという意図が見えたから」と説明する。

出典 http://www.sankei.com

記事によれば、「水素水」とは「以前に流行った、アルカリイオン水のこと」なんだとか。そうであるならば、特に目新しいものでは無さそうですね。

市販の水素水について、日本学術会議の副会長時代にホメオパシーなどの疑似科学問題を扱ったことがある東京大の唐木英明名誉教授(薬学、獣医学)は「高濃度の水素といっているが、それでも水素濃度が低過ぎる。飲んだ水素は胃の中で消えてしまうだろう。仮に、水素が血流に乗って体の組織に到達したとして、それがどのような作用を発揮して疾病治療につながるかの説明がない」とし、「水素には何かの効果があるかもしれない。しかし、市販の水素水に効果があるかと言われれば、ゼロだろう」と手厳しい。

出典 http://www.sankei.com

今度は、東京大学の名誉教授が批判を繰り広げています。こちらも「効果はゼロ」と手厳しい表現です。主張していらっしゃる方が「薬学が専門の、東大名誉教授」なので、反論するには手ごわい相手でしょう。

また、否定派…というワケでは無さそうですが、健康をテーマにした「ヘルスケア大学」HPにて、水素水の保存形態について述べられています。

上記サイトによれば「ペットボトルでは、水素が外に逃げる」「アルミ缶タイプは、商品によって水素の濃度が大きく違う」「保存に適した容器は、アルミパウチ」とのこと。
上記記事内容が正確ならば、市販されているものの中に、保存に適さない状況で売られているものが多い様子ですね。

【5】行政サイドの見解は?

では、役所・行政サイドはどの様な見解を持っているのでしょうか?。これに関しても、注目したいニュースがあります。

国民生活センターは今年3月、水素水生成器による活性酸素の抑制機能は、必ずしも体内の活性酸素の量を減らすといった健康面への効果を示すものではないとして、消費者に対し「買う際は慎重に判断して」と注意を促した。

出典 http://www.sankei.com

2016.5.16付 産経ニュースより。

上記記事は、国民生活センターのコメントを取り上げたものです。国民生活センターは、消費者庁が所管する独立行政法人。一般消費者からの苦情を受け付け、トラブル防止や解決について活動する組織です。

この記事によると、「水素水は、活性酸素の抑制には効かない」とのこと。活性酸素とは、「病気や老化の原因」とされている物質です。

センターは、「効果があるかどうか?は不明。買うのであれば、各個人の判断と責任で」という見解を持っている様子です。

また、国民生活センターの監督官庁である「消費者庁」は、以下の処分を水素水販売業者に行っています。

全国各地の消費生活センターには、15年までの5年間で220件もの相談が寄せられており、うち「ガンが治る」と言われたなど販売方法についての苦情が157件も占めていた。つまり、説明書には書いていなくても、口頭でその効果について説明していたケースがあるわけだ。効果がないなどで契約の見直しや解約についての相談も130件あった。

出典 http://www.j-cast.com

2016/3/18付 J-CASTニュースより。

消費者庁は同月、「がんに効く」などとうたって水素水を販売した事業者に対して、商品の効能に関する不実告知(実際は認められていないのに告知すること)などを理由に一部業務停止命令を出した。

出典 http://www.sankei.com

2016.5.16 産経ニュースより。

2016年3月に、「ガンに水素水が効く」と、明確な根拠も無いままに宣伝・販売した業者に対し、消費者庁から業務停止命令が出た…とのニュースです。相談件数だけなら、200件を超えていた…とのこと。かなり多いです。

具体的な業者の名前は、記事に書いてありませんでした。従って「どこの業者か?」は分かりません。しかし、そういう悪質な業者が存在する事は本当です。用心しないといけません。

【6】まとめ

この様に、肯定・否定が真っ二つに分かれ、行き過ぎた販売方法や広告には国からストップ・営業停止処分があることも事実です。

私達一般消費者は、広告や宣伝を鵜呑みにせず、自分の頭で考えて、商品を買うか買わないか選ぶべきでしょう。

最後に、肯定・否定のどちらの意見も包括している…そんな感じのするHPをご紹介して、本記事を終わらせて頂きます。
そのHPとは、水素水を販売している大手飲料メーカー「伊藤園」のHPです。

「お~い お茶」などで有名な伊藤園さんも、水素水を販売されています。その為なのか、問い合わせが色々とある模様。そういった相談の内容を、「お客様相談室」というコーナーにまとめていらっしゃいます。そこに、「水素水に関して、よくある質問」という9つの質疑応答が掲載されています。その中から二つを紹介します。

Q6. どんな健康効果がありますか?

A6. 伊藤園が販売する水素水は医薬品ではないため、健康効果を標ぼうするものではありません。

出典 http://www.itoen.co.jp

Q9. なぜ水素水を販売しているのですか?

A9. 水分補給の1つの選択肢として販売しております。

出典 http://www.itoen.co.jp

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